インバウンドコラム
日本と中国の架け橋であったSMAP
人気グループ・SMAPの番組「SMAP×SMAP」の最終回の放送終了後すぐに、在日本中国大使館が公式ツイッターで、2011年に公演のため北京を訪れた際の写真を添えて「ありがとう、SMAP」と日本語で投稿した。
このツイートには「いいね」が寄せられ、トレンドワードの2位に浮上。多くの日本ネットユーザーから「SMAPを通して日本の報道と違った中国を知った」、「中国がより近い国に感じた」などの声のほか、「謝謝(ありがとう)」と中国語で感謝するコメントも寄せられた。
日本では、中国大使館のSMAPへの感謝ツイートが大きな話題となっている。中国大使館の張梅・広報部参事官は2016年12月27日の定例記者会見で、日本メディアの質問に、「SMAPの中国国内における人気は高く、中日友好や中日の民間交流の促進に貢献したと言ってもいい。
中国のファンも『SMAP×SMAP』最終回に非常に注目していたので、そうしたタイミングを選んで、感謝の気持ちを表した」と、ツイートした経緯を説明した。その他、フジテレビの小倉智昭キャスターは、番組の中で「中国大使館がSMAPありがとうというメッセージ、驚きました。日本と中国の架け橋、それだけ(SMAPは)頑張ってくれたということですね」と感激の面持ちでコメントした。
日中交流に果たす、ソフトパワーの役割
日本を代表する映画俳優の故・高倉健や元歌手で女優の山口百恵などが、1970-80年代にかけて中国でも大人気となった代表的な日本のスターと言うのなら、SMAPは、日本のポップカルチャーを中国で浸透させた先駆者と言えるだろう。
90年代以降、SMAPのメンバー・木村拓哉が出演した「ロングバケーション」や「あすなろ白書」などのドラマは、記録的な視聴率をあげて、アジアで一躍有名になった。木村拓哉のロングヘアーや個性的な服装、さらに演じてきたピアニスト、検察官、パイロットなどの役は、全て黄金期の日本ドラマの象徴と言うことができ、アジアの「80後」(80年代生まれ)の間でカリスマ的存在となってきた。日本ドラマが急速に発展したことで、SMAPが中心となるバラエティ番組が、中国の若者の間でも少しずつ人気を博するようになった。SMAPの冠番組だった「SMAP×SMAP」も、中国大陸部や香港地区、台湾地区などで、いち早く「コピー」されたバラエティ番組だった。
SMAPの解散は、日本のポップカルチャーが、中国を含むアジアに対する影響力を少しずつ失うことを意味している。高倉健が亡くなった際、日本のメディアは、「日中間の課題は山積みで、その関係を改善するためには外交以外に、産業界や学術界、若者などの交流を推進しなければならない。中でも、『ソフトパワー』の役割を忘れてはならない」とコメントした。
SMAPは2015年に20年の東京パラリンピックの「応援サポーター」の就任が決まっていた。その代わりとなる適任者はまだ見つかっていない。もしかすると、今後しばらくは、本当の意味での中日文化交流の使者が登場することはないのかもしれない。ただ、SMAPが「世界に一つだけの花」を満開にしてくれたことには、本当に感謝したい。
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