インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】第18回 日本人の知らない日本—いくつ知っているかで外国人目線度がわかる?!

2017.11.22

清水 陽子

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前々回のコラムで、スイスで壱岐島が話題になっていたことを書きました。

スイス人に「Iki島について新聞で読んだよ!」と言われた時、私はその島の知識をほとんど持ち合わせておらず、恥ずかしながらインターネットで検索しました。外国人に「日本の○○について知りたい」と言われ、「それ何?」と冷や汗が出ることが、時々あります。今回は、私が外国人や海外メディアを通して知った、日本のものや場所をご紹介します。

 

  1. MIHOミュージアム

宗教家小山美秀子氏が生前に所有していたコレクションを展示する美術館で、滋賀県にあります。ルーブル美術館のガラスピラミッドを設計したI.M.Pei氏によって、「桃源郷」をイメージしてデザインされました。山に溶け込むようなミステリアスな佇まいが人気で、京都から足を伸ばす外国人が多いです。今年の5月には、新緑を背景にルイ・ヴィトンの2018年クルーズコレクションが行われ、世界中のメディアに報道されました。

 

  1. 中銀カプセルタワー

東京にある、黒川紀章氏の初期の作品です。日本の建築は、伝統建築から現代建築まで、ヨーロッパで高い評価を得ています。カプセルのような小部屋が連なったデザインが、人口過密な未来都市東京のイメージと重なって、建築に興味のない普通の観光客にも人気です。こちらも今年の夏に、スイスの主要ドイツ語新聞Neue Zürcher Zeitung で紹介されていました。人口密度15,073人/km2の東京の暮らしとはどんなものか、筆者がカプセルホテルに滞在しながらレポートした渾身の記事です。

 

  1. 映画『あん』

2015年に公開された、樹木希林主演の映画です。フランスとドイツとの合作映画で、カンヌ映画祭にも出品されました。「『あん』を見たの」と言うセリフを外国人の口から何度か聞きましたが、初めての時には「アン?赤毛?」「杏?渡辺謙の娘?」と、「あん」候補が頭を駆け巡りつつ、この映画を知らなかった私には「餡」という正解にたどり着けませんでした。天然痘という重いテーマが、どら焼き屋を舞台に、しっとりと暖かく描かれた映画です。『あん』を見たという人を、下町のどら焼き屋に案内するととても喜んでくれます。 

 

  1. 暗黒舞踏

舞踏家土方巽が中心となって立ち上げた前衛舞踏で、海外ではBUTOHと呼ばれています。全身を真っ白に塗って、体全体を使ってくねくねと動く舞踊形式は、その宗教的解釈を含め、日本でよりもむしろ、ヨーロッパで前衛アートとして発展していきました。2008年公開のドイツ映画『Kirschblüten – Hanami』にも、BUTOHを踊る少女が登場します。「日本でホンモノの寿司が食べたい」と言うように「日本でホンモノのBUTOHダンスが見たい」と言う外国人がいるのです。そうした声を捉えてできた、京都の小劇場は連日外国人でいっぱいだとか。

 

  1. 根付

着物姿で財布やタバコ入れなどを持ち歩く際に、帯に吊り下げるためのストッパーの役割を果たす留め具のことです。実用品として室町時代に誕生し、江戸時代には装飾品として発展していきました。素材やデザインにこだわった粋な作品が多く、現在では美術工芸品として、欧米を中心に熱狂的なコレクターがいます。インターナショナル・根付・ソサイエティなるものも存在し、アメリカとヨーロッパ、そして日本で定期的に会議が行われています。 

さて皆さんはいくつご存知でしたか?全て知っていた方は、かなり外国人目線をお持ちかもしれません。

 

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