【香港編】世界の国・地域別、新型コロナ最新情報:新規感染者10人以下に抑制できている香港は、どこの国から往来を再開させるのか?
2020.11.11
欧州では新型コロナウイルスにより再びロックダウンの措置をとる国が増えている中、感染拡大が比較的コントロールできているアジアでは感染拡大防止と経済回復の両輪を回すための動きが出ています。第一弾の台湾情報まとめ記事に引き続き、今回取り上げたのは香港。2019年229.1万人、国別訪日外国人数4位の香港のコロナ禍における状況をまとめました。
香港の出入国制限について
中国本土、マカオ、台湾以外から入境を原則禁止
香港は12月22日現在、中国本土、マカオ、台湾以外の国・地域から入境するすべての非香港居民に対して原則、入境を禁止しています。この措置は少なくとも12月31日にまでは継続される見込みです。
香港居民および非香港居民は、中国本土、マカオ、台湾からであれば入境できますが、健康カードの記入と入境後14日間のホテルでの隔離が11月13日から義務付けられます。
また、香港居民(香港IDもしくは査証保有者)が中国本土、マカオ、台湾以外の国・地域から入境する場合にも、同じく14日間の隔離が必要です。ただし、中国本土、マカオ、台湾からの入境するビジネス関係者には、14日間の隔離は免除されます。
シンガポールとの間に構築予定のトラベルバブルは延期
シンガポール政府は、両国・地域で感染者が抑制されていることを受け、「トラベルバブル」を開始することで合意しました。これにより、相互間の一般渡航が可能になります。渡航者は両国・地域が認定するPCR検査を受ける必要がありますが、渡航後14日間の隔離や事前の行動計画の提出が免除されます。
開始時期は11月22日より実施されることが発表されました。シンガポール航空と、香港のキャセイパシフィック航空は、トラベルバブル旅行者用として、まずは「シンガポール=香港」間で週数便のフライトを運航させ、12月7日からは毎日運航させる予定となっていましたが、香港での感染の再拡大により延期されています(詳しくはこちら)
日本との往来について
日本は11月1日、香港を入国拒否対象地域から除外したため、香港から日本にビジネス目的で訪れる短期滞在者と在留資格認定証明書を所持する人を対象にビザを発給し、入国時のPCR検査を免除しています。ただし、日本国籍者を含む全ての入国者に対して、日本での滞在場所や連絡先などを登録する質問票の提出や14日間の隔離、公共交通機関を使わない移動を要請するなど、依然として厳しい措置が続いています。
「日本=香港」間の国際線情報
香港のキャセイパシフィック航空は、「香港=東京(成田)」線で週3便を、「香港=大阪(関西)」線で週1便を運航しています。香港航空は、2020年12月4日より週1便で「香港=東京(成田)」線の運航を再開し、JALは週2便で「香港=東京(成田)」線、ANAは週1便で「香港=東京(成田)」線を運航しています。
香港の新型コロナウイルス感染者数
(2020年12月22日更新、香港政府発表)
【累計感染者数】8,238人
【死亡者数】131人
【回復者数】6,910人
香港の新規感染者は7月にピークを迎えて以降、減少の一途をたどっており、過去2カ月間は1日に1桁〜10人台で推移しています。国内の感染状況は比較的安定しているものの、海外での感染の急拡大を受け、水際措置を一層強化しています。
香港における現在の生活
香港は、7月の感染ピーク時に厳しい防疫措置をとっていましたが、感染者が抑制されてきたため、規制緩和が進められています。現在実施中の主な防疫措置は以下の通りです。この措置は1月6日まで延長されています。
1.レストラン等飲食店:午後6時~翌午前5時の店内飲食禁止。1テーブル2名まで(バー、ナイトクラブは営業禁止)
2.ジム、エステ・ネイルサロン、マッサージ店、運動施設、ボーリングやビリヤード等のアミューズメント施設、映画館等のエンターテイメント施設、カラオケ、麻雀、ゲームセンター、プール、サウナ、パーティールームの営業停止。
3.集団制限:公共の場所で2人まで
香港政府は第4波の深刻化を受け、再び規制強化に乗り出しました。公共交通機関利用時のマスク着用に関しては、違反者に対し、最大で5000香港ドル(約6万7000円)の罰金が科せられます。
香港の観光業の状況
観光地としてのリカバリーは未だ不透明
昨年の大規模なデモに続き、新型コロナウイルスによる影響で、国内の重要な基幹産業の一つである観光が大打撃を受けている香港。観光業関係者約1500人が参加しライブストリーミングで行われた年次会議で、香港政府観光局のパン・ユウカイ会長は今後の観光業の見通しについて発言。「香港の観光業は、世界各国の出入国禁止など厳しい規制措置と航空路線の中断に直面しており、リカバリー期に入ってもV字回復は難しい」との見解を示した。(詳しくはこちら)
キャセイパシフィック経営破綻を回避
世界的に国際航空路線が激減する中、国内線を持たない香港の航空大手キャセイパシフィック航空は深刻な打撃を受けている。6月9日、同社は政府が主導する総額390億香港ドル(約5460億円)の資本増強策を発表、経営破綻を回避した。(詳しくはこちら)
旅行業界、コロナで地元観光ツアーが人気に
香港政府観光局(HKTB)は「ホリデーアットホーム」キャンペーンを開始。同キャンペーンは、地元住民たちに香港の知られざる魅力を発見してもらい、消費喚起を促すことを目的としている。
香港特区政府は6月半ばに旅行社への助成金を追加し、地元の観光ツアーを推進。旅行社への助成金はツアー客1人当たり200ドルで、旅行社1社当たり1000人まで枠が与えられている。地元の歴史探索ツアー、沙頭角のライチ狩り、有機農園での果物狩り、夜のイカ釣りなどのツアーが80ドルから売り出されている。
これまでの香港の動きまとめ
●1月25日:緊急措置のレベルを最高レベルに引き上げ
林鄭月娥・行政長官らは、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス肺炎への対応について6大措置を発表。特区政府は「公共衛生に対して重要性のある新型伝染病への準備と緊急措置のスキーム」で緊急措置のレベルを「深刻」から最高レベルとなる「緊急」に引き上げた。
武漢とを往来するフライトと高速鉄道を無期限停止、元宵節を含むすべての大型イベントを中止、小中学校・幼稚園・特殊学校は2月16日まで休みとすることなどを宣言した。
●1月27日:武漢からの入境禁止
新型コロナウイルス肺炎の拡散防止のため、27日午前零時から湖北省住民と過去14日以内に湖北省を訪れた人は香港への入境を認めない措置を開始した。
●1月28日:感染拡散防止の新たな措置、中国本土からの往来も制限
新たに「新型コロナウイルス肺炎の感染拡散を防ぐための措置」を発表。香港と中国本土の人の移動を大幅に減少させる。香港域内の人の接触を減少させる。検疫中心を建設などの7つの措置を発表した。また、中国本土と結ぶ高速鉄道と直通列車は当面運行を停止させ、中国本土から香港へのフライトも半減。海路で中国本土と結ぶフェリーの運航も停止せさることを発表した。
●2月4日より、4カ所の出入境管理所を閉鎖
林鄭月娥・行政長官は2月3日、新型コロナウイルス肺炎拡散を食い止めるため出入境管理所の閉鎖を発表。4日午前零時から羅湖、落馬洲、皇崗、香港マカオ・フェリーターミナルの4カ所の出入境管理所を閉鎖させ、往来は香港国際空港、深セン湾、港珠澳大橋香港側の3カ所の出入境管理所に集中させる措置をとる。(詳しくはこちら)
●2月8日より、入境時は健康申告求める
中国本土からの入境者はすべて14日間、強制的に隔離することを発表。さらに3月8日より、措置の対象を広げ、香港国際空港から入境するすべての入境者に健康カードの記入を求めるとした。
●3月5日より、香港から日本に向かう人はすべて隔離対象
日本政府は3月9日から香港特区パスポート所持者のビザ免除措置を停止し、香港から日本へ向かうすべての人(日本住民含む)は14日間の検疫を受ける必要があると発表。
●3月14日より、北海道から来た人は隔離
香港特区政府は3月14日より、香港に到着する前の14日以内に、フランス2地区、ドイツ1州、スペイン3地区、イタリア全土、日本・北海道にいた人は、香港住民かどうかを問わず、検疫センターで検疫を受ける必要があることを発表した。
●3月17日より、全世界に渡航勧告、入境者すべて隔離
中国本土、マカオ、台湾を除く全世界各国・地域を紅色外遊警示(赤色渡航勧告)の対象とすることを発表。すべての入境者は、強制検疫を受け強制隔離の対象となる。3月19日より、空港に到着した者には在宅隔離の状況を監視するためのリストバンドの装着が義務付けられた。(詳しくはこちら)
●3月25日より、空港から非香港住民の入境を禁止
林鄭月娥・行政長官は、新型コロナウイルス肺炎対策として4つの強化措置を発表。25日から(1)海外の国・地域から航空機で香港に到着するすべての非香港住民の入境を認めない。(2)中国本土、マカオ、台湾から入境する非香港住民は、過去14日間に海外の国・地域に滞在した場合は入境を認めない。(3)香港国際空港は一切のトランジットサービスを停止。(4)マカオ、台湾からの入境者は香港住民であるかを問わず、すべて14日の強制検疫を受けることが求められるようになった。さらにライセンスを持つバーとレストランで酒類を提供するのを禁止すると発表した。
●3月27日より、飲食店は顧客を半分に抑える
行政会議は27日、「予防及控制疾病条例」の下での新規則としてすべてのレストラン、飲食店、バー、喫茶店に対して、顧客人数は正常な座席数の半分を超えてはならない、テーブルの間は1.5メートル以上の距離を空けるか他の仕切り措置を講じる、1テーブルにつき5人以上を座らせてはならない。などの措置を発表した。
●4月3日より、日本政府が香港など49カ国・地域の感染症危険情報レベルの引き上げ
日本政府は、香港・マカオ含む中国全土など49か国・地域に対し、感染症危険情報レベルを渡航中止勧告を求めるレベル3に引き上げた。
●4月20日、新たな感染者、1カ月ぶりにゼロ
香港特区政府衛生署衛生防護中心は20日、新型コロナウイルス肺炎の最新感染状況を発表。新たな感染者は確認されておらず、感染者ゼロは過去1カ月で初めて。
●4月28日、中国本土からのビジネス関係者、強制検疫を免除
香港特区政府は、中国本土からの入境者に対しも求めている14日間の検疫措置を延長するが、ビジネス関係者は免除することを発表した。
●5月5日、5人以上集まることの禁止令を緩和
林鄭月娥・行政長官は、5人以上集まるの禁止令の緩和や閉鎖されている商業施設の一部再開を発表。集まれる人数はこれまでの4人までから8人までに緩和され、飲食店で1つのテーブルに4人までしか座らせてはいけない規定も8人までに許可されることとなった。
●5月16日、タイが中国本土、香港、マカオ、韓国を解除
タイ政府は16日、即日から中国本土、香港、マカオ、韓国を「危険伝染病地域」のリストから削除すると発表。タイではこの4カ国・地域から旅行者が入国する際、医学健康証明を提示する必要はなくなった。
●6月1日より、香港でのトランジットが認められるように。MICE誘致に助成金
禁止されていた香港でのトランジットが、6月1日より認められるようになった。ただし、同じ航空会社同士のトランジットが条件となる。
また、香港の政府観光局はMICE関連のビジネスや国際イベントの誘致に8800万HKドル(約12億3000万円)を投じる。MICEを誘致したホテルに助成金を給付するほか、MICE事業を手がける旅行会社には補助金の支給条件を緩和するという。(詳しくはこちら)
●6月18日、香港ディズニーランド、営業再開
新型コロナウイルス肺炎流行の影響で閉鎖されていた香港ディズニーランド・リゾートが18日から再開。営業再開日は、オープン前から数十人の客の列もできた。
●7月4日より、台湾、香港市民の入境緩和へ
台湾では7月4日から香港、マカオ市民の入境制限を緩和。居留証を所有している外国人、就業金カードや投資・就業居留証などを所有する香港マカオのビジネス関係者は、台湾に入境時に新型コロナウイルス肺炎検査を実施し、陰性結果の証明を提出する必要はなくなった。ただし入境時にフライト搭乗前の3営業日以内のウイルス検査の陰性結果証明を提出し、14日間の在宅検疫は引き続き求められる。
●7月15日より、ディズニーランド再度閉園
香港ディズニーランド・リゾートは、7月15日から再度の閉園をしている。6月18日に営業を再開したばかりだったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたものとみられる。(詳しくはこちら)
●8月4日、新たな感染者数100人超えが連続し、防疫措置強化を発表
香港では、新たな感染者数が100人を超える日が5日間連続したことから、7月27日に政府は防疫措置強化を発表。当初7月29日から8月4日までの1週間としていたが、香港政府は大規模感染爆発の恐れが高まっているとの認識から、さらに1週間延長し8月11日までとした。(詳しくはこちら)
●8月15日より、中国本土からのトランジット可能に
空港管理局は、中国本土から香港国際空港を経由するトランジットを8月15日から可能にすると発表。中国本土の空港から出発した旅客は香港国際空港でトランジットして他の空港へ向かうことが認められるようになった。ただし本土の目的地へ向かうトランジットは引き続き停止となっている。
●8月17日、香港政府は防疫措置を延長
香港政府は新型コロナウイルス感染者は若干減りつつあるものの、死亡率が高まっており、引き続き厳しい感染状況であるとの認識を示し、8月18日までを期限にしていた4項目の防疫措置の延長を発表した。また、教育局では、すべての学校において登校を無期限で停止とした。(詳しくはこちら)
●8月28日より、レストランでの夜間の外食も緩和へ。ホテルの長期滞在優待プランが続々登場
香港政府は新型コロナウイルスの抑制のための防衛措置の一部を緩和すると発表した。現在18時~翌朝4時59分までの営業を禁止しているレストラン店内での飲食も21時まで認めるようになる。(詳しくはこちら)
また、新型コロナウイルスにより観光客が激減している香港では、多くのホテルで月極めの優待宿泊プランを打ち出している。旅行予約プラットホームのKKdayは「避世悠長住宿計画」という長期宿泊優待プランのプロモーションを行なっている。
●9月1日、新型コロナウイルスの無料検査開始
香港では1日から14日までの期間、新型コロナウイルスの無料検査を希望者全員が受けることができる。この検査は「普及社區檢測計劃(ユニバーサルテスト)」と呼ばれ、インターネットで申し込みをすると、香港内の140カ所の会場で、唾液を採取し検査を受けることができる。13日までに累計136万1000人が検査予約を行った。(詳しくはこちら)
●9月9日、台湾が香港の感染リスク引き下げ
台湾の中央流行疫情指揮中心は9日、香港の新型コロナウイルス肺炎流行状況が緩和したことを受けて感染リスクを中低リスクに引き下げた。ビジネス目的で短期的に台湾を訪れる香港市民の在宅隔離期間は14日間から7日間に短縮される。
●9月15日、地場感染ゼロー第3波が始まって以来初。11カ国との国境再開に向け協議
香港内で確認された新規感染者はゼロとなった。香港での感染者数がゼロとなったのは、6月16日以来のこと。ディズニーランドも9月25日から再開することが発表された。また、日本を含む11カ国と国境再開に向けて協議を進めていることを明らかにした。(詳しくはこちら)
●キャセイパシフィック航空が、電子健康パスポートを発行を発表
香港政府と民間検査機関のプレネティクスは18日、キャセイパシフィック航空および公共信託ザ・コモンプロジェクトと提携し、世界電子健康パスポートを発行すると発表した。(詳しくはこちら)
●10月23日より、香港域内の団体ツアー規制緩和
香港政府は、新型コロナウイルス対策に関連する規制を一部緩和し、23日から域内団体ツアーの参加人数を現行の4人から30人に引き上げると発表した。香港では引き続き公共の場で5人以上集まることが禁止されているため、窮地に追い込まれている観光業への特例措置となる。(詳しくはこちら)
●11月13日より、外国からの入境者は一律ホテル隔離に
特区政府食物及衛生局は、新たな措置として香港に入境する前の14日間に中国以外の国・地域を訪れた者は、香港のホテルで14日間検疫するための宿泊予約の確認書を提示することが求められる。香港市民含むすべての入境者はホテルで隔離されることとなる。(詳しくはこちら)
●11月22日より、香港ーシンガポール、トラベルバブル開始予定
香港とシンガポールは11日、相互を往来する住民を対象に、新型コロナウイルス対策の隔離措置なしで相互jに渡航者を受け入れる「トラベルバブル」を11月22日から開始予定であることを明らかにした。(詳しくはこちら)
●シンガポール=香港間、22日より開始予定のトラベルバブルを延期
シンガポール=香港間で11月22日より開始する予定となっていたトラベルバブルの運用を、香港で新型コロナウイルスの第4波とされる感染拡大が始まったことを受け、開始時期を2週間延期して検討すると発表した。ビジネス目的のみに限らず、住民を対象としたトラベルバブルは、新型コロナウイルスで世界の往来が閉じられる中、世界初で開始される予定となっていた。(詳しくはこちら)
●11月24日より、香港、バーやクラブなどを再び営業停止
新型コロナウイルスの感染が再び拡大している香港では24日、バーやナイトクラブなどを、少なくとも12月3日までの7日間閉鎖休業させることを発表した。営業休止が発出されるのは今年で3回目となる。(詳しくはこちら)
●12月2日より、第4波で再び規制強化
香港では新型コロナウイルス第4波の深刻化を受け、海外からの入境規制を強化。香港への入境は香港居住民のみ可能とし、入境後14日間の強制隔離を年末まで実施する。(詳しくはこちら)