インバウンドコラム
前回のコラムでは中国人消費者による3つの消費を見てまいりましたが、今回はその中の1つ、越境EC市場について見ていきます。
<2015年12月3日>
目次:
注文件数4.67億件、売上1.7兆円を記録
ECプラットフォームの
◆注文件数4.67億件、売上1.7兆円を記録
先日、私(本コラム執筆者:ルイスマーケティング 菊池)がダイレクトマーケティングフェアで講演したときにも冒頭でネタとして述べたのですが、今年の11月11日(双11:中国のE-コマース売上が最も大きい日)のアリババグループ傘下の天猫では注文件数4.67億件、売上1.7兆円を記録しました。
日本の楽天市場の2014年年間流通総額が約2兆円なのでこの天猫の作りだした記録がどれだけ大きいか良くわかると思います。
その中でも今年大きく話題となったのが天猫内に2014年4月に正式オープンした天猫国際、アリババの仕掛けた越境ECプラットフォームです。
11月11日の開始10分で41カ国、2605ブランドの商品が販売されました。
1日の国別売上ランキングではアメリカが1位で日本が2位に付けました。店舗ランキングでは1位がアメリカのCOSTCOで4位に日本のキリン堂、10位にLAOXが入っています。キリン堂の天猫国際の運営責任者の方の話を伺ったところ、11月11日の売上は4.5億円にも上るそうです。
また、商品別の売上TOP10には日本商品が3つ(カルビーのフルグラ、花王のオムツ、日立の美顔器)入りました。
売上以外での特筆すべき数字は売上の68%がモバイル経由であるということです。
コラムの第三回で中国人消費者が微信メディアに影響を受けていることをお伝えしましたが、天猫でのモバイル経由の売上の高さからも如何に中国人消費者がスマートフォン・タブレットを利用しているかがわかります。
さて、このように毎年話題となる中国のE-コマースですが、その中でもここ1年は越境ECが特に盛り上がっています。
2014年時点で中国人消費者の越境ECを通じた日本商品の購買は6064億円と訪日中国人のインバウンド消費よりも大きかったのですが、このときの購買サイトは主に日本のサイト、日本アマゾンや楽天、Yahoo、その他日本企業が運営しているECサイトでした。
◆ECプラットフォームの勃興
しかしここ1年で情勢は大きく変わっており、越境ECサイト・アプリの勃興、天猫・京東内の越境ECプラットフォームの勃興が顕著になってきました。
日本商品に限ってお話すると特に天猫国際内に多くの有力日系小売企業が進出しております。
2013年後半に先陣を切ってテスト運用段階の天猫国際に出店したケンコーコムを皮切りに、 ガイアの夜明けでも取り上げられたキリン堂が出店し、その後、アットコスメ、マツモトキヨシ、LAOX、日本ヤフー傘下のロハコといった有力小売が挙って出店をしております。
天猫国際以外ですとBolomeという越境ECアプリが2015年半ばにオープンし、オープンわずか4ヶ月余りで既に中国検索エンジン最大手の百度を含め50億円以上の資金調達に成功しております。
このアプリには2つの大きな特徴、
1) 動画を活用した商品説明
→各商品に1分動画を付け、特徴を説明。生中継イベントも定期的に開催
2) 日本の店頭価格と同じ売価
→日本国内に支社を設け直接仕入れを行うことにより調達コストを圧縮
がある為、リピートユーザーの獲得につながっています。
中国政府も国内に複数の保税区を設けることにより越境EC企業の取り組みを後押ししており、中国国内における成長産業として注目されています。
日本では訪日中国人のインバウンド消費に注目が行きがちですが、メーカー各社にとっては中国越境ECも今後の業績を左右しうる市場として無視できない存在になりつつあります。
次回は3つの購買ルートのうち3つ目のソーシャルバイヤーによる購買について見ていきます。
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