インバウンドコラム

第28回 海外医療ツーリズム 日本が1番人気

2015.05.14

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健康意識の高まりとともに、メディカル・ツーリズムが人々の生活に溶け込み始めている。メディカル・ツーリズムは欧米などの先進諸国では、すでに成熟化している。

目次:
日本でがん予防・検診ついでに旅行する
日本の血液クレンジングが中国人女性観光客に人気

 

健康意識の高まりとともに、メディカル・ツーリズムが人々の生活に溶け込み始めている。メディカル・ツーリズムは欧米などの先進諸国では、すでに成熟化している。
早くは、海外で特殊な疾病を治療した後、リハビリ旅行に出かける形態を指していたが、徐々に海外メディカル・ヘルスツーリズムの分野にまで広がってきた。

北京市旅行委員会の関連責任者は、「海外メディカル・ツーリズムはすでに中国では新興産業となっている。いかにメディカル・ツーリズムのサービスの質を保証し、いかに標準化・システム化して中国内外の医療ネットワークにマッチングしていくかが、現在の中国のメディカル・ツーリズム市場の鍵となっている」と語る。

 

日本でがん予防・検診ついでに旅行する

北京市海淀区に住む李玉(仮名)さんは、おばさんに日本で検診を受けさせるため、現在、さまざまな場所に問い合わせをしている。李さんのおばさんは時々胸が痛む症状がある。
ただ、李さんは、この症状は生活に影響を及ぼすほどではないと考えており、そこまで深く考えていなかった。
しかし、その後、ある友人から旅行に行った際に海外で検診を受けられるメディカル・ツーリズムがあるということを聞いた。友人は海外の検診は非常に全面的かつきめ細かい上に、旅行もできるので非常にお得だと語った。

李さんは、「その後、日本の医療の水準は確かによいことがわかった。しかも、日本は非常にいい旅行先でもある。そこで、メディカル・ツーリズムの目的地を日本にすることに決めた」と説明する。

実際、このようなメディカル・ツーリズムは中国ではすでに早くから実施されており、日本はその中の主要な目的地の1つとなっている。

日本へのがん予防・検診のメディカル・ツーリズムを実施している某グループ企業の例をあげると、同プログラムでは現在、日本で計300種類のがんを検診することができる。

また、医療法人聖授会の健診システムを例にあげると、医師が問診する内容は、受診者の家族史、過去の病歴、個人の生活習慣などの問題に及び、多元的できめ細やかな一連の検査が2日間にわたって行われる。
機器を使った全身検査、生化学検査、腫瘍マーカー検査、医療設備による検査、全身CTスキャン、免疫血清検査など、医師団は総合的に診断を行うと同時に、ガン予防についての講座を行う。

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今年48歳の柳菲さんは日本へのメディカル・ツーリズムに参加して、戻ってきたばかりだ。
柳さんは東京で胃カメラ検診と血液クレンジングを受けた。「5日間の日程のうち、1日を病院での検診に使い、残りの時間は、旧跡を見たり、温泉に入ったりと、観光や買い物もできてすごくリラックスできた」と述べた。

柳さんは中国でも胃カメラ検診を受けたことがあるが、あまりいい印象を受けなかったという。一方、日本での検診については、「非常に良かった。検診を受ける環境がまるでホテルのように清潔で、どのサービスも個人のニーズに合わせたものだった」と語る。

最も深く印象に残ったのは、サービスだという。

日本で胃カメラ検診を受ける際、受診者はモニターで胃カメラがどこまで行っているかを見ることができ、医師もモニターに映っている体の部位の状況について、詳しく解説してくれる。

 

日本の血液クレンジングが中国人女性観光客に人気

血液クレンジングは検診者の血液を100cc抽出し、それにオゾンガスを溶解させて血液を活性化させ、さらに体内に戻して、血液すべてを活性化させるもので、主にアンチエイジングに効果があるとされる。

柳さんが参加したメディカル・ツーリズムを実施している某グループ企業によると、血液クレンジングは、日本で流行してかなり経っており、現在は特に中国人女性観光客に人気だという。

メディカル・ツーリズムと通常の観光ツアーと比較すると、費用はやはり若干高めだ。
受ける検診によっても異なるが、3~5日間の日程で、価格は約1万元(約18万8000円)から6万元(約113万円)の間となる。1カ月前までの予約が必要で、病院の調査表を記入しなければならない。病院では、医療の知識を持つ通訳が用意されており、観光の際だけ別の通訳に代わる。

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