インバウンドコラム

【コロナの先のインバウンド業界⑧】ロイヤルカスタマー向けに、ベストなCreative、Channel、Timingで初動するための今—グローバル・デイリー社 中原宏尚氏

2020.04.21

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インバウンド業界の各分野で活躍する方々より、お寄せいただいている応援メッセージ。2008年よりインバウンドに携われ、これまで数多くの訪日客誘致のためのプロモーションやコンサルなどを手掛けてこられたグローバル・デイリー社の中原宏尚氏です。過去の数々の困難な時期を乗り越えられてきた氏のメッセージには、今すべきことの具体的な指標が含まれています。

 

—コロナショックが与えているインパクトは?

この質問についての回答は、答える必要もないほど明確であり、しいて言葉に
するのであれば「壊滅」「大打撃」「混乱」という言葉になるでしょうか。
数値的Evidenceは、Web検索や有識者のサイトを見て頂ければ一目瞭然かと思います。当社は、訪日外国人の専門プロモーションカンパニーとしての事業を生業としておりますので、多くの方々からご心配のお声やご連絡、また今後の見通しなどの見解を…とメッセージを頂いております。私は、常日頃から「逆の発想」「逆の視点」「逆の価値観」を大切にして参りました。こういった非常事態には、まさに活きてくる考え方だと自負しております。

さて、この考え方で、この問いを捉えてみました。不謹慎感であり、今、適切な言葉ではない事を理解した上で、あえて発言させて頂きます。今、目の前で起きている事実は惨事であることは言うまでもありませんが、同時に、「訪日インバウンド業界」の勢力図を一気に転換させることができる千載一遇のチャンスというインパクトが隠されていると捉えています。起きている惨事は、皆に平等です。しかし、未来は努力した者にのみビジネスチャンスが公平に訪れます。

 

—過去のピンチを踏まえ、今回どう対応しようとしてるか?

当社は、2008年より本格的にインバウンド事業を開始しました。過去からの学びとして3点、僭越ながらお伝えさせて頂きます。

① 「インバウンド視点ではなく、グローバル視点へ」

2012年9月尖閣問題勃発からの経験です。当時、日本のインバウンド市場は、3.11を乗り切り大手民間企業がようやくインバウンド市場に参入し始めていた時期でもありました。今ではGLOBAL CUSTOMERとして認知されていますが、その序章である、中国人観光客の爆消費(爆買ブームの入口)が高まり、その消費力目当てのインバウンド市場でした。東京都内については「インバウンド=中国人の買い物需要でしょ?」という認識の人々が多くいた時代でもありました。我々も当然、事業構成上90%が中国へのプロモーションでした。そんな中での「尖閣問題」勃発。あとは、皆様のご想像通りです。当社も縮小を余儀なくされました

その時の学びが表題の文脈です。「日本に軸足を置き、日本に来ている訪日外国人を見る視点」ではなく、「外国に軸足を置き、日本に出かけている外国人を見る視点」を持つことです。

この視点の違いは、大いに気づきを与えてくれます。前者の視点は、日本に来ている№1外国人数は中国の皆様となります。しかし、後者の視点でみれば、中国全国の海外旅行者1憶数千万人の数%しか日本には来てくれていない事になります。他、9000万人以上は、欧州や米国、またタイやベトナムなどアジアにも多く出かけています。一部の例ですが、そういった視点で正しく市場を見ていく重要性が大切になります。コロナショックの今、ぜひ後者の視点で、皆様にも訪日インバウンド市場を捉えることをお勧めいたします。

②「急速な回復」

今、多くの有識者や専門家が、訪日市場の情報Webサイトに上げておりますSampleとして上げる事例の多くは、2002~3年の「SARS」、2008年「リーマンショック」、2009年「新型インフルエンザ」、2011年「東日本大震災」といったところだと思います。この過去事例については、訪日外国人数において、減少の影響を与えた事は事実です。全て、事象は異なりますが、1点共通のキーワードが存在します。それが、表題に記載致しました訪日外国人数の「急速な回復」です。これは、わが国日本が誇れることだと私は自負しています。
3.11東日本大震災の時、訪日外国人を激減させたのは、実は、地震ではなく「原発」でした。これは、正直数年…へたしたら数十年…と覚悟を決めたことを覚えています。しかし、見事に日本は復興しました。震災発生後4カ月で、8割の推移に戻り、10カ月で、震災前の訪日外国人数へ戻ったのです。

勿論、今回の「新型コロナウィルス」は別次元の大災害と認識しております。しかし私は、この過去からの事実は、今回も適合すると考えています。それは、日本が世界から「安全・安心・綺麗・清潔・献身」という言葉でのブランディングがあるからだと信じています。

 ③「訪日インバウンド市場におけるLoyal Customer(ロイヤルカスタマー)の発見」 

この表題は、独自の見解ゆえ、あまり知られていません。ただし、多くの皆様に納得して頂ける事実です。
過去の大災害を踏まえ、訪日市場が、「ゼロ」「フラット」「激減」した場合、当然ですが、次に「リバウンド」が訪れます。リバウンドの正体は、本来の需要が、なんらかの外的要因で、阻止・実行不可になった場合、解放後に必要以上の行動・消費を行う物事を指します。これは人間の心理的行動論で実証されておりますので、事実です。

間違いなく、訪日インバウンド市場の「リバウンド」は巨大な市場となって、我々の目前に出現します。
多くの関係者が、それがいつか?で頭を抱えているかと思いますが、未来の事ですので、予言はできません。しかし仮説は立てなければなりません。私の仮説は、10カ月です。2020年2月、新型コロナウィルス勃発⇒12月終息です。その根拠は、過去の事実と、中国武漢の封鎖解除です。

そこで、重要視しなければならないのが、表題のLoyal Customerの存在です。単純な話ですが、日本国の感染ピークアウトからの外国からの入国制限解除を号令に、初動(最初)に訪日旅行を意思決定してくださる人々です。この入国制限解除は、諸外国の国・地域ごと解除が行われていく想定されます。その解除後、初動で訪日される人々とは、考えるまでもなく、「日本大好きな大ファン」という事なのです。
そういったロイヤルカスタマーは、通常市場ではアプローチが非常に困難です。この非常時ゆえ、メッセージを届ける事が出来ます。この訪日インバウンド市場における、ロイヤルカスタマーへの自社の商品やサービス、または地域存在のアプローチが、冒頭に記載した、業界勢力図の逆転現象を実現する手法となります。当社は、この初動を見誤ることなくベストなCreativeを ! ベストなChannelを活用し! ベストなTimingで!実行する準備を進めております。

 

今だからこそ、やるべきことは?

このWebサイトをご覧いただいている皆様は、釈迦に説法かと思いますが、まずは、「何もしない」「やり過ごす」「籠城する」作戦をしない事を「やるべきことの1位」に入れるべきだと、私は考えます。勿論、体力の問題もありますので、一概には言えませんが、コストをかけずにできることは山ほどあります。

とにかく、東京が、日本が 世界が 未曾有の大不況に直面している「今」すべきことは
①情報にアンテナを張ってください。
ご自分で取りに行く、もしくは持っている人や企業へのアポイントを取る。情報こそ重要です。

②情報公開・発信・多言語コンテンツ制作をやめない事。
多くの有識者が仰っていますが、これは事実です。日本に来れないだけであり、世界中の訪日ロイヤルカスタマーは毎日Web上で、日本の情報を取得しています。これを、「実施した企業」と「やめた企業」の差は、驚くほどに、リバウンド市場が出現した際に露呈されます。

③当社は、「♯See You Soon Japan」というプロジェクトを立ち上げました。
世界中にいる「訪日ロイヤルカスタマー」めがけて、Short-clipの動画を、6言語でメッセージをつけ、世界中のSNSへ拡散させています。本当に、暖かい言葉を毎日コメントされてきています。
 https://www.youtube.com/watch?v=9fyBcmtlXp8 (参考)
 https://www.youtube.com/watch?v=3k_4IPz7Mxg  (参考)

最後に、今回の「コロナショック」は、日本だけの話ではないという事をお忘れなきよう、関係各位にお願い申し上げます。世界中の国々が、終息後の国際観光需要の争奪戦に突入します。ぜひ、オールジャパンの結集で、インバウンド大国日本を実現していきましょう。

中原 宏尚氏
株式会社グローバル・デイリー代表取締役社長 
2000年3月、DACグループ(現DAC-ホールディングス)入社。日本国内の旅館コンサルを経験し、2008年グローバル・デイリーの前身となる、インバウンド事業部をイントラプレナーとして設立。2013年にグループ内より分社化させ、社名を株式会社グローバル・デイリーとして法人化代表取締役社長に就任。 同年、訪日外国人向け日本情報発信プラットフォーム「Japankuru」事業開始。2018年訪日外国人をHappyにするための起案専門クラウドファンディング「J.funding」事業開始。そして2019年クロスバウンドの事業実現のため、ベトナムホーチミン市に、グローバルデイリーベトナムを法人化。代表取締役社長に就任。現在に至る

 

 

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