2025年 世界の旅行トレンド「オールインクルーシブ」「グルメ重視の宿」「ロケ地巡り」など8つに注目 ーエクスペディア
2024.11.19
エクスペディア・グループから、2025年の旅行トレンドについてまとめた「Unpack ’25 The Travel Trends」が発表された。エクスペディアとホテルズドットコムを含むエクスペディア・グループ内のデータに加え、日本を含む世界19地域における2万5000名の旅行者を対象としたグローバル調査結果に基づいたもの。これにより、2025年に注目される8つのトレンドが明らかになった。
(図版出典:Expedia Group Unpack’25)
人気が集まる第2の旅行先
2025年の旅行者は定番ルートだけでなく、寄り道をして新たなスポットを体験するようになるだろう。第2の旅行先は、観光地ほど有名ではなくそれほど混雑はしていないが、人気観光地の近くにあり、日帰り旅行にも最適であると同時に、旅行の主目的ともなりうる人気上昇中のスポットだ。
調査によると、世界の旅行者の約63%がこういった「第2の旅行先」に行ってみたいと回答。また、日本でも半数近く(48%)の旅行者が「第2の旅行先に行ってみたい」と回答している。
日本では福岡が挙がっているが、ここに「第2の旅行先」として挙げられている旅行先はすべて、過去1年間で検索数が増加しているところだ。
▶︎寄り道して訪れたい旅行先
第2の旅行先 | 定番の旅行先 | 国名 |
ランス | パリ | フランス |
ブレシア | ミラノ | イタリア |
コスメル | カンクン | メキシコ |
サンタバーバラ | ロサンジェルス | アメリカ |
ワイカト | オークランド | ニュージーランド |
ジローナ | バルセロナ | スペイン |
福岡 | 東京 | 日本 |
アブダビ | ドバイ | アラブ首長国連邦 |
クラビ | プーケット | タイ |
キャンモア | カルガリー | カナダ |
現地でしか手に入らないものを求める「買い物旅行」
旅行のお土産といえば、キーホルダーや冷蔵庫用マグネットが定番だが、最近の旅行者は狙い目がちょっと違うようだ。というのも、TikTokで、ドバイのチョコレートバー、韓国のスキンケア製品、日本のキャンディー、フランスのバターなど、あらゆるものがバイラルしている現在、旅行者、特にZ世代は自国では手に入らない特産品を求めて、遠くまで出かけるようになっている。
実際、世界の旅行者の39%が「旅行中に現地の食料品店やスーパーを訪れる」、44%が「現地でしか買えないローカルなお土産を買う」と回答。日本では3人に1人(36%)が「旅行中に現地の食料品店やスーパーを訪れる」、約4割(39%)が「現地でしか買えないローカルなお土産を買う」と回答している。
また、旅行先でよく買うお土産について最も多かった回答は、世界の旅行者では「キーホルダーやマグネットなどの小物(47%)」だったのに対し、日本人は「現地のローカルグルメや珍味(68%)」と約7割近くの人が回答し、世界で最も多い割合となった。
また、コスタリカでのコーヒーツアー、中国でのお茶の試飲、日本での茶の湯体験などは、エクスペディアで最も人気のある体験ツアーだという。
オールインクルーシブの時代
2025年にはオールインクルーシブホテルが注目されるだろう。特にZ世代の旅行者からの注目度が高く、世界の旅行者のZ世代のうち、3人に1人(33%)が「ここ1年で、オールインクルーシブホテルへの印象が良くなった」と回答し、42%が「オールインクルーシブホテルを好む」と回答している。その理由として「予約時のストレスを最小限にできる(41%)」「予約が簡単(39%)」「贅沢な気分になれる(38%)」などを挙げている。
一方で、オールインクルーシブホテルでの宿泊経験について、世界の68%が「ある」と回答したのに対し、日本人は38%に留まった。オールインクルーシブホテルに関しては、日本人旅行者において、今後伸びしろのあるカテゴリーであることが伺える。
グルメ重視のホテル選び
宿泊施設に関していえば、「グルメ重視のホテル選び」がトレンドとなることが予想される。ミシュランの星を獲得したシェフの起用や季節ごとのメニュー提供など、世界では話題性のあるホテル内レストランが次々とオープンし、多くのゲストを惹きつけている。Hotels.comのレビューを見ると、ホテルのレストランやシェフ、バーに関するレビューは前年比で40%増加しており、ホテル内レストランへの注目度や関心が上がっていることが分かる。
また、世界の旅行者の29%が「有名なレストランのルームサービスがあること」、31%が「ホテルの宿泊客専用のレストランの予約枠があること」がホテルを選ぶ際の大きな理由になると回答。さらに、日本では44%が「季節に合わせてメニューが変わるレストランがあること」と回答し、ホテルを選ぶ際、ホテルでの食事を重要視していることがわかる。
JOMOトラベル
JOMOトラベルとは聞きなれない言葉かもしれない。英語にはFOMO(フォーモ)とJOMO(ジョーモ)という表現がある。前者は、「Fear of Missing Out」の略で、「見逃したり取り残されたりすることへの不安」を表し、後者は「Joy of Missing Out」、すなわち「見逃す喜び」を表す。
SNS全盛時代になって人々の生活を気軽にのぞけるようになったことから、自分と他人の暮らしを比べて劣等感や疎外感が生まれやすくなった。そこで、「自分だけ置いて行かれた気持ちになるという不安」から逃れ、「SNSを使用しないことで、目の前の今を楽しもう」という姿勢を旅行でも実践しようというのだ。
旅行者の62%がJOMOトラベルはストレスや不安を軽減し、約半数がJOMOトラベルは愛する人との絆を深めることができると答えている。
JOMOトラベルを実践する人が選ぶバケーションレンタルの調査データがある。人気があるタイプは、魅力的なビーチハウス、人里離れた湖畔のロッジ、居心地の良い山のシャレーなど。また、JOMOトラベラーは、プール、静かな庭、ジャクージやスパ、眺めの良いポーチのあるバケーションレンタルを求めていることもわかった。
自然の驚異を目撃する旅
2024年4月、北米大陸を横断する皆既日食を見るために大勢の人が集まった。当日、進路上にある田舎の別荘は予約で満杯となり、自然現象を目撃するためにわざわざ遠出をする旅行者が押し寄せた。星空観察やオーロラ鑑賞のために暗い空を目指す人も、ウミガメの孵化を見るためにビーチに向かう人も、旅行者は息をのむような自然の驚異を最前列で見たいのだ。
調査データによると、旅行者が体験したい自然現象のトップはオーロラ(61%)、次いで火山、間欠泉、温泉などの地質学的現象(30%)だった。さらに、旅行者の80%が、これらの現象の絶好の観賞スポットを提供する場所に滞在できることが重要だと答えている。
2025年も続くロケ地巡りの旅
エクスペディアは、2023年の新たな旅行トレンドとして「ロケ地巡り旅」を発表したが、スクリーン上のエンターテインメントは依然として旅行のインスピレーション源であり続けている。世界の旅行者の62%が「映画やテレビ番組に影響されて旅行先を検索したことがある」と回答。日本では63%が同様の回答をしている。
また、旅行先選定で影響を受けたものについて、世界の旅行者で最も多かった回答が「Instagram(43%)」、次いで「TV番組(40%)」、「映画(39%)」と続くのに対し、日本では依然として7割近くの旅行者が「TV番組(68%)」、4割近くが「本(39%)」と回答しており、昔ながらのメディアの影響力が大きいことが伺える。
昨年のレポート「Unpack’24」のロケ地巡りで注目された『エミリー、パリへ行く』に代わり、2025年は世界の旅行者の間で『The Real Housewives of Dubai (ドバイ版リアル・ハウスワイフ)』が新たなトレンドセッターとなるだろう。 エクスペディアのデータによると、番組放映後、ドバイへの関心は前年比30%以上増加した。
また、イギリスは依然として「ロケ地巡り旅」のメジャーな旅先となっており、『ブリジャートン家』、『ハリー・ポッター』、『ゲー ム・オブ・スローンズ』、『アウトランダー』をテーマにした数多くのツアーがエクスペディアで予約可能となっている。
以下は、2025年に注目されるロケ地の一覧だ。南アフリカ最南端のケープタウンは、Netflixで配信された実写版ドラマ『ONE PIECE(ワンピース)』を撮影した巨大な撮影所があり、周辺の自然は格好のロケ地となっている。原作者の尾田栄一郎もロケ地を訪れ、スタッフやキャストを激励したという。
▶︎人気が予想されるロケ地
ロケ地 | 作品 | ジャンル |
ドバイ | 『The Real Housewives of Dubai (ドバイ版リアル・ハウスワイフ)』 | リアリティショウ |
モンタナおよびワイオミング | 『イエローストーン』 | 西部劇ドラマ |
ニューヨーク | 『セックス・アンド・ザ・シティ新章』 | ドラマ |
ケープタウン | 『ONE PIECE』 | 実写版ドラマ |
スコットランド | 『The Traitors (裏切り者)』 | リアリティショウ |
インフルエンサーの旅をそのまま予約するワンクリック旅行
現在、世界中の多くの旅行者が、インフルエンサーのコンテンツから旅行のアイデアやイ ンスピレーションを得ている。また、消費者の半数は、インフルエンサーの投稿をきっかけに買い物をしている。このようなソーシャルショッピング(SNSに影響されての購入)は、TikTokやInstagramによって新たな常識になったが、旅行など、ある程度高額になり得る分野においてはまだ発展途中といえる。消費者の半数は、「SNSで見た旅行を予約したいと思ったことがあるものの、時間がなかったり複雑だったりして実際に予約しなかった」と述べている。
エクスペディアでは、ソーシャルメディアクリエイターとコラボレーションし、彼らが作り体験した旅行プランをそのまま購入できる「Travel Shops」をローンチした。現在、利用できるのはアメリカとイギリスのみだが、 2025 年にはその他の国でもサービスの提供を開始する予定とのことだ。
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