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【コロナ:世界の動きまとめ】日本:在留資格をもつ外国人の再入国を9月1日より全面解禁、入国拒否は159カ国へ。ドイツ、イギリス、フランスでマスク義務化に抗議デモ

2020.08.30

日本政府は在留資格をもつ外国人の再入国を認める一方、水際対策として、新たに13カ国を入国拒否の対象に加えることを発表。シンガポールやマレーシアなどとは「レジデンストラック」開始のための協議を始める。
新型コロナの感染が再び増加しているフランスやドイツではマスク着用を義務化するなど、再びのロックダウンを避けるべくコロナ対策となる規制を実施、国民への理解と協力を呼びかけている。

 

日本:在留資格をもつ外国人の再入国、来月より認める

日本の在留資格をもつ外国人の再入国を、9月1日より全面的に解禁することを28日政府が発表した。在留資格をもつ外国人は、定住者やビジネス関係者、留学生など263万人がおり、8月中旬時点で約20万人が日本から出国している。在留資格をもつ者は「再入国関連書類提出確認書」の交付を受ければ、入国拒否対象地域から再入国できるようになるが、滞在先の国・地域の出国前72時間以内に実施された検査証明の提示や、入国から14日間は自宅で待機することが条件となる。

 

ブータン、エチオピアなど新たに13カ国を入国拒否へ

政府は28日の国家安全保障会議で、新型コロナウイルス感染拡大の水際対策として、30日0時よりブータン、エチオピアなど13カ国を新たに入国拒否の対象に加えることを決定した。これにより、現在日本が入国拒否の対象とするのは、159の国と地域となる。

新たに入国拒否対象国となるのは、以下の13カ国:
エチオピア、ガンビア、ザンビア、ジンバブエ、チュニジア、トリニダード・トバゴ、ナイジェリア、ブータン、ベリーズ、マラウイ、南スーダン、ルワンダ、レソト。

また、8月末までとしていた、すでに発行済みの一部の国の外国人に対する査証(ビザ)の効力やビザ免除を停止措置を延長することも発表。いつまでとの期間を定めないでの延長となった。

往来再開に向け、日本政府は感染状況が落ち着いている国・地域との協議、調整を開始している。現時点で日本政府が協議を進めているのは、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾。

 

シンガポールやマレーシアなどとも「レジデンストラック」

日本は、7月29日よりタイとベトナムとの間で、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ、双方向の往来を再開する「レジデンストラック」の受付を開始している。

9月にも、シンガポールとの間で入国後14日間の自宅等待機期間中も、行動範囲を限定した形でのビジネス活動を可能とする「ビジネストラック」や、入国後14日間の自宅等待機等の措置を取りつつ、双方向の往来を再開する「レジデンストラック」を開始する方向で調整中だという。また、9月上旬にも、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマーとの間でも「レジデンストラック」を開始予定だと明らかにしている。

 

フランス:パリ全域で、マスク着用を義務化

フランスのカステックス首相は27日、新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることから、28日からパリ全域でマスクの着用を義務化することを発表した。歩行者やサイクリストにもマスクの着用が義務付けられた。フランスではこの日、6111人の新規感染者が確認されており、カステックス首相は「否定できないレベルの再流行」が起きているとして、マスクの着用への理解を求めた。違反者には135ユーロ(約1万7000円)の罰金が科される。フランスの、これまでの新型ウイルスによる27万人以上が感染しており、3万602人が死亡している。

 

ドイツ:コロナ対策の新しい施策を合意

ドイツでも感染者が再び増加しており、ドイツ政府も危機感を高めている。
ドイツはこれまでの新型コロナウイルスによる死者は9360人と、他のヨーロッパ諸国に比べると少ないものの、この1週間の新規感染者数は連日1500人を超えている。感染拡大を防ぐため、連邦政府は全16州の自治体とマスクの着用などの新施策で合意したことを発表した。

店舗や公共交通機関などでマスクを着けなかった場合、最低で50ユーロ(約6300円)の罰金が科せられることや、年末までの大規模集会の禁止(ただし、感染者が少ない州で、州の住民に限定される集会はOK)される。これにより、プロサッカーリーグの試合も、年内は無観客で行われる見通しとなった。

 

マスクなどのコロナ規制に反対のデモ

こうした中、29日にはドイツやイギリス、フランスで、新型コロナウイルス対策として打ち出される規制に反対する人々が集まりデモが行われた。

ドイツでは、「クエルデンケン(既成概念にとらわれず考えよう)」というグループの約1万8000人がベルリンに集まった。店内でのマスクの着用が義務化されているロンドンの中心部トラファルガー広場にも約1000人が集まり、ワクチン強制接種反対や、マスク着用への義務化への不満を訴えた。パリでは約300人が集まり、屋外でマスクを着用することでの効果は科学的に証明されていないとマスク着用義務化を反対したが、警官から次々と、マスク未着用の罰金を言い渡された。

 

イギリス:9月からの学校再開に不安の声

国内の大半の学校が長期の休校となっているイギリスでは、新学年が始まる9月より小中学校を再開させると政府が発表したことで、様々な議論が湧き上がっている。

イギリスでは3月25日より全土ロックダウン(都市封鎖)が行われ、学校も全面休校の措置がとられた。6月1日からは一部の地域などでは通学が再開されたものの、安全性への懸念から子どもを登校させない保護者もいた。最近行われた世論調査では、65%の調査対象の親が「子供を学校に戻すことに不安を感じる」と回答している。

 

子供たちの感染リスクは「わずか」

BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)は、イングランド、ウェールズ、スコットランドの病院でコロナウイルスに感染した651人の子供たちを分析。それによると、651人のうち新型コロナウイルスで亡くなったのは1%の6人で、他の年齢層の27%の割合よりも大きく下回っていることを公表した。

イギリス政府は、校内での接触制限などの対策を取った上で、スコットランドなどでは既に一部の学校が授業を再開させており、イングランドとウェールズ、北アイルランドの学校は9月から再開させる予定としている。子供たちが来月学校に戻るのは安全だと両親に安心させるため英国の最高医療責任者は声明を出し、学校でコロナウイルスに感染する子供たちのリスクは「信じられないほど小さい」と述べ、「多くの子供たちが学校に行かないことによって受ける損害の方が明らかである」と付け加えた。また、シャップス運輸相は28日、景気回復に向け職場への復帰を呼び掛けた。

 

大学へはオンライン授業を要請

一方でイギリス政府は、大学に対しては、クリスマスまでの対面での授業を実施しないよう要請している。各大学側は、学生生活を再開させるための準備をしてきたとしており、対面授業とオンライン授業を組み合わせたカリキュラムや、少人数のグループ化したものを「バブル」グループとして対面での授業を再開させる案が検討されている。

イギリスでは、1月末にEUを離脱したため欧州域内の移動の自由を保障した「シェンゲン協定」加盟国には含まれていないが、移行期間のためEU域内の移動は認められている。イギリスでは6月8日以降に入国した全ての人に14日間の自主隔離を求め、違反者には罰金を科す厳しい措置を実施していたが、7月10日よりは、日本を含む一部の国・地域を対象に自主隔離が不要となる規制緩和を実施している。

 

クイーン・エリザベス号:2021年の日本発着クルーズを中止に

豪華客船クイーン・エリザベス号を運行するキュナード社は、2021年のワールド・クルーズの運航を中止することを発表。これにより予定していた日本発着もキャンセルとなった。同社は2022年には日本発着のクルーズの再開を目指すという。

クリーン・エリザベス号は、2021年にオーストラリア、アラスカ、日本へ寄港する予定としていたが新型コロナウイルスの感染拡大により長時間の航路となるワールド・クルーズを中止。代わりにアムステルダムに1泊停泊するショート・クルーズや、イベリア半島などを巡る南欧クルーズなどのヨーロッパ・クルーズ行う。新しい旅行行程は9月29日発表予定。

同社が運航させている、クイーン・メリー2号も2021年4月18日まで、クイーン・ヴィクトリア号は2021年5月16日まで、ワールド・クルーズの運航を取りやめる。

 

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