インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】世界中で広がる「Go To」 キャンペーン、クーポンのデジタル化も進む

2020.10.02

清水 陽子

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「Go To トラベル」「Go To イート」「Go To 商店街」と、観光業に携わる者として、昨今「Go To」という言葉を聞かない日はないほどです。加えて、大阪府では予約1件につき、2000円分のポイントが付与される「『少人数利用』飲食店応援キャンペーン」や、都内を観光する都民を対象に1泊あたり5000円を助成する東京都の都内観光促進事業など、全国で地域ごとの観光支援事業も盛んです。

人との接触や移動を避けなければならない事情を抱え、近場で経済を回していくより他ないのは世界共通です。ここでは、他の国ではどのような国内旅行需要喚起事業が行われているのか、いくつか紹介します。

イギリスでは、月火水のレストラン飲食で、食事とソフトドリンクが50%オフに

まずは、イギリスでの飲食店支援事業「Eat Out to Help Out」は、「イギリス版 Go To イート」として、日本のメディアでも取り上げられていました。8月3日から31日までの期間限定で、月火水に、レストランで食事をした場合、全ての食べ物とアルコールではないソフトドリンクの費用が一人最大10ポンドの範囲内で、50%オフになるというものでした。イギリス政府の発表しているデータによると、8月31日までに、1億の注文がこのキャンペーンによって発生し、5億2200万ポンド(約702億円)の請求が発生したとのことです。しかしその後、イギリス国内では新規感染者の数が増加し、9月24日からは再び、午後10時以降のレストランやバーの営業が禁止となりました。

低所得世帯にイタリア国内での宿泊に対してボーナスを支給するイタリア

イタリアには「イタリア版 Go To トラベル」があります。「Bonus Vacanze 2020(休暇ボーナス 2020)」という名で、年収が40,000ユーロ(約49万円)未満の世帯に、イタリア国内での宿泊に対して、500ユーロ(約6万円)のボーナスが支給されます。1人世帯には150ユーロ(約1万8000円)、2人なら300ユーロ(約3万6000円)、3人以上の家族に500ユーロ(約6万円)が支給され、2020年7月1日から12月31日まで使えます。

東南アジア諸国でも国内旅行に対するクーポンや減税措置

マレーシアでは、年内の国内旅行に対して100リンギット(約2500円)のデジタルバウチャーがもらえると同時に、国内旅行をした人は、1000リンギット(約2万5000円)の減税措置が設けられたといいます。

シンガポールでは9月16日、18歳以上の全てのシンガポール人に国内観光用の100シンガポールドル(約7600円)のバウチャーを支給するとシンガポール政府観光局が発表しました。2020年12月から2021年6月までの期間、国内での宿泊とアトラクションチケット、ツアーに使えます。この「SingapoRediscovers バウチャー」は、シンガポール国民や永住権保持者などが申請できるSingPassを使って、政府のポータルサイトから取得できます。さすがは、アジア1のデジタル競争力を誇るシンガポールです。スイスの国際国際経営開発研究所が2019年11月に発表した「世界デジタル競争力ランキング」で、シンガポールはアメリカに次いで世界第2位につけており、日本は世界23位、アジア太平洋地域で8位です。

日本では、10月に「Go To イート」が始まり、「Go Toトラベル」に東京が参加する予定です。withコロナの観光関連業界は、イギリスの例を見ても、進んでは立ち止まりの繰り返しかもしれませんが、その時々の感染状況を注視しつつ一歩ずつ進んでいくよりないようです。

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