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欧州で続く入国規制緩和、ワクチン未接種者に門戸を開く国も続出

2022.03.02

世界中で新型コロナウイルス感染症の流行は続いているが、感染力は強いものの、重症化しづらいと言われているオミクロン株が主流になったことで、ヨーロッパ諸国を中心に水際対策の緩和が進められている。これまでワクチン接種完了を条件に入国を受け入れたり、隔離なしでの入国を認める国はあったが、ここにきてワクチン未接種の渡航者に対しても、パンデミック前と同条件で、隔離なしの入国を認める国が出てきた。今回は、新型コロナ規制を大幅に緩和した国々の入国要件などをまとめた。

 

イングランド、水際対策の緩和でワクチン未接種でも検査をすれば自主隔離が不要に

 英国のイングランドとスコットランドでは、2月11日から水際対策が緩和された。ワクチン接種完了者はこれまで、入国から2日以内に検査を受ける必要があったが、2月11日以降はワクチン接種を2回済ませている場合、入国後検査が不要になった。ワクチン未接種者はこれまで、入国後8日以降の検査および10日間の自主隔離が必要だったが、この措置を撤廃した。ただし、渡航前2日以内に実施したPCR検査の陰性証明書の提示と、入国から2日以内の検査は引き続き求められる。これらの緩和措置には、観光目的での入国も含まれる。

英国のジョンソン首相は2月21日、イングランドで新型コロナウイルス関連の法的規制を2月24日から全て撤廃すると発表した。これにより、陽性になった場合の自主隔離が不要となった。4月1日からは、これまで行ってきた無料の大規模検査も取りやめる。同首相は「このウイルスはなくならない」とした上で、オミクロン株による感染のピークは過ぎ、感染者数も入院者数も減少しているため、次なる変異株に対する備えをしつつ、日常への移行を進めていくと述べた。

英国の感染者は、オミクロン株の流行で今年1月上旬にピークを迎えたが、その後減少傾向が続いており、現在はピーク時の13%、1日当たりの新規感染者が3万人を切るようになった。

 

フランス、ワクチン接種を完了した渡航者は、陰性証明書の提示と入国時の検査が不要に

フランス政府は新型コロナウイルスの感染者数の減少に伴い、2月12日より入国規制を緩和した。フランスでは、感染状況に応じて国を色分けしており、これまでは感染リスクの低い国から、「緑」「オレンジ」「赤」「濃い赤」の4段階で区分していた。しかし、この緩和措置により、全ての国を一旦「緑」と「オレンジ」に指定し、「赤」は今後新たに変異株が発生した場合などに指定すると発表した。

2月12日以降は、ワクチン接種完了者はいずれの国・地域からの渡航であっても、これまで求められていた陰性証明書の提示と入国時の検査が不要となった。ワクチン未接種者は引き続き渡航前72時間以内に実施したPCR検査、または48時間以内に実施した抗原検査の陰性証明書が必要になるが、「緑」の国から渡航する場合は、フランス入国時の検査と隔離が免除される。ただし、「オレンジ」の国からワクチン未接種で入国する場合は引き続き特別な理由が必要で、フランス到着時に抜き打ち検査が実施される。

フランスでは今年1月下旬に1日当たりの新規感染者が40万人を超えるなど、過去最多を更新したが、その後減少し、現在はピーク時の16%、1日当たりの新規感染者が6万人を切っている。

 

ノルウェー、ワクチン未接種者に対してもコロナ対策の入国規制を撤廃

ノルウェー政府は、ワクチン接種率の向上や、現在主流となっているオミクロン株が重症化しづらいという状況などを背景に、水際対策を緩和した。具体的には、1月26日から入国後の自主隔離措置を撤廃し、2月10日からは、これまで渡航者に対して義務付けていた入国時の登録および陰性証明書の提示といった入国規制も撤廃した。この緩和措置は、ワクチン未接種者にも適用される。国内の新型コロナウイルスに関するほぼ全ての規制も解除され、密集空間でのマスクの着用義務や、ワクチンパスの提示、在宅勤務の義務、社会的距離の確保などが必要なくなった。飲食店の営業時間制限も解除されている。ノルウェーは、国内の規制と入国要件をパンデミック前の状態に戻した最初の国となった。

ノルウェーでは、ワクチンの3回目の接種率が全人口の50%を超えていて、新規感染者が減少傾向にある。

 

スイス、オーストリア、イスラエル、ワクチン未接種者を隔離なしで受け入れ

スイスは2月17日に全ての入国制限を撤廃した。これを受け、これまで必要とされていたワクチン接種証明や陰性証明の提示義務が解除され、入国フォームの登録や入国時の隔離も不要になった。

オーストリア政府も2月22日より入国規制を緩和。これにより、[1]ワクチン接種証明、[2]治癒証明、[3]入国前72時間以内のPCR検査または24時間以内の抗原検査による陰性証明のいずれかを提示すれば、隔離なしで入国できるようになった。つまり、ワクチン未接種者でも陰性証明書を提示できれば入国できる。

イスラエルも3月1日より入国規制を大幅に緩和し、ワクチン接種の有無にかかわらず、全世界からの観光客を受け入れる。渡航前72時間以内に実施した検査の陰性証明と、入国時にPCR検査を受けて陰性になれば、隔離なしで入国できるようになる。ただし、入国時の検査においては最大24時間の検査結果待ちを承諾する必要がある。