インバウンド旅行者の属性や動向、ニーズやトレンドを知ろう。

2025.04.08

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6. 日本を訪れる外国人はどの地域からが多いのか?

市場別訪日客数トップ6

2024年の訪日外国人客を国・地域別に見ると、1位韓国(881万7800人)て2位中国(698万1200人)、3位台湾(604万4400人)、4位アメリカ(272万4600人)、5位香港(268万3500人)がトップ5で、6位タイ(114万8900人)までが100万人を超えています。

地域別に見ると、東アジアが67%と最も割合が多く、ついで欧米豪+中東の17%、東南アジア+インドの12%となっています。2019年は東アジア70%、欧米豪+中東14%、東南アジア+インド13%でしたので、欧米豪+中東が伸びたことがわかります。

訪日外国人数2024年

以下は2000年からの訪日外国人客数の推移を示したグラフですが、これを見ると、2013年までは韓国が訪日客トップの市場でしたが、2014年に台湾が首位に浮上し、そして2015年には中国がナンバーワン市場になると、2020年まで首位の座を守り続けました。2022年以降は、中国の渡航規制解除の遅れでアウトバウンドの回復は鈍く、韓国が1位となっています。

 

7. インバウンド旅行者全体のトレンド、動向

訪日観光客の属性分析:データから見る特徴

ここでは観光庁が発表した「インバウンド消費動向調査(旧訪日外国人消費動向調査)」(平均泊数以外は2023年)から、訪日客の特徴を見ていきましょう。

・性別と年代 

性別で見ると、訪日観光客の構成は男性が53.4%、女性が46.6%と、やや男性が多い傾向にあります 。これを国籍・地域別にみると、台湾や香港、中国、 タイ、マレーシア、インドネシアで「女性」 の割合が5割を超える一方、インドやイギリス、ドイツ、イタリア、スペインでは「男性」の割合が7割を超えています。

性別2023年

年代別では、20代以下が33.3%と最も多く、次いで30代が30.5%と、若い世代が中心となっていることがわかります 。この二つの世代で全体の6割以上を占めており、日本の観光は若年層に強く支持されていると言えるでしょう。なお、年代別構成比には調査対象外である15歳未満は含まれていません。

年代別2023年

また、性年代別では「男性30代」(16.6%)、「男性20代」(15.3%)、「女性20代」(14.8%)の順で多くなっています。

・来訪目的と滞在日数

訪日観光客の主な来訪目的は、「観光・レジャー」が79.2%と圧倒的多数を占めています 。これは、日本を訪れる外国人にとって、観光やレジャーが主要な目的であることを示しています。

主な来訪目的2023年

滞在日数を見ると、全体では「4~6日間」が42.7%と最も多く、次いで「7~13日間」が31.9%となっています 。レジャー目的の場合も同様に、「4~6日間」が45.5%、「7~13日間」が33.0%と、この二つの期間で全体の8割近くを占めています 。

滞在日数2023年

なお、14日間以上の滞在者はドイツやフランス、スペイン、オーストラリアで5割超を占めており、 他の国籍・地域に比べて滞在日数が長い傾向にあることがわかります。

平均泊数の比較2024年

また、表を見るとわかりますが、週末を利用しての短期間の旅行が多い日本人と比べて、訪日外国人は滞在が長い分、地方への旅行にも積極的です。そのため繁忙期と閑散期の差が大きい宿泊施設や観光施設にとって、インバウンドは重要な収入源となります。

・来訪回数と同行者

来訪回数については、「1回目」が全体・レジャーともに3割強を占めており、初めて日本を訪れる観光客が多いことがわかります 。一方で、「4~9回目」が25%前後、「10回目以上」が15%~17%程度と、リピーターも一定数存在することが示されています。国籍・地域別では、イタリアやスペインで 「1回目」の割合が7割超と高い一方、 台湾や香港では「1回目」の割合が約1割と他の国籍・地域に比べ低くなっています。

来訪回数2023年

同行者を見ると、全体では「家族・親族」が28.4%と最も多く、次いで「自分ひとり」が25.6%となっています 。レジャー目的では「家族・親族」が33.8%とさらに割合が高まり、次いで「友人」が23.0%となっています 。これらのデータから、訪日観光客は家族や友人と共に旅行を楽しむケースが多い一方で、ひとり旅のニーズも一定程度あることがわかります。

同行者2023年

・旅行手配方法と申込方法

旅行の手配方法としては、「個別手配」が8割以上を占めており、団体ツアーや個人旅行パッケージの利用は比較的少ないことが特徴的です。これは、訪日観光客が自身の旅行プランを自由に組み立てる傾向が強いことを示しています。

旅行手配方法2023年

申込方法を見ると、「ウェブサイト」が78.0%(レジャー目的では81.8%)と圧倒的に多く、オンラインでの予約が主流となっていることがわかります 。

申込方法2023年

国籍・地域別ごとに特徴はあるものの、これらのデータから、今日の訪日観光客の全体像は、若い世代を中心に、観光・レジャー目的で、1週間程度の旅行を、個人手配で、オンラインで予約するケースが多いという特徴が見て取れます。

 

8. 訪日客の旅行トレンドの変化

多様化が進む、訪日インバウンド客の旅行スタイル

訪日リピーターの増加や世界的な旅行スタイルの変化もあり、近年の訪日インバウンド客の旅行スタイルは、従来の観光モデルから大きく変化し、多様化が進んでいます。

・体験・アクティビティ重視型

訪日客は、観光名所巡りだけでなく、日本ならではの文化体験やアクティビティに強い関心を寄せています。茶道、着物着付け、武道などの伝統文化体験や、寿司作りや日本酒テイスティングなどの食体験、さらには登山、温泉、サイクリングといった自然アクティビティの人気が高まっています

・サステナブル・エコツーリズム志向

環境意識の高まりとともに、持続可能な観光への関心が増しています。エコフレンドリーな宿泊施設の選択や、農村・里山への滞在、ローカルコミュニティとの交流体験など、地域資源を守りながら観光を楽しむスタイルが支持されています。

・ひとり旅と家族旅行

近年、訪日外国人旅行者の中でも、ひとり旅を選ぶ人が増加傾向にあります。個人の興味やペースに合わせて自由に旅程を組めること、より深く地域文化や地元の人々との交流を楽しめることが理由として挙げられます。世界的にも、特に女性のひとり旅客が増えており、安全で清潔な日本の環境が安心して旅行できる要因となっています。

一方で、家族旅行の需要も根強く、特にアジア圏からの旅行者を中心に、多世代で日本を訪れるケースが増えています。テーマパークや動物園などの定番スポットに加え、子供向けの体験プログラムや、家族で楽しめるアクティビティが人気です。

・ラグジュアリー&プライベート志向

富裕層を中心に、プライベートガイド付きのツアーやオーダーメイドの特別体験、高級旅館・ヴィラでの滞在といったハイエンドな旅行の需要も拡大しています。混雑を避けつつ、安心・安全なプライベート空間で特別な体験を求める傾向が強まっています。

・デジタルノマド・長期滞在型

海外で仕事をしながら旅行する「デジタルノマド」と呼ばれる層には、高速インターネット環境や安全な生活環境が整っていることから、日本はワーケーション先として魅力的な選択肢となっています。デジタルノマドは、長期滞在することで、日本の文化や生活習慣をより深く理解し、地域経済にも貢献することが期待されています。

 

 

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