インバウンドコラム
中国のECサイトで盛大なセールが行われる11月11日の「独身の日」は、今や日本でもおなじみになっています。独身の日の仕掛人であるアリババでは毎年11月11日に大規模なイベントとセールを実施していますが、コロナ禍に見舞われる今年はどのような展開が予定されているのでしょうか。ここでは、独身の日の基礎知識とともに今年の独身の日セールの動向をご紹介します。
「独身の日」とは?
11月11日は中国で「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれており、パートナーのいない独身の人たちが集まってお祝いをする日として認識されています。ちなみに「光棍」とは中国語で独り身、「節」は祝日を意味しています。この日に目をつけた中国EC最大手のアリババは、2009年から自社のECサイト「Tmall(天猫)」で大規模なセールをスタート。これが一躍ブームとなり、今では中国全土でセールが行われる日となっています。中国では独身の日のセールを「双11」や「双十一」「W11(ダブルイレブン)」などと表記して親しまれています。
コロナ禍のアリババ「独身の日」セールはどうなる?
コロナ禍に見舞われる今年、アリババは独身の日のセール「天猫ダブルイレブン」ショッピングフェスティバル(11.11GlobalShoppingFestival)を2回に拡充して開催します。まず1回目は11月1〜3日までの期間を設け、11日のメインイベントに先駆けて新型コロナの影響を受けている新規出店ブランドや中小企業に、商品やブランドをアピールする機会を増やすそうです。今年は25万以上のブランドと500万以上の業者が参加し、昨年の2倍となる200万点以上の新製品が発売されることもあり、前年の総取引額をさらに上回ると予想されています。
コロナの反動で売り上げ増?今年の消費傾向は?
アリババは1月下旬から中国でのロックダウンの影響を受けたものの、4〜6月期(第1四半期)の決算は総売上高が前年同期比33.7%増の1537億元(約2兆3000億円)となり、堅調に回復してきています。アメリカの経営コンサルティング会社アリックスパートナーズが実施した調査によると、中国の消費者の39%は、昨年と比較して今年は独身の日により多くの支出をすると回答しています。新型コロナの影響で海外旅行へ行けない中国の消費者は、自宅にいながら世界中の良質な製品を購入できるとあり、今年はより一層独身の日のECセールに需要が集中すると考えられます。一方で、中国の消費者の66%は、独身の日セールで外国ブランドよりも国内ブランドを購入すると回答し、その理由に「愛国心」を挙げています。今年の独身の日セールは中国のブランドにとってもチャンスが広がることになるでしょう。
昨年は流通総額ランキングで日本が1位
昨年の独身の日セールでは、「新消費」「新ビジネス」をキーワードに、中国消費者のライフスタイルの向上に合わせ、世界中のブランドや中小企業がアリババのエコシステムを通して中国市場を開拓できるよう支援しました。その結果、越境ECにおいては78の国と地域から2万2000以上のグローバル・ブランドが参加しています。国・地域別の流通総額ランキングでは、日本が4年連続で1位を獲得。2位以下にはアメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツが続きました。昨年の独身の日の取引総額は、1日で2684億元(約4兆1000億円)に達し、前年の2135億元(約3兆2000億円)を大幅に上回って過去最高額を更新しています。
まとめ
アリババは今年、中国の消費者の海外製品に対する需要の増加に対応するため、89の国と地域から2600以上の新ブランドの新商品を提供すると表明しています。また、今年はライブコマースに力を入れ、ライブ配信で商品の紹介や実演、販売が行われるそうです。ニューノーマル時代の「独身の日」セールでは、昨年の取引総額を超えることになるのか、注目が集まります。
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