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【海外メディアななめ読み】日本の「伝統建築工匠の技」、ユネスコ無形文化遺産登決定。海外メディアが伝える見るべき建築物、泊まるべき宿

2020.12.22

日本で22件目のユネスコ登録に「伝統建築工匠の技」

12月17日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が、オンライン開催となった政府間委員会において、「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録を決めました。日本からの登録は、記憶に新しいところでは、2013年には「和食」が、翌年2014年には「和紙」が、2016年に「屋台行事」、2018年に「来訪神」が登録されており、今回は22件目です。

対象となった「伝統建築工匠の技」とは、「建造物木工」、「茅葺」、「建造物漆塗」、「左官(日本壁)」、「畳製作」、「縁付金箔製造」など、17件です。木、草、土などの自然素材を建築空間に取り入れ、周期的な保存修理を見据えた材料の採取や再利用、やむを得ず取り替える部材との調和を実現するため、古代から途絶えることなく伝統を受け継ぎながら、工夫を重ねて発展してきた伝統建築技術が評価されました。

伝統建築の技を身近に見れる日本の魅力

このことを受けて、イギリスの「The Telegraph(テレグラフ)」が、「匠の技がユネスコに登録されたことで、日本の伝統建築が勢いづく」と言う記事を掲載しました。

「この動きは、高齢化と後継者不足により、専門的な知識と技術とが消滅の危機にある、職人たちに嬉しい活気をもたらすだろう」と始まり、「これらの技術は、現存する世界最古の木造建築物として知られる世界遺産、7世紀に建立された奈良の法隆寺や、上品に白く層をなす、大阪近くの姫路城、京都の町屋や、地方の民家で見ることができる」とされています。

記事はさらに、この登録が日本の伝統建築を守るプロジェクトの増加を後押しすると続きます。政府の統計によると、地方の人口減少に伴い、日本には850万戸以上の空き家があることを述べた上で、瀬戸内地方で、放置された古民家を、高級な宿泊施設へと変身させている「瀬戸内古民家ステイズ」の木村洋氏のコメントで記事は締めくくられています。「洗練された伝統の技で建築されているため、一旦取り壊されてしまうと、現代の材料で再建することができません。空き家となっている古民家を、旅人の新しい宿へと発想を転換させることで、その家を守る事ができ、地域の歴史と文化の重要な部分を保全する助けになります」。

旅行雑誌ではない雑誌や新聞からの情報が、訪日旅行のきっかけになることは多いので、見るべき建築物に、宿泊すべき宿のヒントまで具体的に報じられているこの記事は、頼もしい限りです。

日本の「技」を世界市場基準で正当に評価する努力

また、この登録を通じて、日本の「技」が国内でも正当に評価される事を期待します。伝統のものづくりの現場を訪れると、他の誰も代わることのできない経験と技術を持った職人さんに出会うことがあります。そして、そのような方々が、常に完璧な仕事を追求する原動力は、それによって得られる対価ではなく、職人としてのプライドや使命感であることに感銘を受けます。ただ、作り上げられたものを消費者に届ける者と、消費者が、いつまでもその職人気質に甘えていてはいけません。特に海外では、その技を安売りしないようにしたいと心から思います。世界市場の基準でその価値が正当に評価されるよう、その技の裏にある努力と時間と労力と才能と職人気質と、全てを語り尽くす努力を怠らないようにしたいものです。