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中国:国慶節の大型連休が10月1日からスタート!ーー 訪日中国人観光客を迎える前に知っておきたい国慶節の基礎知識と今年の傾向

2018.09.25

中国では、祝日である「春節(旧正月)」と「国慶節」が大型連休になります。毎年この休暇を利用して国内外へ旅行に出かける人が多く、インバウンド事業に携わる人々にとっては、誘客を図り、売上を伸ばすチャンスです。ここでは、国慶節の基礎知識や、訪日中国人観光客を迎えるための心構えなどをご紹介します。

 

国慶節ってどんな祝日?

国慶節とは中国の建国記念日にあたる祝日です。1949年10月1日に天安門広場で建国式典が行われ、毛沢東によって中華人民共和国の成立が宣言されて以来、毎年「国慶節」として祝っています。中国では「十一(シィーイー)」と呼ばれ、この日を含む約1週間が大型連休となります。中国語で「慶(簡体字:庆)」は祝うという意味を表すため、「国慶節」は国を祝う日、つまり建国記念日を指す言葉となります。

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2018年の国慶節はいつ?

2018年の国慶節連休は、10月1日(月)から10月7日(日)までです。昨年は中秋節という祝日が重なって8日間の大型連休となり、多くの中国人観光客が国内外を旅行したことで話題となりました。中国の祝日カレンダーは、毎年12月に国務院から発表されています。

 

国慶節期間中の経済効果と中国人の旅行トレンド

中国文化・観光部の統計によると、2017年の国慶節では延べ7億500万人が中国国内を旅行し、観光収入は5836億元(約9兆8924億円)に上っています。また、国内だけではなく、2017年の国慶節には延べ600万人以上が海外旅行に出かけ、その渡航先は88カ国1155都市にも及びました。さらに、2017年の国慶節中に中国人観光客が消費した金額は8兆円以上だったとのデータもあります。中国を代表する総合旅行予約サイトCtripが発表した、2018年の国慶節期間中における海外旅行先人気ランキングでは昨年2位だった日本が、今年は見事1位となっています。今年の国慶節の大型連休中に多くの中国人観光客の来日が期待できそうです。
ちなみに、今年の中国人の人気訪問先国は、日本を筆頭に、2位タイ、3位香港、4位韓国、5位シンガポールとなっており、近年では渡航先の幅も広がり多様化していることが伺えます。

◆「癒やし」が今の中国人の旅行のトレンド
なぜ今、日本への旅行が人気があるのでしょう。スピーディーに物事が変化している中国では、仕事も忙しくストレスも多いそうです。そんな日常から離れる旅行では、「癒やし」がキーワード。日本への旅は、礼儀正しく接客してくれるので癒やされると人気があります。

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国慶節に向けて準備したいインバウンド対策

訪日中国人観光客を迎え入れる際に、インバウンド関係者が心得ておきたいポイントをいくつかご紹介します。

◆中国人観光客の関心は「モノからコトへ」「大都市から地方へ」
訪日中国人観光客の旅行スタイルは近年、「モノ消費」から「コト消費」へと変化しています。現在は越境ECサイトで日本製品が購入できるようになったため、買い物よりも観光や体験に目を向ける観光客が増加したことが背景にあります。また、中国人は訪日リピーターが多く、東京や大阪といった大都市をすでに観光し終えた訪日客の間では、地方への関心が高まっているようです。見たことのない文化や、味わったことのない体験を求める中国人に向けて、効果的な情報発信や誘客を心がけることも重要です。

◆中国語での表記や対応に気を配る
国慶節期間中は、中国本土からだけではなく、台湾や香港といった中華圏からの訪日客も多く見込まれます。情報発信やウェブサイト、飲食店のメニューなどで中国語を取り入れる際は、中国本土からの中国人向けの簡体字と、台湾や香港の人向けの繁体字の両方で表記するように心がけましょう。また、中国語での対応が求められる場合は、スマートフォンやタブレット端末を用いた多言語翻訳アプリを活用するのもおすすめです。

◆電子決済の導入も視野に入れる
中国ではキャッシュレス化が急速に進んでおり、日本国内でも中国の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」や、「微信支付(ウィーチャットペイ)」などを導入する動きが出てきています。国慶節のみならず、今後も訪日中国人観光客をターゲットとしていく場合は、小規模な店舗であっても電子決済の導入をおすすめします。事業者にとって、細かい現金のやりとりといった手間が省けるだけでなく、中国人観光客の購買意欲の喚起や利便性の向上にもつながります。

 

まとめ

日本政府観光局(JNTO)のデータによると、国慶節がある10月に訪日した中国人観光客は、2015年が44万5600人、2016年が50万6162人、2017年が66万3800人と右肩上がりに増加しています。今年は国慶節の連休が昨年よりも1日短くなりますが、依然として多くの中国人観光客の訪日が予測されます。昨今の中国人観光客のニーズやトレンドを把握した上で、国慶節に向けた体制を整え、より効果的な誘客や売上につなげていくことをおすすめします。


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