インバウンドコラム
日本では、大学卒業後にいい仕事が見つからないよりは、専門学校に行って何か技術を身に付けておいたほうがいいという考え方を持つ人が増加している。そして、中国でも、必要な費用が比較的少なく、短期間でしっかりとした技術を身に付けることでき、就職率も高い日本の専門学校が「就職神器」とみなされるようになり、近年はこの種の学校が中国人留学生に人気となっている。
専門学校の就職率が高い
日本の専門学校は、卒業すると中国の中専(専門学校に相当)、大専(短大に相当)などと同じほどの学歴が得られ、基本的に2年制となっている。主に実践を重んじて技術型の人材を育成する。日本の「専修学校教育白書(2015)」のデータによると、日本には現在、専門学校が大学の4倍以上に当たる3201校あり、在校生は約66万人となっている。
学生には卒業すると、専門士の資格が付与される。日本の社会は「資格」を非常に重視し、専門的な仕事に就く際には、試験に合格しなければ得られない資格が必要になることがほとんどだ。「専門士」というのもれっきとした資格の一つだ。
日本の専門学校の95.6%は私立で、柔軟な学校経営に取り組み、時代のニーズに合わせた教育を提供する。
例えば、近年では、流行しているペットやネイルなどを専門とする学校や学部が数多く新設されている。専門学校の就職率は、大学に負けずと劣らず、人気の専門学校の多くはオフィシャルサイトで「就職率100%」と豪語している。現在、日本は高齢化社会に突入しているのを背景に、看護やリハビリ、福祉などを専門とし、ニーズの非常に高い看護師などの医療スタッフを育成する専門学校の人気が高まっている。例えば、専門学校で学び、柔道整復師の資格を取ることができれば、卒業後に整骨院を開くことができる。
公務員の専門学校も就職率が高い。日本では公務員になるために、難しい試験を受けなければならない。公務員の専門学校では、その試験に関係した内容を系統立てて学ぶことができ、試験の合格率を高める方法の一つとなっている。
専門学校はさらに、「メードインジャパン」の縁の下の力持ちとなっている。自動車整備や土木建築、情報処理、無線通信、農業・園芸などの分野の専門学校は、工業・農業生産に、多くの技術者を輩出してきた。
日本文化の特徴でもあるアニメやファッション系の専門学校は、外国人留学生にも人気となっている。ある中国人留学生は取材に対して、「日本の専門学校でアニメ制作を学ぶと、宮崎駿や新海城などのアーティストの作品の魅力を深く感じることができる。今後、アニメ関係の会社で働けば、自分にとってのアニメ界のカリスマに会う機会もあるかもしれない」と目を輝かせた。
これまでは、留学するなら高学歴を得なければ、単なるお金の無駄と考える人が多かった。しかし、何かの技術を身に付けるのが最も得策であると考えるようになる人が増加するなど、人々の考え方にも変化が起きている。もしただ学歴という箔をつけるためだけに留学した場合、何も身に付かず、卒業後仕事が見つからないという可能性がある。日本の専門学校は、「自分が本当に学びたいことを学び、何かを身に付けることこそが最も重要である」ということを教えてくれているのではないだろうか。
中国人留学生が増加
中国人留学生が日本の専門学校に入学するには、大学へ入学する場合と同じで、一定の日本語能力を備えていなければならないほか、志望する専門学校の試験に合格しなければならない。
日本の専門学校を卒業して得られる学歴は、今のところ中国の教育部に認められていないものの、留学生は卒業後、日本企業に就職することができる。以前の日本の法律は、専門学校の卒業生は就労ビザを取得できると規定していたものの、一旦帰国してしまうと、中国国内の日系企業に就職したとしても、学部卒業以上という要求を満たしていないため、再び日本に行って就職するのは難しかった。
しかし、11年に、日本は法律を改正し、専門学校の卒業生は帰国したとしても、専門士の資格を有していれば、再び日本に来て就職できるように規定した。この法律の緩和により、日本の専門学校への留学という、非常に実際的な道を選ぶ中国人留学生が増加している。。
ある商科の専門学校の留学生募集担当者は取材に対して、「日本は少子化が進んでいるため、学生が減っている。そのため、留学生呼び込みのために工夫をしている。例えば、留学生に専門的な知識だけでなく、日本の文化や社会についても教え、在学期間中に、働きながら実習できる企業を探してあげることで、卒業後に日本で就職しやすいようにしている」と説明する。
このような取り組みは留学生にも人気で、専門学校の柔軟な経営は功を奏している。そして、専門学校を卒業した留学生は、日本の大学で博士号の学位を取得した留学生より、仕事を見付けやすいという現象が起きている。
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