インバウンドを始めるにあたっては以下の7つのステップがあります。

１　情報を収集する

これは2つの目的から行います。第一はお客様を知ること。外国人観光客や海外の旅行会社の動向やニーズを知ることによって、漠然としていた外国人旅行者というイメージが具体化されるでしょう。日本で開催されている各種セミナーに参加したり、現地の商談会に参加してみるのもいいでしょう。

第二にインバウンドの業界を知ることです。インバウンド関連のニュースや政府機関が発表する統計や調査結果などに目を通して、インバウンドの世界の動きを把握すること。そして、大勢いるインバウンドのプレイヤーと積極的な情報交換を行うことが大切です。

２　ターゲットを明確にする

「インバウンドに取り組んでいるけれど結果が出ない」という声を聞くことがありますが、往々にしてターゲットが明確ではなかったり、曖昧な場合があります。

外国人といっても多種多様ですし、同じ国・地域からの人でも年齢層や趣味趣向は様々です。欧米豪からのアクティブな中間層なのか、アジアからの富裕層のグループなのか、個人なのか等、自分たちの地域はなんのためにどのような人たちを呼び込みたいのか、まずはターゲット市場を絞りましょう。

３　現状を把握する

その次に自社の施設や自治体が属する地域に訪日外国人がどの程度足を運び、どの程度消費しているのかを知ること、つまり現状の把握です。

「自社の商品やサービスの認知度はどれだけあるのか」「どれだけの外国人観光客が来ているのか」「受け入れの環境整備はどこまでやっているのか」「競合他社はいるのか」など。そうした基本的なことを知れば、ターゲットへのアプローチの方法も自と見えてきますし、情報発信などの戦略を立てる上で役に立ちます。

４　自分たちの魅力を発見する

前述したように、自分たちにとってはなんでもないことが外国人の目にはとても新鮮に映っている場合があります。その地域をすでに訪れている外国人がいれば、直接聞いてみるのが一番手っ取り早いでしょう。

また、良い点はもちろん足りない部分も見えてくる口コミサイトの投稿をチェックしてみたり、海外のECサイトでの売れ筋商品をすることで、思いがけない発見ができるでしょう。留学生や外国語教師、駐在員やその家族の人たちなどすでに日本滞在が長い人たちの意見も参考になるでしょう。

５　ビジネスを組み立てる

いくら魅力があっても、ビジネスとして成り立っていないと、外国人観光客に満足してもらうことも、稼ぐこともできません。価格設定、パッケージング、サービスの質などを確認し、魅力をビジネス化する方法を考えましょう。

たとえば、そこに美しい自然があったとします。それでは、そこまでの二次交通や宿泊施設、すぐに口コミを投稿してもらうためのWiFi設備はどうでしょうか。そうしたものがあれば外国人でもより訪れやすいでしょう。かゆいところまで手がとどくようなサービスはかえって必要ありませんが、また訪れたい、誰かに知らせたいと思えるようなパッケージを用意したいものです。

６　情報を発信する

そこまですんだら、次に自分たちの良さを相手に伝えるための情報発信を行いましょう。いまは口コミが大きくものをいう時代です。SNSや動画を用いたインターネットによる発信は欠かせませんし、現地旅行会社へのアプローチ、旅行博や商談会への出展など、様々な事例を参考に、自分たちにあった手段で進めていきましょう。

７　検証と改善を繰り返す

どんなビジネスでもそうですが、始めたまま、やりっぱなしでは継続も成長も望めません。インバウンドビジネスでも、PDCAが重要です。Plan（計画し）、Do（実行し）、Check（検証し）、Action（改善）する。これを常に忘れないようにしましょう。

ここまで7つのステップをお伝えしましたが、それでは実際の事例にあてはめてみましょう。

やまとごころのサイトには多くの事例を掲載していますが、その一つが「ビワイチ」です。琵琶湖畔を自転車で一周することを意味するビワイチは元々日本人サイクリストには人気だったそうですが、台湾でサイクリングが人気なことに目をつけ、台湾からのモニターツアーを実施。そこで手応えを感じて、台湾をターゲットにプロモーションを開始、同時に環境整備を行いました。2018年には多言語のサイクリングアプリも運用開始、コロナ禍で訪日客が見込めないなかでも積極的にアプリのアップデートするなど利用者にとってさらなる利便性を図りました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。