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韓国1日の新規感染者5000人超え過去最多を記録、ウィズコロナ対策の行方は?

2021.12.03

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界的な拡大を受け、日本政府は11月30日から当面の間、外国人の新規入国を原則停止すると発表した。12月1日には国交省が国内外の航空会社に対し、12月末までの1カ月間、日本に到着する全ての国際線は新規予約を停止するよう要請したが、年末年始の帰国を予定していた日本人が帰国断念を与儀なくされるなど不満の声が高まり、2日に要請を撤回した。

現在、日本は感染状況が比較的落ち着いているが、日本よりも気温が低い隣の韓国では、新規感染者が爆発的に増加している。今回は、韓国政府が打ち出した新型コロナウイルス対策と、段階的に再開されている観光業についてお伝えする。

 

韓国、新規感染者が過去最多に。規制緩和は見直し

新型コロナウイルスへの感染状況が深刻化している韓国では12月2日、新規感染者が5266人に上り過去最多を更新、3日も4944人となり、3日連続で5000人前後の高い水準が続いている。重症者の数は736人となり2日に続いて過去最多を更新、ソウル広域圏の集中治療室の病床使用率は90%に達し、 915人が入院待ちの状態となっている。病床が空かず、症状の重い患者を自宅に送り返すといった事態も発生しているという。1日にはオミクロン株の感染者が初めて確認された。

韓国政府は3日、ここまでの状況を踏まえて、来週6日から2022年1月2日までの間の規制強化を発表した。ワクチン接種の有無にかかわらず、私的な集まりの人数について、首都圏では最大6人、非首都圏では最大8人に制限、飲食店などを利用する際にはワクチン接種を終えたことなどを示す「防疫パス」の提示が義務化される。一方で、飲食店の営業時間の制限は自営業者の反発を考慮して見送られた。また、12歳から18歳のワクチン接種完了者に対しては、2022年2月1日から新たに「防疫パス」を適用することも決定した。

 

4か月ぶりの「特別防疫点検会議」、ウィズコロナ第2段階への移行は保留に

韓国では11月29日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が主催する「新型コロナウイルス対応特別防疫点検会議」が4か月ぶりに開かれた。11月1日に、新たな施策「段階的日常回復(ウィズコロナ)」へ移行した同国では、規制緩和が感染者急増の一因となったと見られている。文大統領は会議で、ウィズコロナの結果を評価しつつ、「新規感染者、重症患者、死亡者がすべて増加し、病床に余力がない状況」と述べ、防疫レベルをさらに緩和するウィズコロナ第2段階への移行は保留すると発表した。一方で、今後4週間にわたって特別防疫を実施するとの方針を示した。

この特別防疫措置では、行動制限をするのではなく、ワクチン接種に重点を置き、国民に3回目の接種を促していくと強調している。韓国では50歳以上の国民を対象に3回目の接種が予定されているが、今回の会議で、18歳〜49歳の国民にもその対象を拡大すると発表した。さらに、10代の若者への接種速度を高め、5〜12歳の子供への接種についても検討を進めるとの意向を示している。韓国では、人口の約79%が既に必要回数のワクチン接種を終えているが、早期にワクチン接種を完了した60代以上の高齢者の間で予防効果が低下したことにより、ワクチン接種完了後に感染するブレイクスルー感染が広がっている。これを受け、ワクチン接種完了証明とPCR検査の陰性証明として施設などで提示する「防疫パス」の有効期限を、6か月にすることも決定した。

 

「オミクロン株」の感染拡大を警戒、9カ国からの入国を停止、入国者には10日間の隔離措置

韓国の中央防疫対策本部は11月29日、新たな変異株「オミクロン株」の流入を防ぐための全世界を対象とした外国人の入国制限は検討していないとの認識を明らかにした。水際対策としては、28日より、オミクロン株が最初に確認された南アフリカをはじめ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンビーク、マラウイのアフリカ8カ国からの外国人の入国を全面禁止にし、1日にはナイジェリアも追加した。また、3日午前0時から17日午前0時まで全ての国・地域から入国する韓国人と外国人に対し、ワクチン接種の有無に関係なく10日間の隔離措置を適用するとした。

 

ウィズコロナの観光産業対策を発表。シンガポール、サイパンとのトラベルバブルを開始

韓国の文化体育観光部は11月12日、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた観光産業の回復を推進するため、「観光産業の回復および再跳躍対策」を公表した。主な内容として、[1]観光事業者への金融支援、[2] 安全に旅行できる環境の整備、[3] 感染抑制国に対するインバウンド観光を段階的に再開、[4] 韓流コンテンツと連携した観光整備、という4つの指針を掲げている。

韓国ではすでにサイパン及びシンガポールとのトラベルバブルが開始されているが、パラオとのトラベルバブルも段階的に導入することで合意した。また、12月中にはアラブ首長国連邦(UAE)とのトラベルバブル協定を締結するものとみられている。日本との間では、11月17日に「第35回日韓観光振興協議会」が開催され、両国の観光産業の活性化に向け、日韓の間での観光交流を再開させることなどを確認した。