インバウンドコラム
前回のコラムでは中国人消費者による3つの消費のうちの最後の1つ、ソーシャルバイヤーによる消費について述べましたが、今回はこの3つの中国人消費を巧みに開拓した健康食品メーカー「医食同源」の戦略について見ていきます。
目次:
医食同源人気の理由
医食同源の展開手法
◆医食同源人気の理由
皆さまはこの「医食同源」という会社をご存知でしょうか。
恐らくは殆どの方が聞いたことがないと思います。
実はこの会社の商品、中国人旅行者に買われ、中国人ソーシャルバイヤーにも買われ、越境ECでも買われているのです。
それも驚くことに2014年後半から売れ始め、2015年に一気に「爆買い」銘柄に押し上げられています。
ではこのメーカーはどうしてここまで人気が出たのでしょうか。
実はこのメーカーの戦略は弊社が様々な大手メーカーさまに提供している手法と極めて類似しており、それも2014年後半という早い時期から実施していたのです。
(※ここの社長は中国出身の方であり、社員も中国人の方が多く、中国市場に対するマーケティング方法を熟知していた為、こういった戦略を取ることが出来ました。)
◆医食同源の展開手法
以下にStep1〜3に分けて彼らが展開した手法を見ていきます。
Step1:売れている商材カテゴリ・パッケージを研究して類似商品を開発
Step1は商品開発です。2014年の早い段階で既に一部の中国人の間で青汁と酵素がブームになっていました。そこに目をつけて既に人気の出ている商品に類似した商品を開発して販売を始めています。
Step2:流通戦略/広告戦略
(流通戦略)
まず流通戦略ですが、中国人の方に日本人にも人気であるということを印象付ける為に、いくつかの主要ドラッグストアチェーンに展開を始めています。
また、それだけでなく中国人ソーシャルバイヤーが主に見る微信メディアを活用して長期間継続的に代理店を募集しており、その結果として多数のソーシャルバイヤーが彼らの商品の取り扱いを始めました。
(広告戦略)
次に広告戦略を見ていきます。
こちらも同様に日本でも人気であることを強調する為に局地的に交通広告、雑誌広告等を展開しています。
また、中国人消費者にダイレクトにアプローチ出来る手法として日系微信メディアへの記事広告や中国側でのWEBプロモーションを展開しています。
その結果、「医食同源」の売上は2015年の1年間で瞬く間に伸びていきました。
Step3:認知度・購買者が一定数を超えた時点で自社で天猫国際に出店
売上が伸びたあとの最終Stepとして15年後半に自社で天猫国際に旗艦店を開設しています。
弊社でも度々天猫国際への出店相談を受けることがありますが天猫国際は無名のブランドには非常に冷たく、参入ハードルが高いモールであり、加えて世界中の有名ブランドと競合関係になります。
一方、インバウンドやソーシャルバイヤーへのアプローチは、日本ブランドに限定した勝負になる上に商品がリアル店舗で展開されていれば、アプローチするハードルも大幅に下がり、参入コストも殆どかかりません。「医食同源」はインバウンドやソーシャルバイヤーから攻めて最終的に天猫小国際で旗艦店を開くことになった好例です。
「医食同源」の事例が中国人消費者向けのアプローチ方法を検討する上での参考になれば幸いです。
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