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新型肺炎による沖縄県の経済インパクト試算 観光客50万人減で、観光収入はマイナス281億円に

2020.02.21

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沖縄県経済の2019年度実績見込みと2020年度見通し、及び新型肺炎による訪日中国客の減少が県経済へ及ぼす影響について、一般財団法人南西地域産業活性化センター(NIAC)は19日にレポートを発表した。

2019年度の沖縄県経済は、全国の景気回復が緩やかな中で前半は概ね好調に推移したが、後半は消費増税や日韓関係の悪化、新型肺炎の影響から個人消費や観光関連が弱含んで拡大ペースが鈍化し、特に新型肺炎の感染拡大が悪影響を及ぼし始めているようだ。

2020年度については、新型肺炎の感染の影響がどこまで拡大するか不透明な中、少なくとも年度前半は観光関連産業を中心に業況の落ち込みが予想されるとみている。7月の東京五輪期間中は、交通規制や宿泊料金の高騰から国内観光客や外国客が東京を避けることも予想され、県内観光への影響は小さいのではと見込む。

新型肺炎の影響は既に表面化しており、訪日中国客の旅行キャンセルによってインバウンド消費は落ち込んでいる。沖縄県におけるクルーズ船も2~3月の寄港キャンセルが相次いでおり、2月14日には県内で中国人客を乗せた女性タクシー運転手が新型コロナウィルスに感染したこともあって予断を許さない状況だ。今後も大幅な減少が続くようであれば、観光を含め県経済全体へのマイナスの影響が懸念されるだろう。

そのような状況を踏まえ、レポートでは新型肺炎による訪日中国人客の減少が県経済へ及ぼす影響についても試算している。

新型肺炎の感染拡大の影響が約半年ほど続き、沖縄を訪れる中国人客数が30万人減ったと仮定した場合、観光収入は138億円の減少になるという。また、中国以外からの訪日客や国内客にも影響が及んで観光客が50万人減少した場合、観光収入は281億円のマイナスになると試算している。観光客数の減少は雇用にも影響し、中国人客が30万人減少すると就業者数は940人減り、50万人の観光客減少では就業者数が1940人減るとみている。

レポートでは、新型肺炎によるインバウンド需要の減少や東京五輪後の経済の落ち込みへの対策も含め、政府による景気対策が必要になってくるものと予想しているが、年度前半で新型肺炎が収束すれば、後半にはインバウンド需要を含め、観光関連での持ち直しが期待できると述べている。

(やまとごころ編集部)

 

 

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