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APAC旅行事業者の65%が旅行需要拡大を予測、決済・AI・サステナブル対応が成長の鍵

2026.08.13

アジア太平洋地域(APAC)の旅行事業者の65%が、今後2〜3年で旅行需要が拡大すると見込んでいることが、Expedia Groupの調査レポート「Mapping the Future of APAC Travel」で明らかになった。

調査では、旅行事業者へのアンケートを通じて、旅行需要の見通しに加え、市場ごとに異なる旅行者ニーズ、旅行者への情報提供の状況、旅行事業者のAI活用動向を分析している。調査は、市場調査会社Censuswideを通じて、オーストラリア、中国、インド、日本、タイの旅行業界関係者1250人を対象に、2026年3月26日〜4月1日に実施された。

 

65%がAPAC旅行需要の拡大を予測、成長市場・旅行形態は国ごとに異なる

調査では、APACの旅行事業者の65%が、今後2〜3年でAPACにおける旅行需要が増加すると回答した。国別では、インド(82%)とオーストラリア(76%)で成長への期待が特に高かった。

旅行形態別では、高価格帯のレジャー旅行の成長を見込む回答が63%で最も多かった。さらに、回答者の6割以上が、低価格帯のレジャー旅行やブレジャー(Business+Leisure)、APAC域内旅行についても需要の増加を予測しており、成長は特定の旅行形態に限らず、幅広い分野に及ぶとみられる。

ただし、市場別にみると期待される旅行形態には違いがある。オーストラリア、中国では高価格帯のレジャー旅行への期待が最も高い一方、インドでは個人手配の出張、日本では企業管理型の出張、タイでは低価格帯のレジャー旅行がそれぞれ最多となった。

また、調査対象5市場の旅行事業者に、APAC全域で今後2〜3年の成長が期待される市場を尋ねたところ、旅行者の送客市場(Outbound)ではインド(33%)と日本(30%)、旅行先市場(Inbound)ではインド(31%)と香港(29%)が上位となった。

 

日本は、旅行先市場としてもインド、香港に次ぐ3位の28%となっており、送客市場と旅行先市場の双方で成長が期待されている。

 

 

APAC旅行者の期待は「多様な決済」から「AI予約」まで拡大、市場ごとに優先順位も異なる

APACでは、旅行者が旅行事業者に求めるサービスや体験の水準が急速に高まっている。旅行の検索・予約から決済まで、これまで差別化要素だった機能が、今では「あって当たり前」の条件になりつつある。

調査では、「各国・地域に合わせた多様な決済手段への対応」が、過去2年間で旅行者にとって最も重要性が高まった項目となった。これに「AIを活用した予約」「サステナブルな旅行商品の選択肢」「柔軟な変更・キャンセル対応」が続いた。

一方で、市場ごとに重視する項目には違いもみられた。日本では「サステナブルな旅行商品の選択肢」が最も重要性を増した項目となり、68%が2年前より重要になったと回答した。オーストラリアと中国では「母国語対応や市場に合わせた旅行体験」、インドでは「新たな予約プラットフォームを通じた予約」、タイでは「各国・地域に合わせた決済方法が利用できること」がそれぞれ最も重要性が高まった項目となった。

訪日インバウンド市場においても、市場ごとに旅行者が重視するポイントが異なることを理解し、それぞれのニーズを把握することが重要といえそうだ。

 

APAC旅行事業者の3割が「市場に合わせたコンテンツ不足」を課題視、旅行者体験にも影響

旅行事業者が抱える課題では、「各市場の旅行者に合わせたコンテンツの不足」が33%で最多となった。他には価格競争力のある商品やプロモーションの提供、システム面の制約、各国・地域の決済手段や通貨への対応も、3割前後が課題として挙げている。

また、旅行事業者が認識する旅行者の課題としては、「自分に合った情報や旅行商品を見つけにくいこと」が34%で最も多く、「検索エンジンやAIを使って旅行商品を見つけにくいこと」も同率で並んだ。旅行者は自分の言語や市場、興味・関心に合った情報を求めている一方で、旅行事業者側では市場ごとに最適化した情報提供が十分に進んでいないことが、旅行商品の検索や予約体験に影響していることがうかがえる。

訪日インバウンド事業者にとっても、多言語対応に加え、市場ごとのニーズに応じた商品やサービス、情報提供を充実させることが、旅行者との接点強化につながりそうだ。

 

AI活用は「導入するか」から「どう活用するか」の段階へ

APACの旅行業界では、AIの導入が急速に進んでいる。旅行事業者の79%がすでに何らかの業務でAIを活用しており、97%が今後もAI活用を進める意向を示した。現在はカスタマーサポートやチャットボットでの活用が中心だが、今後はマーケティングやレコメンド機能の強化、価格最適化などへ活用の幅が広がる見通しだ。

今後12〜24か月で優先的に取り組む施策としては、「コンテンツの充実と価格競争力の強化」(34%)が最多となり、「AIを活用した価格設定・商品最適化」(33%)、「システム連携の強化」(32%)が続いた。一方で、AI導入・活用を進めるうえでは、既存システムとの連携の難しさや、信頼できるパートナー・ベンダーの確保が大きな課題となっている。

 

【編集部コメント】

インバウンド戦略は「市場ごと」の発想へ

今回の調査で注目すべきは、APAC全体で旅行需要の拡大が見込まれる一方、その成長の中身は市場ごとに大きく異なる点だ。決済、AI予約、サステナブル対応など、旅行者が重視する要素も一様ではない。訪日市場においても、「インバウンドは一括りではない」という前提で戦略を組み立てる視点がこれまで以上に重要となる。自社や地域が重点とする市場では何が選ばれる要因となるのか、改めてデータを見比べながら整理してみる価値がありそうだ。

(出典:Expedia Group, Mapping the future of APAC travel

 

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