【コロナ:世界の動きまとめ】EU、7月1日より日本など15カ国からの渡航制限解除へ。日本、新たに18カ国追加、入国拒否対象129カ国に
2020.06.30
明日7月1日より、EUへの渡航が解禁されることになる見通しだ。とはいえ、日本政府は日本人を含むすべての海外からの入国者に対して、PCR検査と14日間の自宅などでの待機を求める措置を、7月末まで延長することを29日に発表しており、EUサイドが受け入れるようになったとしても、気楽に往来できるようになる訳ではなさそうだ。
EU、日本含む15カ国からの入国を受け入れの方向
欧州委員会は30日ブリュッセルで会議を開き、7月1日より日本を含む15カ国からEU(欧州連合)への渡航制限を解除し、観光客やビジネスでの入国を受け入れる方針であることが明らかになった。現地時間30日正午までに行われる多数決の採決で承認される見通し。これまでに承認の批准に必要な加盟国の55%(EUの総人口の65%に相当) を超える国が、この入国を認める国のリストを承認している。リストは、2週間ごとに見直される。
EUは30日午後にも渡航を許可する国のリストを完成させ、その条件も明らかにする予定。
《7月1日より、EUへの渡航が認められる予定の国》
アルジェリア
オーストラリア
カナダ
ジョージア
日本
モンテネグロ
モロッコ
ニュージーランド
ルワンダ
セルビア
韓国
タイ
チュニジア
ウルグアイ
中国(※)
※中国に関しては、中国側がEU市民の入国制限を解除するなら、認めるとの条件が示されている。
これに先立つ26日に開かれた会議では、54カ国の草案リストが渡航規制緩和の候補として示されていた。どこの国からの入国を優先させ認めるかについては、EU加盟国それぞれの立場や思惑があり、長い時間をかけ協議が行われた。一国でも多くの国への渡航規制を解除を望む、観光が主産業となっているギリシャ、ポルトガル。相手国の感染者数が抑制されていて安心・安全が担保できる国から往来を再開させるべきだと考える慎重派のスペイン、ドイツ。自国民を受け入れない国からの往来は認めるべきでないと考えたフランスなどがあり、困難を極めた協議の末、上記の15カ国に絞られた。アメリカやロシアは含まれていない。
制限解除の条件として、直近2週間の新たな感染者が人口10万人につき16人程度であること、感染者の追跡調査が適切に行われていることを条件としている。
またイギリスについて欧州委員会は、リストには入っていないものの「ブレグジット移行期間の終了時(2020年12月31日)までEU市民と同様に扱う」と、EUへの往来を認める方針だ。
日本:18カ国を新たに入国拒否に。入国後の行動制限は7月末まで延長
日本政府は新型コロナウイルス感染拡大防止の水際対策として実施している入国拒否対象国に、新たにアルジェリアやジャマイカなど18カ国を追加することを29日決定した。7月1日の午前0時より、対象に加わるのは下記の18カ国。過去14日間にこの国に滞在していた外国人は入国を拒否される。この決定により、日本が入国拒否をする対象は129の国と地域に広がる。
《新たに入国拒否対象に加わる18カ国》
アルジェリア,イラク,エスワティニ,ガイアナ,カメルーン,キューバ,グアテマラ,グレナダ,コスタリカ,ジャマイカ,ジョージア,セネガル,セントビンセント及びグレナディーン諸島,中央アフリカ,ニカラグア,ハイチ,モーリタニア,レバノン
現在、日本では全世界からの入国者に対して行動制限を行なっており、入国後14日間の自宅やホテルの行動規制を求めている検疫の措置を7月末まで続けることを発表。またすでに発給済みの査証(ビザ)効力を停止し、ビザ免除措置も凍結する措置も7月末まで延長することも、同日発表した。
欧州委員会の決定により、観光やビジネスでEUへ入国することは7月1日より認められることはなるが、日本へ帰国した際には感染の有無を調べる検査を実施し、陰性でも自宅などで2週間の待機が求められることとなる。
イギリス:『Good to Go キャンペーン』でステイケーションを促進
新型コロナウイルスの感染者数が世界第5位、死者数が世界第3位と多大な被害を受け、ボリス・ジョンソン首相自身も感染したイギリスでは、海外から帰国するイギリス人に対して帰国後14日間の検疫期間を義務付ける厳しい措置をとっている。この措置に対しては、国内の航空会社や旅行会社などの観光業界から早期の解除を求める要望が出されていたが、政府がこれを免除する方向で調整を始めたとの報道を複数のメディアが報じている。
この報道を受け、イギリスでは夏季休暇の予約が急増。大手旅行会社TUIのUKおよびアイルランドのマネージング・ディレクターによると、イギリスでの予約は前週と比べて50%増加し、特にスペインとギリシャの人気が高いという。また、イギリスの大手OTA、Lastminute.comによると、売上が前週に比べて80%増加したという。
イギリスの政府観光局は、ステイケーション(近場の旅行)を促進するための『Good to Goキャンペーン』を発表した。これに伴い、イギリスの観光業界標準を示す消費者向けのロゴを作成し、7月4日の国内旅行解禁に合わせて展開する予定となっている。
アメリカ:60%以上が再び旅行に行ける日を心待ち
連日のように1日あたりの新規感染者数の記録を更新しているアメリカでは、再び新型コロナウイルスが猛威を振るっている。Zapwater Communications社が実施したアンケートによると、アメリカ人の60%以上が旅行に再び行ける日を楽しみにしているという。その一方で、観光業者は感染の再拡大を懸念しており、ホスピタリティ業界に特化した情報を扱うSTRとTourism Economicsの調査では、アメリカのホテル稼働率は少しずつ改善しているものの、需要がパンデミック前のレベルに回復するのは2023年になるだろうと予測している。
また、米国ツアーオペレーター協会(USTOA)がこのほど発表した調査結果では、回答を得たツアーオペレーターの約3分の2(64%)が、過去30日間で予約数が上昇したと答えた。また、回答した事業者の約半数(52%)は、2020年9月から10月までの間に国内での観光再開を予想しており、15%は10月には事業が回復すると回答している。
Airbnb の共同創設者兼CEOのブライアン・チェスキー氏は、アメリカのメディア『AXIOS』に対し、「国際旅行が完全に回復することはないかもしれない」と語っている。Withコロナの状況下で人々は車を利用し、まずは近場の(特に国立公園への)旅行をすることから始めるだろうとの見解を示した。また「いつかは飛行機を使った旅が回復する」としながらも、大都市に偏っていたこれまでの「マスツーリズム」ではなく、地方のより小さなコミュニティへ足を運ぶ人が増えるだろうと語っている。
オーストラリア:7月下旬から国境再開の方針
オーストラリアのモリソン首相は、国境の再開が雇用確保につながるとの見解を示した。同国では南オーストラリア州とタスマニア州で、7月下旬に国境を再開すると発表している。
ニュージーランド:感染拡大防止の優等生は、国内旅行を推奨
新型コロナウイルスの感染拡大防止の優等生ニュージーランドとベトナムでは、海外旅行を除く全ての制限が解除されている。しかし、観光回復を急速に進めているベトナムに対し、ニュージーランドはゆっくりと回復していくだろうと予想されている。ニュージーランドでは引き続き国境を閉鎖し、アーダーン首相は国民により多くの休日を取るよう推奨し、国内旅行をしてほしいと呼びかけている。これから冬本番を迎えるニュージーランドでは、観光地のクイーンズタウンでスキーシーズンを解禁した。
ベトナム:前年比大幅増の航空便で国内観光
鉄道や道路のインフラが整っていないベトナムでは航空旅行に人気があり、7月に2万6000便以上(前年比16%増)、500万人(前年比24%)を輸送すると予想されている。ベトナム政府および地方自治体は、国内観光を後押しするために観光業者を支援し、大幅に価格を引き下げるなどの取り組みを行なっているという。
(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)
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