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インドネシア、ベトナムで感染状況悪化、ジャカルタ、ハノイで部分的ロックダウン。マレーシア観光地で外国人の入国規制緩和へ

2021.07.07

インドネシア、首都ジャカルタなどで部分的ロックダウン。医療体制ひっ迫

インドネシア政府は7月4日、新型コロナウイルス感染症による死者が累計6万582人に達したと発表した。同国では、インドで確認された変異ウィルス「デルタ株」への感染が6月中旬から急速に拡大し、7月4日には新規感染者は過去2番目に多い2万7233人、死者は過去最多の555人となった。1日当たりの感染者は1カ月足らずでおよそ4倍に増えている。医療用酸素が不足するなど、医療体制がひっ迫。現地在住の日本人も入院を待つ事態となり、6月26日から7月5日までの10日間で日本人5人が新型コロナウイルスに感染し死亡した。

インドネシアのジョコ大統領は1日、ジャカルタがあるジャワ島とバリ島で、7月3日から20日までの間、市民活動や経済活動を大幅に制限することを発表。医療従事者やエッセンシャルワーカーなどの必須分野以外は100%在宅勤務とするほか、ショッピングモールの閉鎖や飲食店の店内飲食禁止、スーパーの営業時間を午後8時までに制限している。学校はオンライン授業に切り替え、礼拝施設、公園、観光地なども閉鎖されている。国内の公共交通機関による長距離の移動については、ワクチン接種証明書の提示が求められ、飛行機による移動では出発前2日間以内に行われたPCR検査の陰性証明書が必要となる。同政府は今回の部分的ロックダウンで、1日の新規感染者を1万人未満に抑えることを目標としている。

 

政府、ワクチン未接種の外国人の入国を禁止、入国後は強制隔離も

インドネシア政府は4日、ワクチン未接種の外国人の入国を禁止すると発表した。これを受け、やむを得ず入国する外国人はワクチン接種証明書と、PCR検査の陰性証明書の提示が求められるほか、入国後は指定宿泊施設で8日間(8×24時間)の強制隔離が必要となる。インドネシア国内に滞在中の外国人がインドネシア国外へ移動する場合は、インドネシア政府主導の無料ワクチンプログラムまたは企業主導のワクチンプログラムによるワクチン接種を行わなければならないと発表した。

 

ワクチン接種完了は人口の5%、1日200万回の接種の方針

インドネシアでは、ワクチンを1回接種した人は人口の約12%、接種を完了した人は人口の約5%となっている(7月4日時点)。同政府はワクチンの接種数の目標を引き上げ、6月26日から1日あたり100万回とし、8月には200万回を目指す方針を掲げている。こうした中、日本政府はインドネシアに対し、アストラゼネカのワクチンを100万回分無償で提供し、7月1日に到着した。米国も、ワクチンを途上国にも供給する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて、インドネシアにモデルナ製ワクチン400万回分を提供すると発表している。

 

ベトナム、ホーチミン市を中心に感染再拡大

ベトナム保健省は3日、1日あたりの新規感染者が過去最多の1189人(うち市中感染914人)に上ったと発表した。同日の発表時点で新型コロナウイルス感染症の累計感染者数は1万9043人となった。市中感染者の914人のうち、714人がホーチミン市で確認されており、同市での感染状況が特に深刻化していることが明らかになっている。7月4日の新規感染者は951人だった。

これを受け、ホーチミン市は6月30日より社会的距離措置を継続することを決定した。この措置によって、職場や病院、学校以外の公共の場に4人以上で集合しないことや、人と人との距離を1.5m以上開けること、不要不急のサービス施設の営業を一時停止することなどが求められる。また、市内234カ所にある旧来型市場のうち70カ所を閉鎖した。

ホーチミン市人民委員会は、市内の一部企業に対し、従業員向けの新型コロナウイルス迅速検査を毎週行うよう推奨。感染者の早期発見により、速やかに対象エリアを封鎖できるよう態勢を整えたい考えだが、迅速検査にかかる費用は企業負担となる。

 

世界的に有名な観光地では7月1日からワクチンパスポートを試験導入

ベトナムでは、原則として外国人の入国を停止しているが、7月1日からワクチンパスポートを試験的に導入する予定で、ワクチン接種を完了した外国人旅行者の強制隔離期間を、現行の21日間から7日間に短縮する。ただし、強制隔離終了後も7日間の自主隔離が必要となる。ワクチンパスポートの試験導入は、世界的観光地ハロン湾のある北部クアンニン省で7月31日まで行われる予定だ。

ベトナムでは、ワクチンを1回接種した人は人口の約3.8%、接種を完了した人は人口の約0.2%にとどまっている(7月3日時点)。日本政府は先月、ベトナムに計200万回分のワクチンを贈与した。

 

マレーシア、感染拡大で都市部での外出規制強化

マレーシアでは7月4日、6045人の新規感染者と、63人の死者が確認された。同国では先月1日からロックダウンを導入しているが、新規感染者の60%が首都クアラルンプールなどの都市部に集中しているため、7月3日より都市部での外出規制を強化した。新たな規制では、7月16日までの2週間、原則として外出が禁止され、生活必需品の買い出しは各家族1名のみ認められる。ムヒディン・ヤシン首相は、1日の新規感染者4000人を下回るまでは、制限を緩和できないと述べている。ロックダウン延長を受け、徹底した感染対策に取り組んできたにもかかわらず、操業停止を余儀なくされた産業界からは、不満の声が上がっている。

マレーシアでは現在、原則として外国人渡航者の入国は禁止している。例外的に入国が認められた外国人は、PCR検査の陰性証明書の提出や、入国後14日間の自主隔離、健康管理アプリのインストールなどが求められる。

 

政府トラベルバブル構築へ、ランカウイ島から外国人観光客受け入れ

一方で、マレーシア政府は今年末に社会活動の全面解除を目指しており、全国的なワクチン接種プログラムを迅速に実施すると共に、観光回復への枠組みを作成した。同国が定めた「Covid-19フリーデスティネーションプログラム」では、感染リスクの低い国・地域とのトラベルバブルなどを構築し、観光客の受け入れを徐々に進めていく。その第1弾として、ランカウイ島で試験的に実施する予定となっている。第2弾では、レダン島、ペルヘンシャン島、パンコール島、ティオマン島など、国内で最も人気のあるリゾート地にプログラムを拡大する予定だという。

マレーシアでは、ワクチンを1回接種した人は人口の約20%、接種を完了した人は人口の約8.2%となっている(7月4日時点)。日本政府はマレーシアに対し、アストラゼネカのワクチンを100万回分無償で提供している。