インバウンドコラム
「VISIT JAPAN トラベル& MICEマート2019」初の大阪開催、世界33地域から300社以上のバイヤー、メディアが集結
2019.10.28
10月24日〜26日、世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPO2019」と合同で、インバウンドの大規模商談会「VISIT JAPAN トラベル& MICEマート2019(VJTM)」が初めて大阪で開催された。
33の国と地域から331社のバイヤーが参加
舞台となったのはインテックス大阪。6号館Cゾーンで国内のインバウンド関連のセラー366社・団体と、世界33の国と地域の訪日旅行およびMICEを取り扱う旅行会社(バイヤー)、海外メディア331社による、日本最大級のインバウンド商談会が開催された。
会場中心のバイヤーブースをはさむように、セラーのブースが並んでいる。宿泊施設やランドオペレーター、旅行会社、交通機関、観光施設、各自治体やDMO、その他インバウンドに関連するさまざまな業種が資料を提示し、商談を行っていた。特に、今回は地域の体験プログラムや現地ツアー、農泊や民泊などを扱う民間のランドオペレーターや旅行会社が増えているように思われる。
事前のバイヤーとセラーの相互リクエストによるマッチング商談は1セッション20分間で、セラーがバイヤー・メディアの元を訪問する。「確実に商談できる事前アポイントメント形式の商談時間を拡大してほしい」という参加者からの要望をもとに、商談時間は前回の6時間40分(最大20枠)から9時間(最大27枠)に拡大された。
アポイントが入っていない場合は10分間の自由商談の時間が設けられている。その場合は、商談のないバイヤーのブースにセラーが訪れ商談をもちかけ、バイヤーが休憩をする時間もないほどの盛り上がりが続いた。
タイから来たバイヤーは「タイ北東部のウドンタニという地域でホールセラーをやっているが、日ごろはあまり入ってこない現地の情報が得られて有益だった。商品につなげられると思う」と満足気に語った。
フランスのバイヤーは「日本に多彩な魅力があることがよくわかって良かった。しかし、地域別の情報が多いので、行程の前後をどうつないだらいいか、アクセスやモデルルートのアドバイスがあるともっといいですね。日本に到着してからの宿や移動手段などのランド手配をきちんとお願いできるDMOがあるとやりやすい」と要望していた。
あるセラーからは「事前マッチングの希望を欧米豪へ集中させていた(が、マッチングが成立せず)、あまりアポイントメントをとることができなかった」との声もきかれた。
「商談会には初めて参加したが、ここでの商談をきっかけに、この後も情報提供をするなど関係を継続していくことで商品造成や送客につながる」と熱心に商談を持ちかけるセラーの言葉が印象的だった。
メディア向けには地域の情報を
開幕当日のメディアブリーフィングでは、訪日外客数の最新動向、アジア地域と欧米系の旅行者の旅行、消費傾向の違い、東京オリパラに向けた取り組みなどの説明がなされた。
とくに来年は、東京オリパラ開催に伴う混雑や宿泊施設の高騰を危惧し、訪日を避ける旅行者の増加による落ち込みも予測される。そのため、東京都心から1~2時間で移動できる地域への宿泊先、旅行先の変更、オリパラが開催される夏場を外しての訪日を推奨するといったJNTOの戦略の他、MICE誘致の取組などが提示された。JNTOが運営する海外メディア向けの画像・映像サイトJapan Online Media Centerなどを通じて、「Local gems(地域の旅情報)」「Story Ideas」を得られることを強調していた。
本商談会とツーリズムエキスポの合同開催は今回で3回目となる。バイヤーやメディアは期間中にツーリズムEXPO内のブースも見学できる。10月24日にバイヤーやメディアなどを対象に行われたウェルカムレセプションも賑わい、「旅の祭典」として合同で行うメリットも大きいと思われる。
関西視察、ファムトリップも多彩に
商談会が終了した後の10月26日には、海外のバイヤー・メディアの希望者向けに「大阪府内なにわ体験&グルメコース」など、奈良や京都を入れた関西5コースの視察を実施。
また、実際に日本の観光地をみてもらうファムトリップを10月27日〜30日に実施。バイヤー向けには北海道から沖縄まで2泊3日、3泊4日の全7コース、MICE向けに3泊4日の4コース、メディア向けに3泊4日の北海道コースが設定されていた。各コースとも「伝統文化・現代アート」「ハイキング・パワースポット」などテーマが明確で、体験コンテンツが多く含まれている。
ラグビーワールドカップで欧米豪からの訪日客に注目が集まったが、特に欧米豪圏は、JNTOや地方自治体、DMOなどが数年前から地道に行っている認知度拡大を狙ったプロモーションが徐々に芽を出し、実際の訪日に導くことも期待できる。本商談会はその取組のひとつであり、セラーが直接バイヤーのニーズを感じることができる貴重な機会といえよう。
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