データインバウンド
世界一安全な国ランキング、アメリカが首位浮上、日本は23位に後退。入国規制の厳しさが順位に影響
2021.07.09
アメリカの大手総合情報サービス会社であるブルームバーグは、2020年11月以降、毎月世界で最も安全な国・地域の番付である「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」を発表しているが、同社が6月末に発表したランキングは前月からガラッと様相を変えた。そこで、今回はランキングを解説しながら、その理由を探っていく。
これまでは、53の国・地域を対象に、感染者数、死亡率、経済成長、医療制度、ロックダウンの厳格度などの10の指標をもとにランク付けをしていた。だが、アフターコロナを見据えた場合、各国地域が世界に対してどの程度開かれているかが最も重要な要素と考え、6月末の発表分より「国境開放の進み具合」を追加。これを測る指標として「ワクチン接種後の越境可能ルート」と「フライト能力」の2つを導入した。前者は陸海空路での越境の容易さを、後者は国内線を含めた空路の回復度合いから算出している。
こうした指標追加の結果、6月発表のランキングでは、ワクチン接種が大規模かつ迅速に行われ、すでに人口の半分が接種を受けたというアメリカが5月の13位から一気に首位に浮上した。現に世界的観光地のハワイでは昨年10月より、事前に新型コロナウイルスの検査を受けて陰性だった人には自己隔離を免除する「ハワイ州事前検査プログラム」を運用しており、コロナ前の賑わいを取り戻しているという。
また、ワクチン接種済みの旅行者に門戸を開いたスイス、フランス、スペインなどもトップ10入りした。
その一方で、4月まで首位を守り、5月は2位だったシンガポールや、これまで高順位だった香港、オーストラリア、台湾などアジア太平洋の一部の国・地域は、感染症封じ込めを最優先した入国規制の厳しさなどが影響して、順位を下げた。
日本のランキングを見ると、4月7位、5月14位と徐々に順位を下げ、6月は入国規制の状況が影響し23位まで落ちた。なお、中国に関しては、相変わらず入国規制は厳しいままだが、国内の航空便の回復が急速に進みパンデミック前の水準まで戻っていることが反映され、トップ10内をキープしている。
出典:Bloomberg「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」
世界的にはパンデミックが収束しつつあるとはまだまだ言えない状態だが、このランキングにより、トンネルの先が見えてきた国もあることがわかる。ただし、少しでも油断すると、再び感染拡大へ向かったり、入国規制が厳しくなる可能性もあり、全体像が見えてくるにはかなりの時間がかかるだろう。やまとごころでは、今後もこのランキングに注目していきたい。
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