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コロナ規制明けた沖縄、ホテル宿泊客を地域へ案内 那覇の活性化目指す

2022.03.22

沖縄は2022年の年始を新型コロナウイルスの規制なしに迎えたが、他県同様にオミクロン株の影響で感染者が増加し、1月9日にはまん延防止重点措置が発令された。しかし、その後に病床使用率が改善し、新規陽性者の前週比が減少したことなどから、いち早く2月21日には解除になった。空の玄関口である那覇空港や国際通りなどの繁華街も少しずつ活気を取り戻しつつあるが、全国でこれまで最もコロナ対策期間が長かった県だけに、本格的な回復は容易ではない。

ゆいレールの県庁駅前から歩約6分、国際通りにもほど近い「OMO5沖縄那覇 by 星野リゾート(以下OMO5沖縄那覇)」は、まん延防止期間中の2021年5月13日にプレオープン。その後夏シーズンを前に事態は悪化し、5月23日に緊急事態宣言が発令されたことで、一気に県外からの客足が遠のいた。そのため地元の新聞やテレビなどに地元向け情報発信をしてマイクロツーリズムにフォーカスするなどし、2021年11月1日にグランドオープンにこぎつけて現在に至る。

星野リゾートのOMOのブランドコンセプトは「都市観光ホテル」。今まで宿は寝るだけという人にももっと旅のテンションを上げてもらおうと、地元探索をサポートする「Go-KINJO」というサービスを行っている。「ご近所マップ」という街歩き地図をパブリックスペースに飾り、スタッフの「ご近所ガイド OMO レンジャー」が地元を案内するツアーを催行している。また、ホテル内のインテリアや雑貨なども地元のカルチャーやアートなどに焦点を当て、地元と共に観光を盛り上げていく。


▲「ご近所マップ」はスタッフが地元を歩いてお店を開拓。「ゲストの推薦も取り入れる」とOMO5沖縄那覇の北原絵里世総支配人

OMO5沖縄那覇では、OMOレンジャーによるツアーは現在3本。通年で催行しているのが、かつては水上店舗で今は暗渠の上に残る商店街など、ディープで歴史的な部分に焦点を当てた「裏国際通りさんぽ」と、沖縄の食文化を買い物しながら体験できる「スーパーマーケットレンジャー」。そして、2022年5月31日まで開催しているのが、沖縄県の名産であるマグロに注目した「マグロはしごツアー」。全国のおよそ1割が那覇漁港で水揚げされ、マグロは那覇市の市魚に制定もされている。沖縄風のマグロ天ぷらやOMOレンジャーが用意した島とうがらしなどで刺身を食べたりと、沖縄ならではのマグロの食体験をできるツアーだ。

▲ホテルのライブラリースペースに展示されているシーサーの歴史

またツアーの他に、復興作業が進む首里城に関心を持ってもらおうと「首里城講座」も実施しているが、そのネタ探しでみつけた菓子店の首里城を形取ったクッキーをホテルのカフェで販売。その店にとっては、初めての他店への商品出しだったが、今やカフェのお土産では一番の人気商品になっていて、首里城講座でも実店舗への誘導を図っているという。

今後は、ゲストが推薦するスポットを「ご近所マップ」に加えたり、季節に合わせた新たなツアーの造成など、観光客と地元がインタラクティブに触れる機会をさらに増やしたいという。今は卒業旅行、これからはGWに向けて、地元と共に那覇の観光活性化を目指している。