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インバウンドにおけるデータは活用方法が今後の課題、インバウンドデータサミット開催

2019.09.11

2019年9月6日、アジア全域の旅行者データを活用してインバウンド集客プロモーションなどを手掛けるVpon JAPAN株式会社が、設立5周年を記念し、インバウンドデータサミットを開催した。

サミットでは、データを活用してインバウンド対策を行う観光関連の団体が登壇し、各地域が抱える課題や対策をディスカッションしたほか、地方自治体や民間企業へデータを提供するソリューション企業から、観光におけるデータの活用法や可能性についてトークセッションも行われた。

Vpon JAPAN代表取締役社長の篠原氏によると、同社では、設立の2014年から、事業モデルを変えながらも、一貫してインバウンドマーケティングにおけるデータ活用の重要性を発信し続けているが、最近になってようやくデジタルマーケティングに力を入れる企業や団体が増えてきたという。

基調講演では、(公財)大阪観光局マーケティング戦略室室長の牧田拡樹氏が登壇し、大阪におけるデジタルマーケティングの取り組みについて話した。

大阪ではマクロと、ミクロ2つの観点から調査を行っており、今回はその一例としてデータを活用したナイトコンテンツの実証実験について紹介した。SNSやGPSを使った調査から、大阪を訪れる訪日客の多くが夜22時には滞在先に戻ってしまい、大阪の夜を楽しんでいないという課題が見えた。この課題を解決すべく、ナイトコンテンツを持つ19店舗を巻き込み、実証実験を行った。訪日客向けに配布したクーポンや、実施店舗に設置したOsaka Free Wi-Fiの利用実績、店舗への聞き取り調査結果を踏まえ、今年2月よりサービスが本格スタートした。データを根拠にPDCAを回す、一見すると当たり前のことだが、きちんと取り組むことが大切と話した。

 トークセッションでは、基調講演に引き続き大阪観光局の牧田氏のほか、(公社)京都市観光協会の堀江氏、(一財)沖縄観光コンベンションビューロの渡辺氏、JNTOデジタルマーケティング室の中村氏が登壇し、それぞれの組織が抱える課題、データをどのようにマーケティングに活かしているか、などを紹介した。

特に今、DMOが観光に拘わるデータを蓄積するDMP(Data Management Platform)への期待が高まっているが、スタンスや導入状況は様々だ。導入済みの組織についても、現在はデータ収集の段階で、蓄積したデータをどう活用していくかは、これからのフェーズになるという。

データの具体的な活用法について、京都市観光協会の堀江氏は、取得している様々なデータを組み合わせることで、例えば地域にとって優良な顧客かどうかなどを指標化していきたいと話した。DMPにどんなデータを蓄積していきたいかという質問に対し、大阪観光局の牧田氏は、初期段階では、Webサイトの分析データは必須、そこからターゲットとするペルソナを割りだすことが必要。また、断片的なデータは集まりつつあるが、今後はそれらのデータの掛け合わせや組み合わせなど、どうデータを活用するかが重要になってくると強調した。

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(やまとごころ編集部)

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