【コロナ:世界の動き】中国とのビジネス往来再開、「Go To トラベル」大型連休まで延長の方針 。ロックダウン導入の欧州各国では感染者数が減少傾向、クリスマスに向け緩和
2020.12.02
日本=中国間のビジネスでの往来が11月30日、再開された。新型コロナウイルスの第2波に見舞われている欧州各国では、次々と再ロックダウンが導入されている。各国とも経済の回復とコロナ感染拡大抑制の両輪を回す上で、短期的に厳格な措置を講じ、クリスマス商戦までには規制緩和に踏み切りたい考えだ。しかし一方で、クリスマス期間中に規制を緩和した場合、感染が再拡大するのではないかと懸念する声も上がっている。
日中間でビジネス往来が再開、中国帰国後は14日間の隔離
日中両政府は30日、「ビジネストラック」および「レジデンストラック」の運用を開始した。これにより、短期出張や長期の駐在員などを対象に、両国の往来を再開。新型コロナウイルスの陰性証明書と行動計画書の提出を条件に、入国後2週間の隔離措置が免除される。ただし、中国側から日本への出張においては、中国に戻ってから2週間の隔離措置が講じられる。日本にとって短期ビジネス客の往来は、シンガポール、韓国、ベトナムに次ぐ4カ国目となる。
「Go To トラベル」来年ゴールデンウィーク直前まで延長の方針
日本政府は11月30日、2021年1月末までを目安としていた観光需要喚起策「Go To トラベル」事業に関し、来年のゴールデンウィーク直後まで延長する方針を示した。現在は新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、一部地域を目的地とする旅行を同事業から除外しているが、収束後の経済回復につなげたい考えだ。これに伴い、「Go To イート」も同時期まで延長される予定となっている。
日本政府、母国に帰れない生活困窮者に一時的な就労を許可
出入国在留管理庁は、新型コロナウイルスの水際対策として多くの国が入国規制を行う中、観光や商用で日本を訪れた外国人で母国に帰れない生活困窮者に対し、一時的に働ける措置を12月1日から実施すると発表した。これには、就労資格がない人も対象に含まれる。
IATA、ワクチン接種情報を管理するアプリを開発
国際航空運送協会(IATA)は11月23日、新型コロナウイルスのワクチン接種情報や、陰性であることを証明するアプリ「IATAトラベルパス」の開発が最終段階に入ったことを明らかにした。「IATAトラベルパス」の開発は、各国政府が入出国規制を講じている国境を安全に再開するためのサポートをするのが狙い。今後ワクチンが開発されると、各国がワクチン接種を入国条件にする可能性が高いとされており、ワクチンの普及により国際的な人の往来が正常化すると考えられている。IATAは、国境をまたいだ「IATAトラベルパス」の試験運用を年内に開始し、問題がなければ2021年の第一四半期(1-3月)にも正式な運用が開始される見込みとなっている。
フランス、新規感染者数の大幅減少でロックダウンの段階的緩和へ
フランスのマクロン大統領は24日、国民向けのテレビ演説で「感染第2波のピークは過ぎた」と明言。11月7日には1日の新規感染者が過去最多の8万7000人となったが、その後は大幅に減少した。フランスでは第2波のピークを迎える1週間前の10月30日からロックダウンを導入しており、当初はその期間を12月1日までとしていたが、感染拡大をさらに抑え込むために延期を決定。一方で、11月28日からは書店や美容院、洋服店などの営業再開を認めたほか、新規感染者数が5000人台の水準に下がり、集中治療病床の患者数が3000人以下になれば、12月15日からは午前7時から午後9時までの外出を認めるなど、段階的に緩和を進める。レストラン、カフェ、バーの店内営業の再開は来年1月20日以降になる見通しで、閉鎖期間中は昨年の売上高の2割に相当する支援金を給付する。マクロン大統領はさらに、新型コロナウイルスのワクチン接種を12月末か1月上旬に開始すると表明している。
ドイツ、ロックダウン措置を12月20日まで延長
ドイツのメルケル首相は25日、11月2日から部分的に導入していたロックダウン措置を、クリスマス直前の12月20日まで延長すると発表した。同措置では、店舗や学校は開かれている一方で、飲食店や娯楽施設は閉鎖されている。メルケル首相は、「感染者数の指数関数的な増加が止まった」とした上で、「感染者数は依然として高い水準に止まっており、措置を解除できる状況ではない」と述べた。ただし、クリスマス直前の12月23日から元日までは例外とし、10人まで(14歳未満は除く)の集会を容認する方針だ。年越しのお祝いとして行われる毎年恒例の花火は自粛するよう呼びかけている。
スペイン、クリスマスの集会を最大6人に制限
スペインのサンチェス首相は25日、新型コロナ対策の一環として、クリスマスの集まりを最大6人に制限する措置を検討している。また、クリスマスイブと大晦日には午前1時から午前6時まで、外出禁止令を出す予定だ。スペインの新型コロナウイルス第2波はピークを過ぎたように見えるが、依然として1日の新規感染者数は高い水準にある。累計の感染者数は160万人を超え、西欧ではフランスに次いで多い。
ベルギー、飲食店の閉店措置を1月15日まで継続
ベルギーのデクロー首相は27日、新型コロナ対策として10月中旬から行なっていた飲食店の閉店措置を2021年1月15日まで継続すると発表した。映画館や理美容店の営業停止、および夜間外出禁止令も来年まで継続する。いっぽうで、商店は12月1日より条件付きで営業を再開するなど制限緩和の動きも見られるが、クリスマスの12月24日、25日に家族や友人を自宅に招く際は各家族1人までに制限し、国内旅行もしないよう国民に強く要請している。
イギリス、12月2日にロックダウン解除へ
イギリス政府は11月24日、12月23日から27日までのクリスマス期間中の一時的に規制を緩和し、3世帯までの屋内での交流を認めると発表した。しかし、同日に発表された新型コロナウイルスによる死者は608人に上り、依然として深刻な状況が続いている。そのためイギリス政府は、「重症化するリスクが高い人との交流には慎重な判断が必要」呼びかけている。
イギリス政府は11月27日、新型コロナウイルス患者1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が1を下回ったと発表した。同政府は0.9〜1.0と推計。1未満の場合は流行が縮小傾向にあることを示している。ロックダウンに一定の効果があったとみられ、11月5日から始まっていたロックダウン措置は予定通り12月2日に解除される見通しだ。
陰性であれば、隔離期間を7日目に短縮
イギリス政府は、12月15日より入国から5日目に政府が認定した検査機関で検査を受け、陰性であればその2日後に隔離を解除するとの方針を示した。現状の14日間から大幅に短縮される。ただし検査費用は自己自担となり、費用は80ポンドから150ポンド(約1万1000円〜2万円)と予想されている。
イギリス、アメリカ政府、入国後の隔離期間免除を検討
アメリカ、イギリスの両政府は入国後の隔離期間を一定の条件下で免除する案を検討している。アメリカン航空、ユナイテッド航空、ブリティッシュ・エアウェイズなど、多くの航空会社がこの試験的なプログラムに参加する。ユナイテッド航空ではすでに同プログラムを開始しており、11月17日にニューヨークからロンドンに到着した便で離陸前と到着後に検査を実施した。ブリティッシュ・エアウェイズとアメリカン航空の共同プログラムでは、ニューヨーク、ロサンゼルス、ダラスからロンドンに向かう乗客に無料の自主検査を受ける機会が提供される。
アメリカ、欧州諸国やブラジルに対する渡航制限の解除を検討
アメリカでは、政府が欧州諸国やブラジルなどに対する渡航制限の解除を検討していることが明らかになった。制限の解除が検討されているのは欧州26カ国のほか、英国、アイルランド、ブラジルからのアメリカ人以外の渡航者で、中国やイランからの入国制限については解除を検討していないという。
自主隔離期間、7日または10日に短縮する可能性
米国疾病予防管理センター(CDC)は11月24日、入国後の自主隔離期間を現状の14日から7日または10日に短縮する可能性があると発表した。短縮となった場合、自主隔離期間を経てPCR検査で陰性となった人は、隔離解除となる。ただし、これは最終的な決定ではなく、期間短縮の影響を見極めるために専門家がデータを精査している段階にすぎない。
コロナ入院患者急増のカリフォルニア州、外出禁止令を検討
新型コロナウイルスの入院患者が急増しているカリフォルニア州は、外出禁止令の発令などの規制強化を発表する可能性があることを明らかにした。このまま措置を講じなかった場合、州内の病院の集中治療室は12月半ばまでに収容能力を超えるとの見通しを発表している。
カリフォルニア州ロサンゼルス郡ではこれに先駆け、 11月30日より同一世帯以外の人との集まりを禁止するなど、3月以来の厳しい規制措置を講じている。
新型コロナ患者に効果があるとされる新薬の投薬を開始
アメリカでは、2400以上の病院と医療関連施設が、軽度から中等度の新型コロナ患者に効果があるとされる新薬の投薬を開始した。米アメリカ食品医薬品局(FDA)は11月9日に、イーライリリー社が製造したモノクローナル抗体と、リジェネロン社が開発した2つの抗体を組み合わせた抗ウイルス薬の緊急使用許可 (EUA)を承認している。
やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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