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2021年のトレンドは「エコ」 中国一大消費イベント11月11日「独身の日」セール開幕

2021.11.05

11月11日といえば、中国では「独身の日」。ECサイトをメインに、現在は実店舗をも巻き込み中国全土で盛大に展開され、爆買いが起きる一大セールデーです。13回目となる今年は、10月20日の予約販売開始日からアクセス集中によるシステム障害が起こるなど、早くも総売上高が史上最高になると予想されています。未だコロナ禍にありながら、経済正常化に歩みを進める中国において、今年の独身の日セールの動向はどうなるのか、基礎知識や昨年の消費動向と共に、2021年の消費トレンドを解説します。

 

「独身の日」とは?

11月11日は中国で「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれ、独りを表す数字の1が4つ並ぶことから、独身の日を祝う国民的イベントデーになりました。初めは大規模な婚活パーティーなどが開催される日でしたが、いつのまにか自分へのご褒美として買い物をする日に変化。これに目を付けた中国の最大手EC企業のアリババが、2009年11月11日に自社ECサイト「天猫(Tmall)」で一大セールを始めたところ大ブームになりました。別名「双11」「双十一」「W11(ダブルイレブン)」とも呼ばれ、今や中国、そして世界が注目する一大商戦日となっています。

 

コロナ渦で2度目の開催。2021年の「独身の日」セール動向

2021年の独身の日セールは、前年より4時間早い10月20日午後8時に予約販売(決済予定商品をショッピングカートに入れておく)が始まりました。

  

(左:天猫(Tmall)双11ECサイト、右:同ECサイトのエコ製品特集ページ)

ブーム火付け役のアリババは、「第13回天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」を前年同様、2021年11月1日~3日、11月11日の2回用意。史上最大となる29万ブランドが参加し、「Tmall」では1400万点以上を割引販売する予定です。

2021年のテーマの1つに掲げられたのは、「エコなライフスタイル」。再生エネルギーの活用、梱包資材のリサイクル、エコフレンドリー製品に特化したプラットフォーム作り、環境に優しい製品の購買促進のため1億元(約17億5000万円)相当の「エコショッピングクーポン」の発行などを行います。また、2021年もライブ配信による商品販売に注力し、Taobaoライブには700人ものインフルエンサーやブランド代表者が参加するとのこと。

アリババに次ぐ中国EC大手の京東集団は、「JD.com」にて4億以上の新商品、7億件以上の商品を販売予定です。特にファッションブランドの参加数を大幅に増やし、高品質農産物のセール期間中販売総額が300億元を上回ると見込んでいます。

 

2021年は輸入商品数も過去最大、日本ブランドの売れ筋は?

海外製品の独身の日セールでの販売も年々拡大し、今年はアリババの越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global」にて、全世界87の国・エリアから約130万の輸入商品が新たに販売されています。日本ブランドにとっても独身の日セールは中国内でのブランド認知度を高める絶好の機会であり、アリババは在庫品を保管する中国内保税倉庫を拡充させつつ、商品の海外直送も可能にするなど、マーケティングに加え物流サポートも強化しています。

越境ECでの消費トレンドは、引き続きOTC(一般用医薬品)と健康食品のカテゴリーが成長を続ける一方で、中古ブランド品と音楽機材マーケットが急成長中。日本ブランドが得意とするコスメは依然人気ながら、消費者ニーズの細分化により、基礎化粧品からサロン系コスメなどの特徴ある製品に変化しています。また、高齢者をターゲットとしたシルバーマーケット向け商品は、既に高齢化が進んでいる日本市場の製品の人気が高く、今後の市場拡大が期待されています。

写真:上海トレンドが集まる、南京西路のユニクロでの独身の日セール

 

2020年は「おひとり様商品」が爆発的人気、輸入品部門で日本1位

初のコロナ禍での開催となった2020年は、独身の日セールの総取引額が、アリババが前年比85%増の4982元(約7兆4730億円)、JD.comが2715億元(約4兆3000億円)となり、2社のみで12兆円超えの売上を叩き出しました。消費トレンドは、ミニ家電、1人前食事セットなど、コロナ禍での一人時間を楽しめる商品が爆発的な人気を博しました。アリババグループの総売上ランキングでは、栄養サプリメント、美容用品が上位を占め、JD.comでは健康への意識の高まりによりウェルネスアイテムが人気となり、ヨガアパレルが307%増、ピラティス用品が268%増の売上を記録しました。

また、2020年の日本ブランドの独身の日セール期間の売上は、ユニクロ、SK-II、資生堂の3社が取扱高1億元(約15.5億円)を達成し、越境ECを含む輸入商品(世界)での総売り上げランキングでは、1位は2019年に引き続きヤーマン、4位花王、 5位資生堂という結果になりました。過去5年連続で中国人が最も購入したブランドの第1位が日本製品でしたが、中国ブランドの台頭が目立つなか、2021年の売れ行きはどうなるのか、関心が向けられています。

 

エコやチャリティーなど、新しい取り組みに注目

2021年は、予約販売初日にカリスマインフルエンサーが120億人民元(約2139億4800万円)を売り上げるなど、2020年以上にライブ配信が消費促進の鍵となることは間違いありません。販売額はもちろん、「エコなライフスタイル」をテーマとした取り組みのほか、高齢者にも使いやすいアプリへの仕様改善、チャリティー商品購買での寄付プロジェクトなど、社会的弱者支援の取り組みにも高い関心が寄せられています。

2020年のようなコロナ禍のお一人様商品の需要が、経済正常化に伴いどう変化していくのか、消費者のサステナブルな購買や寄付への意識が変わる契機となるのかなど、2021年の動向に注目です。