インバウンドコラム
今年は春節の時期に重なったこともあり、北海道の雪祭りなどに多くの中国人観光客が訪れたようだ。やはり雪というコンテンツは、魅力に溢れていて、その可能性はまだまだある。中国でも冬の「寒さ」をテーマにした観光商品に注目が高まっていて、人民日報では、その現状をリポートしている。日本の冬の観光にも影響がありそうだ。
極寒体験のツアーを磨きあげている
寒さを避けるために南に行くか、それとも極寒を体験しに北へ向かうか。中国の内陸部は寒気に見舞われ、中国各地を史上まれにみる急激な気温低下が襲っている。また例年と異なり、中国北方の各都市も、この「寒さ」に関わる資源を深く掘り下げて開発しており、「氷雪+温泉」や「氷雪+民俗イベント」「氷雪ウエディング」といったように「氷雪」をテーマとしたツアーを展開。国内外の観光客に冬の観光ならではの特色ある体験を提供することで「氷雪+α」の人気がますます上昇している。
砂漠が雪山に代わり、北方の服は外に干せばそのまま凍って直立不動に立たせることができ、黒竜江省の漠河では水をまけばその場で氷になるというように、連日にわたって降雪や気温の低さをネタにしたトピックがネット上で人気の検索ワードとなっている。この影響で氷雪観光の人気も高まり、南方に暮らす人々の多くが「これまで体験したことが無いような骨まで凍るような寒さを是が非でも試してみたい」と考えている。
内陸部では人気の極寒ツアーが人気になっている
中国観光研究院の発表したデータによると、2016年から2017年にかけた氷雪シーズンにおいて、中国の氷雪観光市場の規模は延べ1億7000万人の規模に達し、2021年から2022年の氷雪シーズンにおいてはその規模が延べ3億4000万人に達するとみられており、市場のポテンシャルは巨大だ。
2018年、内陸部で販売されているウィンター観光商品をチェックしてみると、こうした「冷たい」資源はすでに中国北方の各都市の経済を「熱く」し始めている。毎年元旦前後になると、新疆維吾爾(ウイグル)自治区の昭蘇では冬に家畜を屠殺する伝統行事の「冬宰節」や冬競馬といったアイデアたっぷりの氷雪をテーマにした文化イベントが開かれる。また「氷雪+スポーツ」や「氷雪+民俗」、「氷雪+文化」といったような深いコラボを実現した冬ならではの特色を活かした観光商品もすでに内蒙古(内モンゴル)自治区や黒竜江省などの「極寒」の都市における「ホットな」人気商品となりつつある。
若い人は極寒体験で北や内陸へ、シルバー層は温暖な南国へ
ここ数日、甘粛省蘭州の旅行会社を複数取材してわかったのは、旅行費用が比較的低いことと「有給休暇消化するため」ということもこの時期の地元の人々の間で外出がピークになっている理由であることが分かった。予約状況を見てみると、海南省の三亜や広東省の広州など温暖な気候の土地が「シルバー族」にとって第一候補となっている一方で、極寒の地や原始的な白樺の林が売りの黒竜江省の漠河などは若い人々が北を目指して雪を見るための目的地となっており、旅行会社はこのほかにも、ロシアや北欧といった海外の極寒ツアーも売り出している。
蘭州の80後(1980年代生まれ)のサラリーマンである崔鵬さんは、「一番寒いところに行って、冬を満喫した体験をしたい」という理由から、今年の有給休暇は中国の雪の里である黒竜江省の双峰林場で過ごすことに決めたという。
旅行サイトのLvmama.comが12月11日に発表した2018年冬の観光トレンド分析によると、2018年11月と12月に予約した延べ人数は2017年同期比で5割以上増となっている。冬の観光商品の中でも、氷雪観光や温泉ツアー、渡り鳥スタイルのリゾート観光などをテーマとしたツアーの予約人気が最も高かった。なかでも中国国内の中・長距離ツアーとなる東北の哈爾浜(ハルビン)や雪の里、長白山などの予約が最も人気が高かった。海外では日本での雪見ツアーや温泉ツアーといった冬ならではのツアーが人気を集めている。
Lvmama.comの広報部の李秋妍総経理は、「ここ数年、氷雪観光商品の数だけでなく、その人数や価格面でも毎年上昇を続けている。2022年の北京冬季オリンピックの開催が近づくにつれて、氷雪観光人気も高まり続けるだろう」としている。
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