インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】パンデミックで世界の「住みやすさ」平均点が低下、都市ランキングでは大阪が2位に

2021.06.24

清水 陽子

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英国の政治経済誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2021年の「最も住みやすい都市」ランキングを発表しました。この調査は、世界140の都市を対象に、安定性(Stability)、healthcare(医療)、education(教育)、culture and environment(文化と環境)、infrastructure(インフラ)の5項目を数値化することで、住みやすさを評価し、毎年ランキング形式で公表されていましたが、昨年2020年はコロナ禍の影響で発表がありませんでした。

島国の8都市がトップ10入り

今年、初めて首位についたのは、ニュージーランドのオークランドでした。新型コロナウィルスの封じ込めに成功し、規制が早くに解除され、都市が機能し続けたことが要因だと言います。トップ10のうちの6つが、ニュージーランドとオーストラリアの都市で、強い国境規制により、市民たちが比較的普通の生活を続けることが可能だったところです。

CNNの記事によると、EIUのウパサナダット(Upasana Dutt)氏は、「今年上位にランクインした都市の多くは、新型コロナウィルスの抑制に厳しい措置をとった都市だ。ニュージーランドの厳しいロックダウンは、都市機能を再開させ、オークランドやウェリントンでは、市民たちがパンデミック前と同じような生活を送ることができた」と述べています。

日本、順位は上がるもポイントは下落

日本からは大阪と東京の2都市がトップテン入りを果たしました。大阪はオークランドに次ぐ2位で、前回の2019年の4位から2つ順位を上げました。東京も7位から4位に浮上しています。しかしながら、獲得ポイントに注目してみると、今年2021年の大阪の点数は94.2点で、2019年の97.7点から3.5点下がっています。東京も、97.2点から93.7点へ、こちらも3.5点の下落です。

世界中がパンデミック前より住みにくく、下げ幅大の都市がランク外へ

前出の記事でダット氏が「世界中の都市が、パンデミック前との比較で非常に住みにくくなっている」と語っているように、今年首位についたオークランドのポイントは96.0点ですが、2019年のランキングでは10位のアデレードでも96.6点を獲得しています。世界的に住みやすさの点数が下がっていることがわかります。

ダット氏が「特にヨーロッパなどの地域で、住みやすさが大きな打撃を受けた」と述べているように、ヨーロッパとカナダの都市が、今年は大きくランクを落とす結果となりました。パンデミックによる医療資源の圧迫が主な原因で、移動規制により文化活動が制限されたことも影響しているようです。2019年は99.1点を獲得し2連連続で首位についたオーストリアのウィーンは、今年は12位に転落しました。カナダは2019年にはカルガリー、バンクーバー、トロントの3都市がトップ10入りしていましたが、今年のカナダの最上位都市は16位のバンクーバーです。

ワクチン接種率の上昇で一気に順位を上げたホノルル

一方で、コロナ禍において、順位を大きく上げたのが、ホノルルやヒューストンなど、いくつかのアメリカの都市で、この6カ月の間に急上昇しました。多くの人々がワクチン接種を受け、規制が緩和されたことが要因です。ホノルルは、46位から14位に、ヒューストンは25上昇して31位につきました。

欧州やカナダなど、住みやすさランキング上位常連国の都市の点数が下がった結果、日本の都市の順位が相対的に上がったとも言える今年のランキングですが、世界がパンデミックで翻弄する中、安定して高得点を維持したことは評価すべき点ではないかと思います。

ちなみに住みやすさランキングのワースト1は、過去数年と同様に、内戦が続くシリアの首都ダマスカスでした。

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