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観光大国を目指す韓国、KーPOPコンテンツを武器に2027年 インバウンド3000万人目標掲げる

2022.12.21

韓国政府は今年10月より、新型コロナウイルス関連の入国規制を完全に撤廃した。現在、日本から韓国へ入国する際はビザが不要で、個人旅行も認められている。渡航前の新型コロナウイルス検査やワクチン接種証明の提示、入国後の隔離も不要だ。海外との自由な往来が可能になった今、韓国は世界に誇るKコンテンツ(K-POPアーティスト、韓国ドラマ、映画など)を武器にインバウンドの推進へと舵を切った。ここでは、2023年から観光大国を目指す韓国の動きを紹介する。

 

2027年までの第6次観光振興基本計画を策定。長期滞在ビザも新設へ

韓国政府は12月12日、第7回国家観光戦略会議を開催し、2023~27年の「第6次観光振興基本計画」を定めた。この計画では、2027年までに外国人観光客3000万人、観光収入300億ドル(約4兆1000億円)、国内旅行支出額50兆ウォン(約5兆2300億円)などを目標に掲げている。世界的に人気を集めているKコンテンツを観光に取り入れ、インバウンド推進に本腰を入れる考えだ。

韓国政府はまず2023年~2024年を「韓国訪問の年」とし、航空、宿泊、ショッピング、飲食などの分野で、官民共同でマーケティングを展開する計画を立てた。最大2年間の長期滞在が可能な「ワーケーションビザ」の新設を決めたほか、ダンスや音楽などの韓流コンテンツ留学が対象となる「Kカルチャー研修ビザ」の新設や、東南アジア諸国を対象とする団体ビザの拡充など、入国制度の緩和も進めていく方針だ。

 

ソウル市、8年連続で「世界最高のMICE都市」に選出

韓国文化体育観光部と韓国観光公社は12月13日、「2023~2024韓国観光100選」を発表した。この事業は2013年に始まったもので、韓国の代表的な観光地100カ所を2年ごとに選定している。ソウル市の5大古宮(景福宮、昌徳宮、徳寿宮、昌慶宮、慶熙宮)、済州島の済州オルレ、慶尚北道慶州市の仏国寺と石窟庵など、14カ所は6回連続で選出されている。また、ソウル市のソウルの森など、新たな観光スポット33カ所が初めて選ばれた。

12月6日に米ロサンゼルスで開催された「グローバル・トラベラー・リーダー・サーベイ・アワード(GT Tested Reader Survey awards)」で、ソウル市が「2022年 最高のMICE都市」に選ばれた。2位はドバイ、3位はシンガポールだった。今回の結果を受け、ソウル市は23件の国際会議をソウルに誘致したという。同イベントは米旅行専門誌「グローバル・トラベラー」が2004年に創設したもので、MICE都市、航空会社、ホテルなど各部門の授賞式を毎年開催している。ソウル市は2015年から8年連続で最高のMICE都市に選ばれている。

米民泊仲介大手のAirbnb(エアビーアンドビー)はこのほど、Airbnbを使って行き先を考える際に最も多く検索される都市のランキングを発表し、韓国のソウルが世界第4位にランクインした。1位はタイのバンコク、2位はオーストラリアのシドニー、3位はスペインのマラガの順だった。ソウルが4位に入った理由は、世界的な人気グループBTSやNetflixの人気ドラマ「イカゲーム」など、Kコンテンツの影響によるものとみられている。

 

日韓両国の入国規制緩和で、航空路線が続々と再開・増便

日韓両国が入国規制を緩和したことで、両国を結ぶ航空路線が続々と再開、増便している。韓国の航空7社は11月に比べて運航便が約3割増えた。大韓航空は12月より「ソウル(仁川)―札幌」線、「仁川―沖縄」線を再開させ、11月比で6割増便した。また、12月末からは「ソウル(金浦)―羽田」線を1日3往復に増便する。アシアナ航空も12月は11月比で3割増便した。

JALは12月7日に冬ダイヤの国際線運航計画を追加決定し、2023年1月から「羽田―ソウル(金浦)」線を現在の1日2往復から3往復に増便する。ANAは11月16日から「羽田―金浦」線を1日2往復に増便している。