インバウンドコラム
間もなく新年度。転勤や人事異動が多くなる時期を迎え、新たにインバウンド関連の部署に着任する方もいらっしゃると思います。そもそもインバウンドとは何のことで、何から取りかかったらいいのかもわからない。ここでは、そんな新任担当者が知っておきたいインバウンドの基礎知識を解説していきます。
そもそもインバウンドって何?
インバウンド(inbound)の本来の意味は「入ってくる」というものです。マーケティング用語として使われることもありますが、観光用語としてのインバウンドは、「訪日外国人観光」を指します。日本を訪れる外国人(訪日外国人)を相手に事業を行うことをインバウンドビジネスと呼び、訪日外国人の中には観光で訪れる人たちや、家族や友人を訪問する人たち、ビジネスの出張で訪れる人たちも含みます。
2019年に日本を訪れた訪日外国人の数は、3188万人でした。数字だけでイメージするのは難しいかもしれませんが、日本政府がインバウンド政策に舵を切った2003年の521万人からおよそ6倍に増えていることを知ると、その成長ぶりがわかるでしょう。また、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の2020年1月1日時点の総人口は3661万人でした。この数字と比較すると1年間で海外からだいたいどのくらいの人々が日本を訪れているのかをイメージできるかもしれません。
政府が掲げるインバウンドの目標とは?
近年における日本政府のインバウンド推進への取り組みは、2003年の小泉純一郎政権下で開始された「ビジット・ジャパン・キャンペーン」から本格化しました。当初政府は訪日外国人観光客数を「2020年に2000万人/2030年に3000万人」という目標を掲げていましたが、予想を上回るペースで増加していることから2016年には観光立国に向けた施策と新目標を定め、「2020年に4000万人/2030年に6000万人」に上方修正しています。
人口減少により国内市場が低迷する中で着実に成長を続けてきたインバウンドは、旅行消費額の増加による日本経済の活性化にも貢献しています。2019年の訪日外国人消費額は4兆8113億円で、7年連続で過去最高を更新しています。今年はオリンピックイヤーであることからインバウンド需要が期待されていましたが、中国に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大により2016年の新目標で定められた「2020年に8兆円」の達成にはかなり厳しい状況に置かれています。
しかし、東日本大震災などの影響を受けつつも訪日外国人観光客数は総じて増加傾向にあることや、訪日外国人消費額は2012年の1兆846億円から7年間でおよそ4倍に増えているということも抑えておきたいポイントです。
コロナウイルスの感染拡大の影響で、インバウンド業界は大きく揺らいでいます。
そのため、こうした事態に備えて日頃からリスクヘッジを重視すること、そして今回の事態が収束した後には反動のように需要が回復することをなどを視野に入れ、まずは今できることを着実に進めていきたいものです。