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【コロナ:世界の動きまとめ】世界の感染者数900万超。往来再開に向けベトナム臨時便、8月に開始見込み「Go To キャンペーン」。富裕層にシフトするタイ

2020.06.23

25〜27日、ベトナムに向け臨時便が運航される。日本では県をまたぐ移動が解禁され、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーが7月1日から営業再開することを発表するなど、収束に向かっているようにみえる新型コロナウイルスだが、世界でみると感染拡大の勢いはいっこうに衰えていない。
宅配業が活況を見せる中国や、コロナを「量から質へ」観光業を再編させる機会だと考えるタイのことなどもお伝えする。

 

日本:ベトナムに向け、臨時便で440名

茂木外相は23日の記者会見で、日本からベトナム行きの臨時便が25〜27日の日程で運航されることを発表した。3便に分け、日本人駐在者、出張者の約440人がベトナムに向け出国する。新型コロナウイルス感染拡大で規制して往来再開に向け、両国政府が段階的に緩和していくことを19日に合意して以降、初めての渡航となる。今回の渡航者はベトナム入国時にPCR検査を受け、現地ホテルで2週間隔離されることになる。

 

5月のホテル稼働率14.8%

ホテル専門の英調査会社STRが発表した5月の日本の国内ホテルの稼働率は14.8%となった。稼働率14.1%で過去最低となった4月よりはわずかに上向いてはいるが、5月は休館した施設が増加しており、STRが集計対象とする施設は前月より3割少ない746軒となっている。

 

Go To キャンペーン開始、8月にずれ込む見通し

一方、政府が新型コロナ後の需要喚起策として実施予定の「Go To キャンペーン」の旅行支援は、開始時期が8月にずれ込む見通しとなっている。経済産業省では7月開始を目指し準備を進めていたが、業者への高額な委託費が問題となり、旅行費を補助する「Go To トラベル」は国土交通省、飲食業を支援するための「Go To イート」は農水省、イベントや商店街の支援のための「Go To イベント」は経産省と、分けて担当することとなった。もっとも、委託費の上限額総額は見直し前と変わっていない。

 

世界の感染者900万人、死者46万人に

米ジョンズ・ホンプキンス大は、23日午前3時(米東部時間22日午後2時)時点で、世界の新型コロナウイルスへの累計感染者数が900万人を超えたと発表した。

感染者は、世界188カ国・地域で約900万6000人。国別の最多は米国の約229万人、次いでブラジル約108万人、ロシア約58万3000人、インド約42万5000人、英国約30万人と続く。世界全体の死者数は約46万9000人で、米国約12万人、ブラジル約5万人、英国約4万3000人、イタリア約3万5000人、フランス約3万人となっている。

感染者数が100万人増える間隔も縮まっており、5月20日に500万人を超えてから、600万人になったのには10日後だったのに、800万人を記録した6月15日の7日後には900万人を超えている。

 

アメリカ:就労ビザ発給、年末まで一部停止

アメリカ政府は22日、米国人の雇用確保を理由に、一部の就労ビザを使った外国人の入国を年末まで停止すると発表した。IT企業で働くインド人技術者らの流入阻止が主な目的であるが、日本企業の転勤や現地採用にも影響が及ぶ可能性もある。

 

デルタ、中国への定期旅客便を再開へ

米国のデルタ航空は、米中間の定期旅客便を週2便再開させると発表した。約3カ月半ぶりの運航となる。再開されるのは、シアトル〜上海浦東路線を6月25日から週2便運航、7月以降はシアトル〜上海浦東、デトロイト〜上海浦東もをそれぞれ週1便ずつ運航させる。いずれの便も韓国の仁川国際空港を経由する。

 

北京:コロナ拡大“第2波”にならぬよう慎重に対処

中国・北京市では、新型コロナウイルスへの感染例が23日には150件を突破、市は一部住民の市外への移動を禁じた。北京の新聞『Beijing News』によると、複数の5つ星ホテルの予約キャンセルが相次いでいるほか、市内ツアーの予約も大幅に減少するなど、観光業が再び打撃を受けている。同市は、6月6日に始動した大規模な消費促進プログラム「北京消費シーズン」のオフラインでの活動を一旦休止しているという。

 

国家郵政局、宅配事業収入8600億元を超える見通し

中国・国家郵政局の統計によると、5月の宅配業務量は前年同月比41%増の73億8000万件で、25%増の収益となったという。宅配業は、新型コロナの感染防止のため自宅で自粛する期間に急速にデリバリーの需要が高まったことや、ECサイトで動画ライブを配信することで売り上げを伸ばすライブコマースがブームになっていることなどが市場の成長をけん引。今年の宅配事業の収入が8600億元(約92兆円)を超す見通しであることも明らかにした。

また北京では、郵政局と宅配便企業17社が従業員10万3000人のPCR検査を22日実施した。美団や餓了麽(Eleme)、盒馬、毎日優鮮などのデリバリープラットホーム、ECプラットホーム配達員のPCR検査を行い、安全で安定したスムーズな宅配業務が維持できるようにしているという。

 

香港:経営破綻のキャセイパシフィックを政府が救う

香港の航空大手キャセイパシフィック航空は、香港政府の支援により経営破綻を回避した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で世界的に国際航空路線が激減する中、国内線を持たない同社は深刻な打撃を受けている。しかし6月9日、同社は政府が主導する総額390億香港ドル(約5460億円)の資本増強策を発表し、政府側も「今回の危機は経営上のミスが招いたものではなく、政府の支援が必要だ」と述べ、経営の立て直しに向けて始動した。

 

香港政府観光局がキャンペーンを開始

香港政府観光局(HKTB)は「ホリデーアットホーム」キャンペーンを開始。同キャンペーンは、地元住民たちに香港の知られざる魅力を発見してもらい、消費喚起を促すことを目的としている。HKTB の発表によると、5月のインバウンド客数は約8100人で、前年比100%近く減少している。今後はまず域内での観光活性化からスタートし、その後世界にポジティブな印象を与えていきたいとしている。

 

ASEAN:各国、国内観光に力を入れる

新型コロナウイルスの影響により、海外からの観光客が激減した東南アジア全域では、各国の政府や企業が国内観光に力を入れている。ベトナムのホテルは半額で部屋を提供しており、マレーシアでは国内旅行を促進する映像を作るコンテストを実施している。タイではソーシャルディスタンス確保のために再びビーチが閉鎖されるほど国内旅行者が殺到した。ASEANは各国内の観光需要の回復が見込まれた後に、両国間で国境を超えた観光ができるようにする「トラベルバブル」の実施を検討している。まずは、新型コロナウイルスの感染拡大がある程度落ち着いてきているベトナム、タイ、シンガポール、マレーシアの4カ国が候補に挙がっているようだ。

 

タイ:「観光業を再編成させるチャンス」

タイ政府がコロナ時代の観光戦略を再考する中、タイの観光大臣は「パンデミックは観光業を再編成させる機会だ」と述べた。プライバシーの保護と社会的距離が求められる中、タイの新たな観光回復戦略は「量より質」、つまり団体旅行やバックパッカーに依存するのではなく、今後は個人の富裕層をターゲットにする方針であることを明らかにした。今後はリスクの低い国から国境を再開していき、トラベルバブルが実施される頃には、富裕層に対するマーケティング活動を強化していくという。

 

旅客回復は2023年になると予測

タイ国内で、バンコクやプーケットなど主要都市の6つの空港を運営するタイ空港会社(AOT)は、旅客需要の回復の見通しを発表。各国でコロナの第2波が発生することなども想定した上で、コロナ以前の水準に戻るのは23年9月期になると予測している。タイでは、国際線旅客機の乗り入れと外国人の入国を3月末より原則禁止しており、4月、5月の空港の利用者はそれぞれ前年同月比99%、97%減少している。

 

オンラインで開催「ツーリズムフォーラム」

タイでは6月17日、「ツーリズムフォーラム2020」がオンラインで開催され、国内外1000を超える旅行業者が参加した。同フォーラムでは、タイのホテルや観光業者が現在ターゲットにしている国内旅行者の潜在的な需要について話し合われた。2019年のタイはGDPの19%を観光から得ており、国内の旅行支出はその約6%を占めている。タイ政府は新型コロナウイルスの感染拡大により深刻な打撃を受けた観光業の回復を図るため、224億バーツ(約773億円)を投じ、まずは国内観光刺激策を実施すると発表している。

 

フィリピン:日常に浸透する「ニューノーマル」

フィリピンでは「ニューノーマル」が人々の日常生活や考え方に浸透しつつあり、すでに観光を再開している地域もある。同国の観光省は、安全を確保するための新たなガイドラインを発表し、国内の観光を促進している。宿泊施設の運営再開には政府当局が発行する証明書が必要となり、ソーシャルディスタンスや連絡先の追跡、その他の安全対策に厳密に従う場合にのみ運営が許可される。

(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)

 

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