首都圏中心にコロナウイルス感染者の高止まり続く韓国、アプリで当日のワクチン予約・接種が可能に
2021.06.09
韓国、米国から提供されたワクチン101万人分が到着
韓国の中央防疫対策本部は6月5日、この日の新規感染者が744人となり、10日ぶりに700人を上回ったことを発表した。首都圏以外の地域でも感染者が相次いで確認されており、感染者数の高止まりが続いている。
新型コロナウイルス感染症ワクチン接種が急務となる中、韓米首脳会談での合意に基づき、6月5日には米政府から提供された米ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門、ヤンセンファーマ製の新型コロナウイルス感染症のワクチン101万2800人分のワクチンが到着した。このワクチンは6月10日〜20日の期間に、30歳以上60歳未満の予備役兵や、国防・外交関係者のうち、事前予約した人々に接種される。
1回目のワクチン接種者、7月から屋外でのマスク着用を免除
韓国では、英アストラゼネカ製のワクチンが多く使われているが、当初は副反応への懸念から予約率が伸び悩んでいた。そのため、韓国政府は7月より、ワクチンを1回でも接種した人に対して屋外でのマスク着用義務を免除すると発表。その後、接種率が急伸し、6月6日時点で少なくとも1回目の接種を完了した人は約759万人(人口の14.8%)、必要回数のワクチン接種を完了した人は約228万人(人口の約4.4%)となった。同政府は6月中に全人口の25%に当たる約1300万人の1回目の接種を目指しているが、予定通りに接種が行われれば、早期に目標を達成するとみられている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日、「7〜9月期には人口の70%となる3600万人の1回目接種が完了する」「中秋節(9月21日)には家族に会い、家族同士はマスクを外して話し合えるようにすることが目標」と述べた。同政府は、国民の70%以上が1回目の接種を終える9月末以降は、防疫基準を全面的に再調整すると発表し、集団免疫が達成された時点で、屋内でのマスク着用義務の緩和も検討するとしている。
アプリ連動型のシステム導入で、残余ワクチンを有効活用
韓国政府は現在、英アストラゼネカ製ワクチン接種を、65〜74歳の高齢者と慢性呼吸器疾患の重症患者を対象に進めており、6月19日に終了する予定となっている。同政府はその後、予約キャンセルなどで余ったワクチンを60歳〜64歳の人々への接種に回すとの方針を示しており、19日以降に優先的な接種を受けられると説明した。ヤンセンファーマ製の残余ワクチンについても、60歳以上の優先接種を行なっていくという。このほか、ワクチンの無駄を防ぐため、韓国で人気の高い、ネイバーやカカオトークといったアプリと連動させたシステムで、当日予約・接種できるシステムの運用を5月より開始している。
映画館ではワクチン接種促進キャンペーンを開始
大手シネマコンプレックス(複合映画館)も、ワクチン接種を促進するキャンペーンを打ち出している。韓国上映館協会は6月1日、シネマコンプレックスの大手3社が同日から6月末まで、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を促進するキャンペーンを実施すると発表した。1回以上のワクチン接種を終えた人を対象に、映画館のチケット料金を大幅に割り引くというものだ。割引金額は劇場によって異なるが、ワクチンの接種証明書や確認書を持参すれば、同伴者1人も含め、一般料金の半額以下で映画を鑑賞できる。もともと日本と比べると手頃な価格の映画料金(1000円前後)で、映画人口も多い韓国、このキャンペーンにより500〜600円で楽しむことができれば接種率も高まりそうだ。
2021年4月訪韓インバウンド客数、2020年比で138.4%増
韓国観光公社は5月31日、今年4月に韓国を訪問した外国人は、7万112人で前年同月比138.4%増加したと発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大により昨年同月は訪韓客が激減(2万9415人)した反動で、増加幅が大きくなったと見られている。国籍別の内訳をみると、中国が1万6830人で最も多く、次いで米国が1万2994人、フィリピンが8398人、インドネシアが3680人だった。4月に海外へ出国した韓国人は7万1302人で、前年同月比126.9%増となっている。
韓国系航空会社は6月8日よりグアムやサイパンへの運航再開を行う。チェジュ航空は6月8日からサイパン線を再開したほか、8月のグアム線復便の申請を検討している。アシアナ航空は7月からサイパン線を計画し、ティーウェイとエアソウルもグアム線を申請済みで、大韓航空は11月以降のグアム線の販売を開始したという。
グアムおよびサイパン両政府は現在、アメリカFDAが認可しているワクチンを接種した入国者を対象に、隔離を免除する措置をとっている。