インバウンドコラム
2019年明けて早々の1月7日、国際観光旅客税の適用が開始されました。船舶や航空機の乗員や、24時間以内の乗り継ぎ旅客、2歳未満の子供など、ごく限られた例外を除いては、外国人日本人を問わず、日本を出国する際1,000円が課税されます。
日本国内では通称「出国税」として知られていますが、海外メディアでは「SAYONARA TAX(さよなら税)」との愛称が付いています。この件に関して、主要英語旅行雑誌が記事を掲載していたので、ご紹介します。
まず、米国富裕層向け旅行雑誌『Condé Nast Traveler(コンデ・ナスト・トラベラー)』は、「続々登場する航空会社の新路線のおかげで、日本へのアクセスは未だかつて無いほど良くなったが、日本を去ることがほんの少し高くなった」と伝えました。日本政府は集めた資金を旅行者へのサービスに還元する方針で、空港での顔認証ゲートや、公共交通機関のフリーWi-Fiシステムの構築などにあてられると伝えています。イギリスのAir Passenger Duty(出入国税)やオーストラリアのPassenger Movement Charge(出国旅客税)に比べれば、「そう悪く無い」と締めくくられています。
イギリスの出入国税は世界一高額な出入国税として知られています。2018年4月の値上げでは、長距離移動旅客は、エコノミークラスで78GBP(約10,900円)、それ以上のクラスの場合156 GBP(約21,800円)と、かなり強気な額の税金が徴収されています。オーストラリの出入国税は60AUD(約4,600円)です。
『2018 Destination of the Year (世界で最も注目を集める旅行先2018)』に、日本を選出したばかりの、米国の著名旅行雑誌『Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)』は、「休暇で日本へ行く人は、もちろん歓迎されるが、家に帰る時には税金を払う準備を」と伝えました。この税は、主に旅行者のインフラ整備などに使われ、日本がトップの観光大国になるためのものだとしています。日本で味わえる、「エキサイティングなアウトドアアドベンチャー」や、「贅沢な島での時間」、「人生を変える食文化」を思えば、「9USDの追加出費は支払うに値する」とまとめられています。
概ね「日本はそのくらいは支払ってでも訪れる価値のある旅先」との評価のようで、インバウンド業界としては、ひとまずはほっとして良さそうです。ただ、集めた税金の使途については、今後、我々がきちんと注視していかなければならないところでしょう。訪日観光客への還元のみでなく、オーバーツーリズム対策など持続可能な観光構築への対策にもあてていって欲しいものです。
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