インバウンドコラム
「インバウンド」という言葉がこの国に定着してからしばらく経ちます。東京や京都、大阪などの都市部だけでなく、地方都市でも沢山の外国人観光客が見られるようになりました。
そんな中、各自治体がしのぎを削って地域プロモーションを行い、外国人観光客の誘客に取り組んでいます。時代はまさにインバウンド地域間競争。プロモーションをしっかり行い、その地域の魅力が国外に伝わればインバウンド客は確実に増えます。ただ、いくら観光客が来ても地域の消費が増えなくては意味がありません。
ところが、その地域の「消費」を促す接客に対して日本人は全く奥手で、外国人が来客すると、英語が一番上手い従業員に任せたり、目を合わさなかったりします。そんな状態では店舗全体で売り上げを上げていくのは到底無理です。
外国人が日本を訪れた際に、ショックだったという経験のひとつに、「道を聞こうとしたら逃げられた」というものがあります。なぜ彼らは「逃げた」のか…。それは多分、「英語に自信がない」からではないでしょうか。日本人が苦手なスキルの一つに外国語でのコミュニケーションがあると思いますが、そこには「正確に言わないと通じないのではないか」という不安が隠れています。中学から Do you have a pen? という問いに「はい」と答えるときは Yes, I do、「いいえ」と答えるときは No, I don’t と答えなくていけない刷り込みが行われ、それ以外は間違いであると教えられます。会話の時は Yes、または No だけでも十分伝わるのにもかかわらず…。
そして、日本人は発音にも自信がない。その理由はただ一つ。ローマ字です。ローマ字はその名の通り「ローマの言葉」=「イタリア語」をベースに作られているため、イタリア語を発音すると日本人はどの外国人よりも上手に発音できますが、英語を発音するには全く適していません。英語をローマ字のルールに沿って発音しても全く通じないのはこのためです。
上記の「正確な文法で言わなくてはいけない」というプレッシャーと、「ローマ字読みによる間違った発音」によって、日本人は大きな不安を感じ、道を聞こうとした外国人から「逃げる」のです。
私が開発した「カタカナ接客英語」はそんな不安を消し去ることができます。フレーズはどれも中学校1~2年生レベルの単語のみで構成され、そのカタカナで書かれた短いフレーズを音読するだけでネイティブのような発音になり、これまで通じなかった英語が突然通じるようになるのです。英語が通じた際のその自信が、これまで抱えていた英語への不安を吹き飛ばします。
このコラムでは、「その日から使えるカナカナ接客フレーズ」を毎回ひとつずつ紹介しながら読者の皆さんの英語に対する心のハードルを下げ、外国人観光客とのコミュニケーションを楽しみながら、売上にしっかりつながる接客ができるようにしていきます。
このコラムを読み続けることで、知らないうちに外国人との会話に不安がなくなり、接客が楽しくなることを約束します。次回から連載の「カタカナ接客英語フレーズ」、皆さま、どうぞお楽しみに!
筆者プロフィール:
櫻井亮太郎(さくらい りょうたろう)
株式会社ライフブリッジ 代表取締役
内閣府クールジャパン・地域プロデューサー
一般社団法人東北インアウトバウンド連合副理事
宮城県出身。中学卒業後、単身渡米。イギリス・リッチモンド大学国際経営学科卒業。10年間の海外生活を終えて1999年に帰国。大手外資系企業に勤めた後、2006年に故郷仙台で株式会社ライフブリッジを設立。独自開発したネイティブに通じる発音矯正法とカタカナを読むだけで売上アップにつながる「カタカナ接客英語」によるインバウンド研修の他、外国人が食べたくなる買いたくなる8か国語によるメニューやパンフレットなどの翻訳、YouTube動画など、SNSを使った観光PRを手掛ける。