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第8回 鉄道の旅はあこがれのスタイル

2014.04.02

前回はクルーズの話をしたが、オーストラリア人とレイルウエイトラベルについて今回は話をしたい。オーストラリア国内ではどのようなレイルウエイトラベルができるのだろうか。それを探ると、もしかして、日本でのインバウンド・レイルウエイトラベルのアイデアもでるかもしれない。あるいは、オーストラリアでできないことを、日本で考えて実行できるかも知れない。

目次:
●西洋人が好む鉄道旅行は日本と異なる
●ゆったり長距離の汽車の旅
●観光列車は各地で独自の進化
●オーストラリア人に売れている世界各地の鉄道旅
●鉄道王国、日本の売は何だろう?

 

西洋人が好む鉄道旅行は日本と異なる

前回はクルーズの話をしたが、オーストラリア人とレイルウエイトラベルについて今回は話をしたい。レイルウエイトラベル、つまり鉄道を使った旅行のことだが、これも前回のクルーズと同じで、そのメリットは
①長距離の場合には、基本的には宿泊もついていること。
②一度乗ったら、デスティネーションまで連れて行ってもらうこと。
③食事もついていること。
④デスティネーションまで、要所要所で観光を楽しむことができること。

などの利点がある。さらに、車窓からの景色を、クルーズよりより近距離で楽しむことが出来ることや、さらに老若男女、大抵の人にはある、子供の頃の汽車旅行のエキサイトメントを思い出してノスタルジーに浸ることが出来ることなどであろうか。西洋人であれば、本の中のオリエントエクスプレスを思い出し、一度はあのような長距離のレイルウエイトラベルをしてみたいものだと考えているはずである。

オーストラリア国内ではどのようなレイルウエイトラベルができるのだろうか。それを探ると、もしかして、日本でのインバウンド・レイルウエイトラベルのアイデアもでるかもしれない。あるいは、オーストラリアでできないことを、日本で考えて実行できるかも知れない。

 

 

ゆったり長距離の汽車の旅

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オーストラリアは、ご存じのように広大な島大陸だ。長距離の汽車の旅が用意されている。中でもインディアンパシフィックは、その名前の通り、インド洋と太平洋を結ぶ世界でも最も長い大陸横断長距離列車の一つだ。シドニー南方の観光地ブルーマウンテンズから、世界で一番長い476キロもの一直線の線路があるナラボー平原を含めて、全行程4352キロの旅。日本と異なり高速列車ではないので、全部で3泊4日の旅になる。この列車には快適なラウンジがあり、デラックスな個室もついている。車窓からみるオーストラリア独特の風景、野生の動物の姿などを楽しむことができる。
8年前にオーストラリアで開通した長距離の汽車の旅は、ザガーン。アデレードからアリススプリングスまでの1559キロ、20時間。そして、アリススプリングスからダーウィンまでの1420キロを24時間で走る(キャサリンでの停車4時間を含めて)、壮大なもの。この旅の間、アウトバックの見事な色彩、砂漠、塩田、壮絶な岩肌のマクドネル山脈などを堪能することができる。

 

観光列車は各地で独自の進化

オーストラリアには、この他にも、それぞれの都市で、かつて走っていた蒸気機関車などを使った短距離の汽車の旅もある。

観光列車として有名なのは、メルボルン郊外にあるパッフィンビリー。これは、オーストラリアの列車で最も人気のある観光列車である。なぜここまで人気が出てきたのか? ここは、子供ずれの家族にアドベンチャー体験ができる工夫があったり、大人向けに、グルメレストランを付帯させたり、更には、ノスタルジーに浸りたい年代に向けて、ジャズ列車や、オリエントエクスプレスよろしく、殺人事件の謎を解きながら列車に乗るイベントなどが目白押しだ。ちなみに、このウエッブは見るだけでも楽しい。ウエッブを創るのならば、こうでなくっちゃ

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オーストラリア人に売れている世界各地の鉄道旅

オーストラリア人はでは、世界のどのような場所に、レイルウエイトラベルするのだろうか。高校を卒業したてや、大学生が長期で遊びに行くヨーロッパ。必ずと言っていいほど、ユーレイルパスを買って出かけていく。もし、日本がこのマーケットを獲得したいと思うのであれば、JRパスに、パッカーやホームステイなどのアコモデーションをつければいいのではないだろうか。

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この若い年代のあとは、年齢にギャップがあり、時間がゆったりと使えるシニア層である。このシニア層に人気のあるのは、カナダのロッキーマウンテニア号での旅行。ヨーロッパは、スイスのシーニックレイルウエイだ。いずれも、世界的に有名な風光明媚なジャーニーを楽しむツアー。共通して言えるのは、広い車両と、周りの景色が良く見えるようにデザインされた窓ガラスのある車両だ。

最近オーストラリア人に人気のあるのが、ベトナムのレイルウエイトラベル。確かに、ハノイからホーチンミンまで、細長いベトナムの国全体を回ろうと思えば、この方法しかないかもしれない。美しい海岸線、昔ながらの農村風景、美しい森林などを、豪華な観光列車で回ることができる。

 

鉄道王国、日本の売は何だろう?

さて、日本に話を戻そう。世界に誇る新幹線。この新幹線に乗ってみたいというオーストラリア人は数多くいる。問題は、ゆっくり風景を見ながら旅行ができるという感じは、新幹線にはないことだ。
速すぎるのだ。
日本には、美しい海岸線、美しい森林、昔ながらの田園風景を眺めながら旅を楽しむことのできる鉄道が、津々浦々に存在する。それは、トロッコ列車に代表される観光列車だけでなく、一般の鉄道にも、将来大きなインバウンドを呼び込むことのできるローカル鉄道が無数にある。

鉄道によるインバウンドのビジネスを作り上げることで、当然ながら、点でなくて、沿線の村おこし、町おこしにも大きな貢献をすることができる。

1.駅の窓口の充実(外国語で対応できる)
2.列車内、駅舎内の施設の充実(トイレ、レストラン、土産物屋など)
3.外国語による沿線の紹介。地図やパンフレット。
4.途中下車ができる場合には、その下車地での宿泊所や観光名所の案内。野生の動物の生息地やその地域ならではのフードなども観光の名所になる。
5.風景が見えるような車両の工夫。天井に窓ガラスをつけるなど。
6.外国人は体の大きい人たちが多いので、椅子の高さや広さも考慮する必要がある。
7.車内のトイレの充実はいうまでもない。
8.車両内で、ローカル色を出す。車掌が着物を侍の格好をするとか、アイデアを出す。
9.当然ながら、「出来のいい!」PRウエッブは必要である。

JR九州の特急列車は、アメージングだ。これは、オーストラリア人だけでなく、世界中の人にウケる可能性がある。特急はやとの風、特急ゆふいんの森などは、沿線地と連携して素晴らしいレイルウエイ・インバウンド・トラベルの目玉になる可能性を秘めている。

もっとも、Society of International Railway Travelers(インターナショナルレイルウエイトラベラーズ協会)が選び、彼らのウエッブに掲載している世界のトップ25のレベルにはほど遠い。どのくらい遠いのか一度調べてみた方がいい。
ちなみに、彼らの選んだトップ3は、Venice Simpton-Orient Express, Rovers Rail Pride of Africa, Golden Eagle Trans-Siberian Express。宝くじが当たったら、この全てを体験してみたい(苦笑)。
長距離の分野では世界のトップには勝てないかもしれないけれど、日本の箱庭的な地理や文化を体験できる観光列車では、工夫と努力次第で、もしかして勝てるかもしれない。