インバウンドセミナー・イベント
第45回やまとごころ勉強会サマリーレポート
LGBTフレンドリーでインバウンドマーケットをより活性化!
~多様性を認め合い、共に成長する~
日時 | 2016年4月26日(火) 15:00~17:30 |
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場所 | 新宿三丁目貸会議室 |
主催 | 株式会社やまとごころ |
講師 | (株)アウト・ジャパン 取締役 小泉伸太郎氏 (株)アウト・ジャパン 「OUT JAPAN」編集長 後藤純一氏 |
小泉氏はホテル、スキーリゾート開発会社等での20年のインバウンド経験を生かし、LGBT フレンドリーなランドオペレータ「Out Asia Travel」を設立。LGBT旅行者の日本旅行手配にて多くの知見を持つ。また、IGLTA(国際ゲイ・レズビアン旅行協会)のアジアアンバサダーも務めてり、日本人として初めて、Ambassador of the year 2016を受賞された。
後藤氏はAll About[セクシュアルマイノリティ・同性愛]ガイド、ゲイ向け総合情報サイト「g-lad xx(グラァド)」編集長などをつとめる。東京のレインボーパレードの実行委員やHIV予防啓発にも携わる。共著『職場のLGBT読本』(実務教育出版)
「LGBTフレンドリーでインバウンドマーケットをより活性化」
第一部 LGBT基礎講座 OUT JAPAN 編集長 後藤純一氏
LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル、両性愛者)、T(トランスジェンダー、性同一性障害者など、身体的性と自認する性が一致しない人)を表しており、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称の一つ。日本のLGBT人口は7.6%といわれる。
世界的な同性婚の状況は、同性婚が認められている国(欧州、北米など約20カ国)、同性婚に準じる国(独など)、特に指定がなく一部の権利が認められている国(日本、台湾など)、同性愛を公表することが違法の国(ロシアなど)、同性愛行為が違法の国(イランなど)、など様々である。
日本では、同性愛自体は違法ではないが、LGBTが直面しがちな社会的困難として、いじめ、就職困難・職場での差別、同性パートナーの法的保障がない、老後の不安、健康面でのリスク(メンタルヘルス、HIVなど)、性別変更の要件が厳しい、などがある。
LGBTフレンドリー企業とは、LGBTへの理解・共感を深め、積極的な支援者(アライ)になるということ。お客様満足度向上の面でも、LGBTに配慮したり、工夫したりすることで売上向上に貢献することも可能である。
大阪市淀川区は2013年にLGBT支援宣言を行い、沖縄県那覇市も、2015年にLGBT支援宣言の2例目となった。昨年東京都渋谷区で条例が制定されて話題になった同性パートナーシップ証明だが、世田谷区や三重県伊賀市でも宣誓書方式で認められ、広がりを見せている。また、札幌市、奈良市、日本政府観光局(JNTO)や国会(超党派の議連設立)での動きなどがある。
第二部 具体的なLGBTの取り組みについて アウト・ジャパン 取締役 小泉伸太郎氏
LGBTの市場規模は、国内のみで約6兆円、グローバルでは2,020億米ドル(旅行のみ)になるといわれている。
LGBTの傾向として、自身の旅行体験記・写真を頻繁に更新するため、口コミによる宣伝効果が期待できる。また、LGBTフレンドリーな場所・ホテルに赴く傾向が高く、一度訪問したところが気に入ればリピーターになる可能性も高いため、LGBTフレンドリーであることを発信することが大事。一般にサービスへの厳しい目を持つが、クレームに真摯に対応することで、再訪や高額消費にもつながる。
サービス方法の具体例としては、LGBTのシンボルであるレインボーカラーの6色の折り鶴を机に置いておく、もともと車椅子用のトイレを利用してジェンダーニュートラルバスとして提供する、などで好評を博している。
プロモーションの方法としては、国際的な機関であるIGLTA(International Gay & Lesbian Travel Association)へ加盟し、LGBTに対するアピール、ネットワーキング形成などを行う。また、海外の旅行会社・メディアの活用、国内外のLGBTイベントへの参加で、LGBTフレンドリーを周知する。
【編集後記】
LGBTに関してきちんとした話を聞くのは初めてであったが、インバウンドに限らず、21世紀を生きる人間にとっては非常に有意義な内容であった。交流会はなんとアジア最大のゲイタウンである新宿二丁目にあるゲイバーでの開催。こちらの方も盛況で学んだことを実感するまたとない機会となった。性別はグラデーションのようなもので、その境が相対的なものだとすれば、LGBTを学ぶことは人間そのものを学ぶことなのかもしれない。
(文責 高橋周平)
当日の開催概要はこちら▶︎http://www.yamatogokoro-ac.jp/program/20160426/