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多言語推進フォーラム 小売業における多言語対応に共通ガイドライン周知へ

2019.12.26

2019年12月24日に「多言語対応ICT化推進フォーラム」が東京国際フォーラムで開催された。2020年オリンピック・パラリンピック大会多言語対応協議会が主催したもので、外国人旅行者の受入環境整備に欠かせない、表示・標識等の多言語対応を強化・推進を目的として、交通、観光・サービス、小売などの各分野で多言語対応に取り組んでいる事例が紹介された。

観光施設だけでなく、交通や小売など各分野での多言語推進を

フォーラムの展示会場では、最新のICT(Information and Communication Technology)サービス企業によるブースが設けられ、AIを活用した自動会話ロボットの展示、自動翻訳機能を持つスマートフォンと連動させたウェアラブル眼鏡の展示が行われた。

セミナー会場では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏による基調講演に続いて、観光庁による多言語対応強化への取組について講演が行われたほか、「観光・サービス」「小売」「交通」「安心・安全」の4つの分野で計8つのセミナーが開催された。「交通」ではJR東日本、京王電鉄、JALの担当者を招き、それぞれ鉄道や駅構内、飛行機での多言語対応の取組を紹介。「観光・サービス」では自治体の多言語取組事例として調布市の担当者が登壇した。

小売業の多言語対応は「わかりやすさ」がポイント

小売業セミナーでは、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会事務局長の新津研一氏が「小売業の多言語対応~ガイドラインの活用と実践」をテーマに講演を行った。ホテルや観光案内所よりも訪日客との接点が多いのが、実は小売業であると指摘。そこでの接客が訪日旅行の満足度にも直結するため、「小売業の多言語対応ガイドライン」を活用して受け入れ環境の整備を訴えた。

ラグビーW杯や五輪といった世界的スポーツイベントをきっかけに訪日した初心者には、特に「わかりやすさ」と「歓迎」がポイントとなる。ガイドラインでは、小売業における多言語対応で重要なものとして、「接客・コミュニケーション」「店頭表示」「商品情報」の3つの分野を挙げている。

「接客」においては無言で通訳を呼びに行くのではなく、まず笑顔で「いらっしゃいませ」と歓迎の意を示すことが重要だと話す。

「店頭表示」においては、使用可能なクレジットカードや免税の有無、お酒や薬の取扱などについて統一したピクトグラムを作成した。これらのピクトグラムは無料でダウンロードすることができ、訪日客に分かりすいようにお店の入口、店内、レジ横の3カ所に掲示することを推奨した。

「商品情報」ではペットボトルのパッケージ例を挙げて、日本人ならお茶は緑色のペットボトルと分かるが、外国人にとっては多言語で商品名が併記されていなければ、見た目だけでは分からないと指摘。価格や商品情報を正確に伝えることで、外国人旅行者が安心・安全に買い物できる環境を広げていきたいと訴えた。

(やまとごころ編集部)

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