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6月より更なる規制緩和のタイ、1日2万人弱が入国、観光業の回復際立つ

2022.06.08

日本は、6月10日から入国規制を緩和し、外国人観光客の受け入れを開始する。当面は流入リスクの最も低い「青」区分の国・地域(英米豪、中国、韓国、台湾、香港、タイなど98カ国)からのパッケージツアー客限定となる。日本政府はこれに先立ち、5月に米国、オーストラリア、タイ、シンガポールの4カ国から旅行関係者らを招く実証事業を行い、この結果に基づき、マスク着用、手指消毒、3密回避の徹底や、新型コロナウイルス感染症をカバーする医療保険への加入などを明記した旅行会社向けのガイドラインを6月7日に発表した。今回は、実証事業の対象となった国の中から、いち早くインバウンド客誘致に乗り出しているタイの動きをお伝えする。

 

タイ、6月1日からさらに入国規制を緩和。初日は2万人弱が入国

タイでは、入国規制の緩和が段階的に進められており、ワクチン接種を完了していれば渡航前のPCR検査や入国後の隔離が不要で、ワクチン未接種者でも渡航72時間前の検査で陰性が証明できれば入国後の隔離が免除されている。

ワクチン接種の有無にかかわらず、タイ渡航前に申請が必要なのが「タイランドパス」だ。しかし6月1日より、タイ国籍者はタイランドパスの申請が不要となり、外国人も申請完了後1、2時間以内に自動的にQRコードが発行されるようになった。このQRコードは、空港のチェックインカウンターや入国審査時に提示が求められる。タイランドパス申請時には、新型コロナウイルスの治療費をカバーする最低1万USドル以上の治療補償額がある医療保険証を提示する必要がある。

6月から入国規制のさらなる緩和が行われた影響で、初日の6月1日には1万9767人の渡航者がタイへ入国した。このうち1万9713人はワクチン接種を完了しており、54人が未接種だったという。タイの観光・スポーツ省が発表した統計によると、今年4月にタイを訪れたインバウンド客は合計で29万3350人(速報値)だった。このうち、日本人は1万1164人に上り、2年2カ月ぶりに月間1万人を突破した。国籍別で多かったのは、1位イギリス、2位インド、3位ドイツの順で、日本は8位だった。

 

タイ人にアンケート調査、9割以上が1年以内の日本旅行を希望

 タイ向けの訪日旅行ウェブメディアを運営するアジア・インタラクション・サポートが6月に発表した調査結果では、タイ人の9割を超える人が1年以内の訪日を希望していることが明らかになった。調査対象となったのは、訪日経験のある1631人のタイ人で、このうち日本旅行へ「すぐに行きたい」が36.8%、「半年以内に行きたい」が25.3%、「1年以内に行きたい」が31.0%となり、93.1%が1年以内に日本旅行を希望していることがわかった。

また、コロナ後の日本旅行の予算に関する質問では、「従来より多い予算」を予定している人が41.8%に上ったという。旅行日数に関しても、「従来より多い日数」と回答した人が34.5%に上り、予算も日数も増やす傾向が明らかになった。一方で、タイ人観光客の本格的な増加は、ビザ不要の個人での訪日旅行が解禁された後になるという予測もある。

日本政府がインバウンド客の受け入れを6月10日に解禁すると発表したことを受け、タイの旅行会社では本格的に訪日パッケージツアーの販売が進められている。「バンコクポスト」によると、ツアー料金は、新型コロナウイルス感染拡大前と比較して、3〜4割高くなる見通しだという。現時点でタイ人が訪日する際、以前は必要なかったビザの取得が義務付けられるため、ビザ発給手数料2000バーツ(約7500円)がかかる上、渡航前72時間以内のPCR検査にもおよそ5000バーツ(約2万円)が必要になるという。

これに加え、1グループ10名以下で、旅行の全行程に添乗員をつける必要があり、ツアー会社は全食事付きのツアーを提供しなければならないため、パッケージの料金が高くなっているようだ。

 

6月半ばにマスク着用義務を解除へ

タイでは、3月下旬から4月上旬にかけて、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が2万人を超えピークを迎えたが、現在は減少傾向にあり、1日2000〜3000人程度で推移している。

6月1日からは首都バンコクや観光地でカラオケやバーなどの娯楽施設の営業を午前0時まで認めている。ただし、この緩和措置は、観光地や感染状況が落ち着いている地域に限定しているという。タイ政府は6月半ばにもマスク着用義務も緩和する方針を示した。これに先駆け、観光地のプーケットでは6月2日にマスク着用義務を解除するも、翌日の3日にはそれを撤回。解除撤回の理由は明らかになっていない。

こうして紆余曲折を経ながらも、タイの規制緩和は着実に進められており、タイ中央銀行によると4月は国内の経済がすべての分野で改善を見せ、特に観光業の回復は際立っている。