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【入門講座vol.3】訪日外国人はどんな国から来ているのか?

2020.04.10

前回の記事ではインバウンド担当者が押さえておきたい情報収集法についてご紹介しました。今回は、日本を訪れる外国人が、どんな国の人たちで構成されているのかを見ていきましょう。コロナウイルスによる感染が収まり、また多くのインバウンド客が日本に来てくれる日のためにも、どんな国からの人が訪日客が多く、その人たちが何を目的として日本を訪れているのか知っておくのは大切なことです。近年のインバウンドの傾向をご紹介していきます。

 

国・地域別で見る訪日外国人の割合 

vol.1では2019年の訪日外国人の数が3188万人であることをご紹介しましたが、国・地域別の内訳はどうなっているのでしょうか。以下のグラフを見てみましょう。 

 

訪日外国人数の内訳では、東アジア(中国、韓国、台湾、香港)からの訪日客が全体の7割を占めています。東南アジアも含めたアジア圏で見ると全体の8割を超えていますので、アジアからの訪日客が圧倒的に多いことがわかります。しかし最近では、2018年に政府が欧米豪市場向けに大規模なキャンペーンを打ち出したことにより、欧米豪からの訪日客が増加傾向にあることも知っておきたいポイントです。

 

 

また上の表を見るとわかる通り、2019年の韓国人訪日客は日韓関係の悪化により25.9%減となりました。2020年序盤のデータではコロナウイルスの感染拡大による影響で中国人訪日客の減少もみられます。一方で昨年はビザの発給要件が緩和されたロシアからの訪日客が増えました。こうした外交関係や社会的背景、政府の指針などもインバウンドに大きく影響することを念頭に入れておきましょう。

 

訪日外国人は何を目的に日本へ来ているのか

訪日外国人は主にどういった目的で日本を訪れているのでしょうか。おそらく真っ先に頭に浮かんでくるのは「観光・レジャー」でしょう。確かに、このカテゴリーは全体の8割を占めますが、それだけではありません。日本に住む親族や知人、友達に会うために訪日する人もいれば、修学旅行のような学校行事やイベント、留学目的で訪日する人もいます。また「インセンティブツアー」と呼ばれる企業の報奨旅行や、社内会議や研修、商談で日本を訪れるビジネス旅行「MICE(マイス)」で訪日する人が増えてきていることも覚えておきましょう。また観光・レジャー目的では、全市場で団体旅行よりも個人旅行が増えています。特にアメリカ人は95%が個人旅行で日本を訪れています。

個人旅行とリピーターが増加すると共に、大きく変化していることのひとつが滞在中の行動です。以前はゴールデンルート(東京、箱根・富士山、京都、大阪)を観光する訪日外国人が多かったのに対し、最近ではより深い目的やテーマを持って訪日する人が増えてきました。この傾向は、かつて「爆買いブーム」を巻き起こした中国人観光客においても同様です。つまり、商品を購入する「モノ消費」から体験や思い出を重視する「コト消費」へと訪日外国人の関心がシフトしているのです。これに伴い、都市部から地方に足を伸ばす訪日外国人が増え、地方創生を後押ししていることも重要なポイントです。

 

このように、訪日外国人の属性や訪日旅行中の目的を理解し、市場ごとのニーズ把握することは、インバウンド誘致への近道となります。次回は自社や地域の状況を客観的に把握する方法について解説します。