インバウンドコラム
新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本のインバウンドを取り巻く環境は一変した。新しい観光に再生することが問われるなか、インバウンドに関わる小売、メディア、OTAはどう考え、実践していけばいいだろうか。
観光再生シリーズ・スペシャル対談第2弾は「小売・インバウンドにおける再生」がテーマ。今回は、ショッピングツーリズムの重要性を提起し続けてきた一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム(JSTO)協会代表理事でインバウンド向けコンサルティングのUSPジャパン代表取締役社長の新津研一氏、現在10言語、世界180ヶ国以上からアクセスがある訪日外国人観光客向けWebマガジン「MATCHA」を運営するMATCHA代表取締役社長の青木優氏、訪日外国人旅行者が日本旅行中に使う 「スマホ向けアプリサービス」などインバウンドプラットフォームを提供するWAmazing代表取締役社長/CEOの加藤史子氏を招き、モデレータを株式会社やまとごころ代表取締役の村山慶輔が務めた。トークライブの見どころを一部抜粋して紹介する。
コロナ禍でチャレンジし続けた半年
ともにインバウンドを主戦場としてきたゲストの3氏。コロナ禍発生から現在までの約半年間、何にチャレンジし、手ごたえを感じてきたのだろう。
「コストダウン、新規事業、資金調達すべてに取り組んだ」と話すのは、WAmazingの加藤氏。加藤氏が最初に異常事態を認識したのは、台湾が日本を渡航警戒レベル1に指定した2月14日。以来、役員報酬ゼロ、オフィス全面撤去による社員約100名のフルリモートワーク化のコストダウンを図り、外国人メンバーを活用した翻訳受託事業、行政の受託事業といった新規事業に着手。11月には総額約8億円の資金調達を実施した。
加藤氏と同様、JSTO、USPジャパンの新津氏もこの難局を耐え抜く体力づくりの重要性を指摘する。「コロナ禍では行政も経済活性化や人材育成など手を止めず取り組みを続けており、リーマンショック時と異なり、資金も借りやすい。捨てる事業、新たに取り組む事業を見極めることが大切」と話す。
MATCHの青木氏も、果敢にチャレンジを続けているひとりだ。5月に「今だからこそできるインバウンド観光対策」というFacebookグループを立ち上げたのに続き、7月には「日本インバウンドサミット2020」をオンライン開催。自治体や観光業者が今だからこそ準備できること、各国・地域の事例の共有などを目的に3200名以上が集まったイベントを成功に導いた。11月には世界の「行きたい」と日本の「来てほしい」をつなぐ4カ国語対応の越境クラウドファンディングも開始しており、「自分たちがインバウンドに取り組む意義は何か。中長期的な視点で見直し、課題解決を図っていきたい」と力を込める。
世界の人々を“welcomeback!”で迎える
トークライブでは、こうした3氏の直近の挑戦から得た知見をもとに、「在日外国人の活用」「リアル店舗とECとの連動」「バーチャルでは代替できないリアルな旅行の価値」「海外が今求めるニーズ」といった幅広いキーワードが登場した。
ライブの最後、村山が投げかけた「『インバウンド再生』に向けて一番大切なことは何か」との問いでは、「オリンピックを安心・安全にやりきることが、世界へのブランディングになるとともに、日本人の外国人受け入れに関する偏見を払しょくし、再生のカギになる」(加藤氏)「同業他社、業種、地域に垣根を越えて、“welcomeback!”の気持ちで迎えよう」(新津氏)との意見で一致。白熱した議論の全編は、ぜひ動画で視聴してほしい。
【開催概要】
観光再生 第2弾〜小売・インバウンドにおける再生を考える〜
日時:2020年12月4日(金) 15:00-16:00
会場:ZOOMウェブセミナー
主催:株式会社やまとごころ
【今後開催予定のセミナー】
◆プレジデント社共催『観光再生』出版記念オンラインセミナー〜観光再生に向け、2021年何をすべきか?〜
2020年12月18日(金)16:00~17:15
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