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追悼 新型コロナウイルスの犠牲者 志村けんさんはインバウンドにも貢献?! 彼のコントが世界に笑いを

2020.04.28

日本はもとより世界中で新型コロナウィルスの感染者が拡大し、世界的に死者数も増えている。

日本を代表するコメディアン「志村けん」さんも新型コロナウイルスの被害者の一人、3月29日に亡くなった。私のように「8時だヨ!全員集合」でお世話になった世代にとっては、親戚のおじさんが亡くなったぐらいに、ショックな出来事だった。

 

世界中で知られている志村けん

実は彼は、海外でも人気のコメディアンだったことはご存じだろうか。

例えば、台湾では志村けんさんがコロナウイルスにより亡くなったというニュースは、大手メディアでも大きく報道されたほどだ。台湾総統の蔡英文氏も哀悼のコメントを自身のTwitterで送ったことは有名な話だ。

他にも多くの台湾人がコメントを寄せていて、志村けんさんの死を悲しんでいることが分かる。

 

志村けんさんが、日本語の先生!?

また、うちの民泊に滞在したゲストからも、志村けんさんは大人気だった。それも、特にアジア圏というよりも、欧米の人たちにだ。いったい、なぜなのか、そう感じる方も多いかもしれないが、実は、志村けんさんの一貫したコントは、世界に普遍的な笑いを届けていたからだろう。

昨年の夏に滞在したアメリカ人のギャバン君は、最初の自己紹介で「変なオジサンです」と言っていたほど。すかさず、私は、「志村けんを知っているの?」と聞いてみた。

すると、「はい、私の先生です」という答え。

「???」となる私。

詳しく聞くと、日本語の勉強をするのに、YouTube動画での彼のコントが非常に役立ったからだという。日本語力がまだ十分でない他のゲストにもこの動画を見せたところ、皆、ゲラゲラと大笑いだった。

 

志村けんのコントが日本語の勉強にうってつけの理由

うちの民泊は西荻窪という郊外にあり、短期滞在の観光客というより、少し長めでゆっくりと日本のローカル体験をしたい人が多い。なかには、日本へのリピーターもいて、日本語を勉強したいという人も少なくない。そのうちの一人がギャバン君だったのだ。

語学を覚えるには、参考書を使って基礎を身に着けたあと、その次のステップとして、現地の飲み屋で学んだという話が、ひと昔前なら多かった。お店のマスターやママさんとカタコトの日本語を交わし、その中で実際に使える単語も習えるからだ。

これは、逆に日本人の場合でも海外に行って、その手の勉強法で言葉を学んだ人も多いだろう。

ところが、最近の勉強法はテクノロジーの普及に伴いIT化が進んでいて、例えばSkypezoomでお互いに別の国の人同士が学び合う方式もある。スペイン語を学びたい日本人と日本語を学びたいスペイン人が組んで、オンラインで会話してお互いの言語を勉強するのだ。

さらにYouTubeなどの動画コンテンツの普及により、日本の面白いテレビ番組を気軽に見ることができるため、動画を通じて勉強できる。そのなかで、志村けんさんのコントは日本好きの外国人にも大人気であるとのこと。

 

日常のテーマを題材に、笑いに変える

志村けんさんのコントは、その動き、変顔の完成度、日常をテーマにしていることなどが、世界の普遍的な笑いに繋がる理由だろう。酔っ払いのおじさん、個性的なお婆さんなど、日常にありそうなネタを笑いにしている。とにかく見ているだけである程度理解ができる上に楽しいのだ。だから勉強もはかどるということだろう。ためしに、外国人のゲストに他のお笑い芸人のYouTubeを見せたが、全然、伝わらなかった。何が面白いのか通訳するのにひと苦労だった。

ギャバン君に志村けんさんが新型コロナウィルスで亡くなったことを連絡したところ、たいへん残念がっていた。

もはや日本だけでなく世界のコメディアン、志村けんさんのご冥福をお祈りします。

注)現在、非公式でYoutubeにアップされた志村けんさんのコントは削除されており、所属事務所のイザワオフィスが公式のYoutubeチャンネルにて、テレビ放送された動画を再編集の上、公開しています。

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