2020年にユーザーが選んだ日本における宿泊先リスティングのお気に入りリストTOP10と、最も予約された日本のオンライン体験を、Airbnb（エアビーアンドビー）が公開した。米国の成人1010人を対象に実施された調査によると、36％が毎日またはそれ以上、旅行について思い浮かべると回答しており、ステイホーム中に旅行に思いを巡らせ、気になる宿をチェックしたり、オンライン体験を通じて行きたい地域の魅力を楽しむ人が増えている。

次の旅行の計画は時間をかける傾向あり、好みの宿をじっくりリストアップ

Airbnbには気になる宿泊先を「お気に入り」に入れておき、リストを作る機能があり、「お気に入り」をシェアした後、旅仲間同士で各自好みの宿泊先リストにコメントを付け合ったり、次回の旅で泊まってみたい宿泊先を検討するのにも活用したりすることもできる。前出の調査によれば、69％が旅行への妄想は前向きな感情をもたらすと回答しており、訪れてみたい場所をオンラインで探索したり、過去の旅行を振り返ったりすることで、幸せや希望などの前向きな感情が引き起こされることが分かっている。また、最近のトリップアドバイザーの調査でも、世界の旅行者の74%が次の旅行を計画する際に、目的地の選択により時間をかけることが明らかになっている。

「泊まってみたい」のは秘密基地風の山小屋や大正末期の京町屋

2020年いつか泊まってみたい「お気に入りTOP10」に選ばれたのは、東京・大阪の都市圏ではワーケションでの利用目的も考えられる仕事環境の整った部屋、静岡や長野では森に囲まれた古民家やハンモックのついたテラスが付いているもの、京都では京都ならではの雰囲気が感じられる古民家や沖縄では海が見渡せる開放的な一室など、日本各地の特徴とゲストの用途に合致したものが人気だった。

例えば、長野県の「山村テラス」は、森の中にある手づくりの小さなコテージで、住宅のように快適ではなく、別荘のように豪華なわけでもないが、自然に囲まれた居心地の良い家だ。レビューからは、「360°自然に囲まれた素敵な小屋で､のんびりと過ごす時間は本当に贅沢」「鳥や虫の声に囲まれてゆっくり過ごせる秘密基地のような所」などの声がある。

京都の、「Kyoto Guesthouse Bokuyado Mini Japanese Room」は、90年前の大正末期から昭和初の時建てられた京町屋で、元は京染屋の工場兼住宅だったもの。町家の構造を生かしながら、デザイン性と快適性を両立させたつくりで、昔ながらの町家の暮らしを感じることができる。

日本への知的好奇心を満たすオンライン体験が人気

オンライン体験では、コロナ禍においても海外居住者による日本への知的好奇心が非常に強いことが分かった。具体的には、東京や京都のバーチャルツアー、お寺散策、折り紙、日本酒、僧侶と瞑想、チェロ奏者と和尚による癒しのコンサートなどバーチャルでの日本旅行や、文化を楽しめる体験、そして瞑想などが予約で上位となっている。

「日本の僧侶との瞑想」は、2002年から僧侶をしているホストが、2種類の瞑想をゲストと共有することから始まる。20分間のマントラ詠唱ののち、10分間の呼吸瞑想を行う。その後、瞑想のやり方に関するディスカッションなどをし、キャンドルや鏡を使った瞑想、気功、写経、禅などの説明もある60分の体験だ。

「東京の酒蔵二十三代目当主から学んだビギナー向け日本酒入門」では、東京で300年間続く酒蔵23代目と共に日本酒を盛り上げようと日々活動を行っているホストが、日本酒の始まりと歴史、日本酒がどのように作られているのかなどを語る。日本酒好きになるための飲む順番など、日本酒を楽しむコツを、自分の好きな日本酒やドリンクを片手に乾杯しながら学べる。

「ユニークな古の神々が住む京都を探索しよう」では、京都のバーチャル旅行を楽しめる。神社や寺院などの古典的な聖地を歩いているような気分になるものと、最近の京都の繁華街、禅寺の雨の音、着物スタジオなど、京都を中心に日本の今の生活を伝える2つのツアーがある。

2020年最も予約された日本のオンライン体験一覧

Family Magic Show and Magic Lesson
日本の僧侶との瞑想
東京の酒蔵二十三代目当主から学んだビギナー向け日本酒入門
10か所以上の人気スポットをめぐる東京バーチャルツアー
京都の聖なる山で森林浴
Origami and the Essence of Japan
ユニークな古の神々が住む京都を探索しよう
1,200体の羅漢像が立ち並ぶ京都のお寺を散策しよう
地元の人と渋谷での一日
チェロ奏者と和尚による癒しのコンサート

自宅にゲストを迎えたことに始まるAirbnbのリストから見えること

2020年12月10日米ナスダック市場に上場し、初値が公開価格の1株68ドルの2倍を上回る146ドルとなった同社は、2008年に2人のホストがサンフランシスコの自宅に3人のゲストを迎えたことから始まった。地域のホストとユニークな旅体験を求めるゲストが集うプラットホームからは、「今」求められているものが見えてくる。世界中の妄想トラベラーに向けて、何を発信すべきかのヒントとなるだろう。