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中国春節スタート、2022年は若年層の近場旅行に注目。オミクロン拡大と北京五輪で厳しい外出制限

2022.01.20

7日間の大型連休となり、中国全土が1年で最も盛り上がりを見せる春節(旧正月)。例年、多くの人が帰省や国内外の旅行を楽しみますが、2021年は移動自粛により、移動者がコロナ前と比べ7割減となりました。2022年は、北京五輪を間近に控え、オミクロン株が急速に拡大するなか、春節の人々の過ごし方はどうなるのか、基礎知識から2022年の傾向まで紹介します。

 

春節の基礎知識

春節とは、中国における旧暦のお正月(旧正月)です。中国には春節、清明節、労働節、端午節、中秋節、国慶節と呼ばれる国民休日がありますが、その中で最も伝統的かつ大型連休の代表とされるのが春節です。春節は中国本土のほか、中華圏の台湾、香港、マカオや華僑の多いシンガポール、マレーシアでも国の祝日として定められています。

日本の年末年始と同じく、大晦日には大掃除をし、春節の0時には除夜の鐘ならぬ爆竹や花火を盛大に鳴らし、当日には正月料理を家族で食べ、子供にお年玉を渡すといった習慣があります。また、春節期間中はメインカラーでありおめでたい色の「赤」で、家や町中を飾り付けます。2022年は寅年なので、寅をモチーフにした装飾品も人気のようです。

 

2022年の春節は131日(月)~26日(日)の7連休

中国の春節は太陰太陽暦に基づいているため、毎年日にちが異なります。2022年の春節の正式なスケジュールは、2021年10月下旬に中国国務院(中央政府)から発表され、今年は2月1日(火)が春節で、大晦日の1月31日(月)から2月6日(日)までの7日間が春節連休として定められました。

例年春節連休は故郷に帰省する人が多く、約30億人が移動する「春運」が毎年話題となる一方で、国内、そして日本をはじめ海外への観光旅行者も増えていました。しかし、2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためステイホームが呼びかけられ、移動は8億7000万人と2020年比で4割減、コロナ禍以前比で7割減となりました。

<2022年春節スケジュール>

 1月29日(土)~30日(日)振替出勤日
 1月31日(月)大晦日
 2月1日(火) 春節(旧正月)
 2月2日(水)~6日(日) 休み
 2月7日(月) 稼働開始

 ※2月4日(金) ~20日(日) 北京五輪

 

オミクロン株感染拡大で厳しい外出制限

中国では2021年12月13日に北京に隣接する天津市でオミクロン株の感染者が初確認されました。その約1カ月後の1月8日には市中感染とみられるケースが確認され、1月16日には五輪開催地の北京でもオミクロン株の感染者が初確認されるなど、政府は感染拡大への警戒を強めています。

2021年12月中旬に国家衛生健康委員会(NHC)は、「2022年元旦春節期間 新冠肺炎疫情防控工作法案」という厳しい移動制限方針を発表しました。感染状況に応じて各地域のリスクを低・中・高に分類。中・高リスク地域では期間中の住民の移動を原則禁止とし、やむを得ず外出する場合は48時間以内のPCR検査の陰性証明提示を義務付けています。感染拡大中の3都市は既にロックダウンし、低リスク地域でも不要不急の外出自粛が求められ、五輪開催地の北京や周辺地区では、市外から来る人に対して海外からの入国者並みの厳格な措置を講じています。また、浙江省杭州市発展改革委員会(発改委)が春節期間に帰省しない出稼ぎ労働者への割引券や電子消費券の支給を発表するなど、移動自粛を促す取り組みも増えています。

 

2022年もネットショッピングが好調か

このような規制を受けて、2022年も2021年同様ステイホームでネットショッピングを楽しむ人が増えると予想されています。2022年も大晦日の夜8時から、世界最多視聴者数のテレビ番組としてギネス世界記録に認定されている、中国恒例番組『春節聯歓晩会(春晩)』が放送されます。2015年にWeChat開発元のテンセントが番組中にスマホを使ってお年玉を配るキャンペーンを実施し、それ以来恒例行事となっています。2021年は北京字節跳動科技(バイトダンス)がスポンサーとなり、視聴者に専用アプリを通じて総額12憶元(約197億円)のお年玉を電子データで配りました。2022年のスポンサーはまだ発表されていませんが、今年も多くの中国人がお年玉ショッピングをして過ごすことになりそうです。

 

鉄道切符の販売好調 2022年の旅行先の6割が近距離かつ同省内

外出自粛ムードが強まる中、鉄道切符の販売は2021年に比べて好調です。中国では春節期間の帰省ラッシュに伴う輸送ピークを「春運」と呼び、2022年の春運は1月17日~2月25日までの40日間です。既に春節休暇に向けた鉄道関連のチケットは1月3日に販売がスタートしていて、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、オンラインサービスを拡充し、発車時刻まで払い戻しに対応。中国国家鉄路集団有限公司は、2022年のこの期間中の鉄道利用者は前年比28.5%増、のべ2億8000万人に達すると見込んでいます。また、上海市交通委員会からは、春運期間の高速道路の総交通量が前年比4.5%増の4650万台になるとの予測が発表されています。

さらに、大手旅行会社のシートリップが発表した予約状況のデータによると、2022年の春節期間中の旅行予約の全体の6割以上が、近距離で同一省内のマイクロツーリズムということがわかりました。今年の人気旅行先は深圳、重慶、成都、広州、杭州で、予約者の多くが1995年以降生まれの若者だそうです。

2021年の春節期間中の旅行収入は、コロナ禍以前の2019年の6割弱に留まりましたが、2022年は旅行需要の回復となるのか?それともより一層厳しい移動規制でステイホーム率が高まるのか?安心安全な春節を願います。