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~人民日報海外版から~

【人民日報】第77回 旅行を好む90年代生まれの若者たち

2019.08.01

90後(1990年代生まれ)」の圧倒的多数が、いまや、「勉学」「仕事」「家庭生活」という三大分野で奔走するようになっている。彼らの世代は、これまでの時代を打ち破る数多くの「特徴」を示している。

 

90後」の特徴

少し前に北京大学マーケット・メディア研究センターと網易が共同で発表した「90後:インターネット時代原住民」と題する報告によると、「90後」が自分を描写する際に最も多く使っていた言葉は「オタク」で、3分の1の「90後」は、自分のことを「オタク」と表現していた。確かに、インターネットの発展によって、さまざまな娯楽スタイルが生まれ、現在では、家から一歩も出なくとも、時間をつぶす方法が数多く生まれている。

しかし、「オタク」は、「90後」を表す唯一の特徴という訳ではない。オンライン旅行会社「携程旅行網」の調査研究データによると、「90後」の96%は、少なくも年に1度は旅行に出かけている。

携程などチケット予約購入プラットフォームのデータによると、終わったばかりの五一(メーデー)連休中に旅行に出かけた人のうち「90後」は30%を占め、旅行者の中堅勢力となっている。また、「00後(2000年以降生まれ)」の割合も大幅に上昇し、全体の7%で第4位となった。

 

質の高い旅行商品が人気

メディアが過去に発表したデータによると、「90後」の支出額については、「月額1001~2000元(約1万6000~3万2000円)」が全体の48%を占めた。月々の基本的な衣・食・住・交通にかかる費用を差し引くと、ほとんど手元に残らない。このため、「90後」が毎年の旅行に使える絶対額はそれほど多くない。しかし、消費レベルに対する旅行費用の相対値をみてみると、「90後」が毎年旅行のために費やす金額は、ほぼ2カ月分の日常消費額に相当している。

これだけにとどまらず、ますます多くの「90後」が、質の高い旅行商品を購入したいと考えている。張さんは、社会人になって間もない「90後」だが、「思い立ったら、すぐに出発」の旅行パターンが大好きだという。彼は、「もし、少し金銭的に余裕があれば、より良い旅行体験ができる。例えば、余計にかかる費用がそれほど高額でなければ、宿泊施設や観光地めぐりの快適度を上げるといった面で金を使いたい。私の周囲にいる同年代の人たちも同様で、誰もが質の高い旅行商品を求めている」と語った。

はじめて親になった「90後」も、より良い旅行を子供に体験させたいと考えている。1990年生まれの王さんは、3歳になる子供の父親だ。連休中、王さん夫妻は子供を連れて旅行に出た。「子供はまだ小さいけれども、幅広い世界を知ってもらいたい。だから、私と妻は、時間さえあれば、可能な限り、それほど遠くない場所に子供を連れて旅行に出たいと考えている」と王さん。

このほか、美団網のホテル・入場料予約などのリゾート関連データによると、今年のメーデー連休中、テーマパーク関係のナイトチケットの売上が上昇の一途をたどり、ナイトツアー関連商品の売上は前年同期比53%増加し、特に、「90後」や「00後」など若年層の間で人気が高かった。

 

旅行とインターネットの統合

インターネットと共に成長した世代である「90後」は、旅行中も、当然のことながら、インターネットに関連する要素が少なくない。重慶ライトレール2号線李子壩駅は、ビルを突き抜けて電車が走行するという独特さでネットで話題になり、相当数のフォロワーを獲得した。メーデー連休中、大勢の観光客がこの話題の同駅を訪れたが、その多くが若い人だったという。

上海からやって来たという「90後」の李さんは、「スマホでライトレール李子壩駅の動画を観て、とても面白かった。実際にこの駅の前に立ったとき、ちょっとゾクゾクっとした。特に、駅の下で次の電車が来るのを待っていると、『最高の期待感』がむくむくと沸き起こった」と話した。
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インターネットのお陰で、「90後」の旅行体験はより豊富なものとなっただけではなく、旅行に出発する前から「90後」は、ネットをうまく活用し、ぬかりなく旅行準備を進めている。個人旅行をしたいのか、貧乏旅行にするのか、あるいは海外ツアーを利用するのか。自分自身の旅行ニーズを決めると、さまざまな旅行アプリが「90後」のスマホにダウンロードされ、小旅行でもロングバケーションでも、ちょっと指を動かすだけで、思いのまま計画を立てることができる。

メーデー連休は、1~2線都市と比べて、宜賓、包頭、嘉興、湖州、台州、贛州など三・四線都市出発の航空券の予約も多く、予約量が前年同期比140%以上増加したことは、注目に値する。ここでも、「90後」の若者の寄与率はかなり高かった。

オンライン・オフラインそれぞれに異なるシーンがあり、それによる体験もさまざまだが、「90後」にとって、最も素晴らしいシーンは、手で直接触れることができる範囲にある。