インバウンドコラム
中国では毎年、春節(旧正月)の前後が7日間の大型連休となり、中国全土が1年で最も盛り上がりを見せる時期となります。最近では、帰省よりも国内外の旅行を選択する人も多く、日本を訪れる人々も増加していました。春節の基本的な知識をおさらいしつつ、コロナ禍での2021年の傾向について紹介します。
春節の基礎知識
春節とは、中国における旧暦のお正月(旧正月)です。中国には春節、清明節、労働節、端午節、中秋節、国慶節と呼ばれる国民休日がありますが、その中でも大型連休の代表とされるのが春節です。春節は中国本土のほか、台湾、香港、シンガポール、韓国、ベトナム、マレーシアなどでも国の祝日として定められています。日本の年末年始と同じく、大晦日には大掃除をし、当日には正月料理を家族で食べ、子供にお年玉を渡すといった習慣があります。
2021年の春節は2月11日(木)〜17日(水)の7連休
中国の春節は太陰太陽暦に基づいているため、2019年は2月5日、2020年は1月25日と毎年日にちが異なります。2021年は2月12日(金)が春節で、大晦日の2月11日(木)から2月17日(水)までの7日間が春節連休として定められています。
なお、春節の正式なスケジュールは毎年、中国国務院(中央政府)から発表され、2021年分は2020年の11月25日に発表されました。春節連休は故郷に帰省する人が多く、のべ約30億人が移動する「春運」が毎年話題となりますが、2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、春節連休中はできるだけ帰省を避け、今いる場所で過ごすようにという呼びかけが各地でなされています。国有鉄道会社も、「乗車日の30日前」から発売予定だった事前販売開始時期を「15日前」に調整することを発表し、既に購入した乗車券のキャンセル料免除を1月7日から実施しています。
春節中の人気の旅行先だった日本
以前は、故郷に帰省して家族や親戚と新年を祝うのが一般的でしたが、最近は国内外を旅行する人も多く、日本は人気の旅行先でした。中国最大のオンライン旅行会社Trip.comが2020年1月に発表した調査によると、日本は、2020年春節期間の人気旅行先(中国周辺国)のトップに選ばれています。新型コロナウィルス感染症の拡大が武漢で見つかったのが2019年12月で、1月24日から30日までだった2020年の春節には、まだ旅行者の行き来がありました。1月27日に中国政府が海外への団体旅行を禁止したため「時期の違いから単純な比較は難しい」とした上で「2019年と比べると春節の中国からの訪日客は2割ほど減った」と、当時の観光庁長官田端氏が2月の会見で語っています。
2021年は自宅でネットショッピング三昧か
日本の「紅白歌合戦」に相当するのが、春節の前日20時から翌日午前1時まで放送される「中国中央電視台春節聯歓晩会」です。WeChatを開発したテンセントが、2015年にこの「春節聯歓晩会」と協力し、番組中にスマホを使ってお年玉を配るキャンペーンを実施したところ大ヒット。その後「春節聯歓晩会」の恒例行事となり、アリババやバイドゥなども参画しています。今年「春節聯歓晩会」と提携することになったのはECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥドゥ)」です。「拼多多(ピンドゥドゥ)」は2015年に設立、2018年にはナスダック市場に上場するなど、脅威的な成長を見せています。
その特徴は「共同購入」と言うシステムで、欲しい商品を共同購入してくれる人をSNSなどで募り、目標人数に達すると割引特典がついてくると言うもの。友人や親戚からの口コミが最も信頼される中国の文化をうまく捉えたシステムです。移動が制限された中での長期休暇は、家でスマホを握りしめ、お年玉でショッピングをして過ごす人が増えるのではないでしょうか。
収束後はまた日本に行きたい
2012年から継続的に訪日海外旅行者の意向調査を公表している「日本政策投資銀行日本政策投資銀行」が2020年6月に実施したアンケートから、「新型コロナウイルス感染症の終息後に海外旅行をしたいか」と言う問いに対し、82%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答しました。アジア圏に限定すると、86%の人が海外旅行意向を持っており、中国についてはその割合は92%と非常に高くなっています。
また、「収束後に海外旅行したい国と地域」では、「アジア居住者」の中では日本は1位で、中国、台湾、香港などでは「日本」と回答した人が半数以上を占めています。また、訪日旅行に期待することは「衛生面における配慮、清潔さ、消毒などのウイルス対策全般の継続」が最多ですが「文化体験アクティビティの種類や質の充実、ブラッシュアップ」に対する回答も多く、春節にまた旅行者を迎えられるよう、魅力的な旅行コンテンツを準備しておきたいですね。
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