欧米訪日客に人気急上昇のエリア分析、温泉や新規開業テーマパーク、知られざる場所への注目高くーナビタイムジャパン
2023.09.25
交通データ事業を行なうナビタイムジャパンは、訪日客向けに展開しているナビゲーションアプリの利用状況から、欧米人訪日観光客の間で訪問率が急激に上昇している人気の地域を発表した。分析対象は米国、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの5カ国。コロナ前である2019年3月〜7月と、2023年の同期間を比較し、滞在増加率を割り出している。
なお、JNTOによると、2023年7月の訪日客数統計は、2019年同月比77.6%の232万人。8月は同85.6%の215万人となり、23市場中13市場で2019年同月の値を上回るなど回復が進んでいる。
各国それぞれで人気急上昇の地域を見ると、アメリカ人観光客の間では茨城県坂東市が人気で、2019年比で93.0倍となった。イギリス人には秋田県小坂町が人気があり25.0倍、ドイツ人は宮城県石巻市で14.0倍、フランス人は愛知県長久手市で45.0倍、スペイン人は新潟県長岡市で8.0倍、イタリア人は群馬県草津町で9.0倍の伸びを見せた。
イギリス、ドイツ、フランス、スペイン4カ国の上昇率トップ10内にランクインしたのは愛知県長久手市で、2022年11月に開園したジブリパークの影響で人気急上昇しているようだ。中でもフランスは45.0倍と飛び抜けた上昇率を記録している。
温泉に起因した人気から訪問率が伸びている地域もあり、フランス、イタリア、スペインの3カ国で草津市が急上昇、それぞれ11.9倍、9.0倍、6.0倍となった。温泉に入ること以外に、古き良き日本の雰囲気が楽しめる、浴衣を着る機会がある、などの理由も考えられる。
また日本人でもその特徴や文化を知る機会のないような地域で、驚くべき訪問率増加を記録しているところがある。刀匠の町である長野県坂城町はアメリカ人訪問率が78.0倍となり、十和田湖や秋田犬、明治時代の芝居小屋「康楽館」などで知られる秋田県小坂町はイギリス人が25.0倍の増加を見ている。ドイツ人には日蓮宗の聖地で宿坊体験もかなう山梨県身延町が人気で14.0倍、フランス人には大洲城で宿泊体験ができる愛媛県大洲市が7.5倍で、注目を集めている。熊本県の益城町はイタリア人8.0倍の増加があり、人気漫画「ONE PIECE」のキャラクター像が設置されていることが魅力となっているようだ。
これらは空港から遠く交通の利便性の低い地域が多く、それに打ち勝つ観光資源を持った地域であることが伺える。さまざまな地域で静かに継承される文化や、特定の嗜好にアピールする観光資源が、欧米観光客の間で認知されているようだ。