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インバウンド解禁間近、米 タイなど3カ国で海外旅行意識調査。アジア・太平洋で人気の旅行先は?

2022.05.30

外国人観光客からみて、日本の入国規制や感染症対策はどのように捉えられているのか。

その手がかりとなる調査結果がある。アンケートのデータプラットフォームを開発するsyno Japan株式会社とデータを軸としたマーケティング支援を手掛けるブルームーン・マーケティング株式会社は5月4日~10日に「 2022年内のアジア太平洋エリアへの海外旅行意向調査」を行った。2022年内にアジア・太平洋エリアに海外旅行をしたい18歳以上の男女(米国209人、シンガポール211人、タイ209人)合計629人を対象に、オンラインでアンケート調査を実施したところ、旅行先としての日本の人気の高さが伺える結果となった。

調査を行った3カ国の2019年の訪日客数は、米国:172万3861人(5位)、タイ:131万8977人(6位)、シンガポール:49万2252人(11位)だった。

なお、この3カ国は、観光庁が外国人観光客の入国再開に向け、5月に実証事業を行うと発表した対象4カ国(米国、オーストラリア、タイ、シンガポール)に含まれている。実証事業ではまず、この4カ国を対象に小規模ツアーを受け入れている。

(図出典:「アジア太平洋エリアへの海外旅行意向調査」

 

アジア・太平洋地域で行きたい国NO.1は日本

アジア・太平洋地域で行きたい国を、「入国規制を考慮しない場合」と「感染状況や対応等を踏まえた場合」の両方を聞いたところ、3カ国全体の順位はともに日本がトップだった。

特に「各国の入国規制を考慮しない場合の行きたい国」においては、3カ国すべてで日本が1位となった。全体では日本に次いで韓国、オーストラリアが人気となった。

アジア・太平洋地域で行きたい国について、「入国規制を考慮しない場合」と「感染状況や対応等を踏まえた場合」の両方で聞いたところ、米、シンガポール、タイ3カ国全体をあわせたランキングは、ともに日本がトップで、次いで韓国、オーストラリアが人気となった。

特に「各国の入国規制を考慮しない場合の行きたい国」においては、3カ国すべてで日本が1位となった。

国別に見ると、タイでは特に日本の人気が高く、7割近い票を集めてダントツのトップだった。また、米国のトップ3には韓国に代わりニュージーランドが、シンガポールのトップ3には僅差でオーストラリアを退けたマレーシアが入った点に特徴が出た。

一方、「コロナの感染状況や対応等を踏まえた場合の行きたい国」について見ると、米国の1位はオーストラリアで、日本は僅差で2位、次いでニュージーランド、まだ分からないと続いた。シンガポールは韓国、マレーシア、オーストラリアがほぼ同率でトップを占め、日本は僅差で4位だった。タイでは日本が圧倒的な差で1位に輝き、2位の韓国に20ポイント以上の差をつけた。

 

シンガポールとタイは年末の旅行希望者が約50%

旅行の時期については、3カ国全体で見ると11-12月が最も多く、特にシンガポールでは50.2%、タイでは45.9%にのぼった。今すぐに旅行をするというよりも、様子を見ながら年末の旅を見据えていることがうかがえる。ただ、米国に関しては、「未定」という回答が50%と最も多く、7-9月が23.4%、11-12月は10.5%に留まった。米国市場にとってアジア太平洋エリアはロングホールの旅行になるため、慎重な姿勢がうかがえる。

 

渡航できるまで待つかどうかは、国によって意見分かれる

行きたい国にまだ渡航できない場合の考え方について、最も多い回答を見てみると、米国「解除になるまで待つ」、シンガポール「別の国への計画を進める」、タイ「代替案を準備しつつギリギリまで待つ」と、国ごとに特徴の差が出た。特にシンガポールは「別の国への計画を進める」が56.4%と半数を超えており、せっかく訪日意欲が高くても、旅行できない状況が長引けば、別の国へ行ってしまう可能性が高そうだ。また、ロングホールの旅行になる米国に関しては旅行時期の回答と同様、不確実な段階では動かない傾向があるようだ。

 

長期間の旅行に対する考え方、欧米と東南アジアで大きな違い

旅行先の選択や旅先での行動について、コロナ前と変わった点としては、「予約のタイミングを遅らせる」「変更・キャンセルポリシーを重視する」「旅行時期をピークから外す」が上位3つに挙げられた。3カ国で違いが出たのは、長期間の旅行に対する考え方で、シンガポールとタイでは1回の旅行日数を長くすると回答した人が約40%いるのに対し、米国では約20%に留まった。これは、米国の旅行者にとってロングホールとなるアジア地域への旅行は、滞在期間が長期になる傾向があるため、日数に変化が少なかった可能性もある。

逆に、近距離旅行を好むようになったと回答した人はシンガポールやタイでは一桁台だったのに対し、米国では15%と2倍以上多く存在した。パンデミックにもかかわらずメキシコへ旅行する人が多かったのがうなずける数字である。

 

コロナ禍での海外旅行先決定に影響を与えることは?

また、PCR検査やマスク着用義務など感染症対策でどんな要因が海外旅行を決める際の阻害要因になるのか聞いたところ、3カ国とも「入国先で隔離・行動制限がある」が1位だった。2位以下は国別に違いがあり、米国では「帰国後の隔離・行動制限」と「マスク着用義務」が同程度で続き、シンガポールでは「出発前のPCR検査・陰性証明が必要」が2位、「帰国時に現地でPCR検査・陰性証明が必要」が3位だった。タイでは「出発前のPCR検査・陰性証明が必要」が2位、「マスクの着用義務」が3位だった。

いずれにしろ、旅行再開が早かった米国のほうが、アジアの2カ国と比べるとどの項目もあまり阻害要因と感じていないように見える。