インバウンドコラム

海外メディアが注目、インバウンド客も増加していた沖縄県の「世界一の長寿の里」

2022.03.15

清水陽子

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実は、沖縄県には「世界一の長寿地域」として、ヨーロッパで度々話題になっている地域があるのを、ご存知でしょうか。

沖縄県本島の北部に位置する大宜味村(おおぎみそん)です。1996年に世界保健機関に「世界一の長寿地域」として認定されている場所で、先日もスイスから「人々が100歳まで生きるという、沖縄の長寿村について知りたいのだけれども」という問い合わせがありました。

これまで旅行に限らず様々なメディアで取り上げられている大宜味村がどのように紹介されているのか、見ていきます。

 

スイスのファッション誌面を飾った村民たち

1995年には、スイスの老舗ファッション誌Annabelle(アンアベル)では「これほど多くの人々が長生きする村は大宜味村以外にない。そしてこの村は、その長寿の秘密と共に消滅の危機に瀕している」と始まる記事で、前年に100歳を迎えたHatsuさんを含む6名の100歳前後の村民達のポートレートが誌面を飾りました。Hatsuさんは「やっとこの年になったと思った」といい「まだまだ元気」と語っています。当時101歳のUtoさんの写真に添えられたコメントによると「秘訣は『腹八分(目?)』」だとか。

 

食と仕事と生きる喜び

2019年には、ヨーロッパのニュース専門の放送局ユーロニュースで取り上げられました。「100歳の村として有名な大宜味村」の人々の暮らしを実際に取材してまとめられた5分間の特集で、旬の食材をふんだんに取り入れた食と、定年後の責任ある仕事、生きる喜びが、長寿の秘訣とされています。旬の野菜をふんだんに使った地元の食堂「笑味の店」をきりもりするEmiko Kinjoさんは「畑と台所が近い環境が重要だ」と言います。次の冬に100歳を迎えるToshiko Tairaさんは、大宜味村伝統の織物芭蕉布を週6日1日9時間作っています。生産者が「お天気が良くても悪くても食べる」という特産物のシークワーサーと、「歌って踊って楽しく生きることが秘訣」と語る女性たちも登場します。

 

80歳はまだまだ童

2020年10月に公開されたナショナルジオグラフィックの記事は、大宜味村にある石碑に刻まれた「八十(歳)はサラワラビ(童)、九十になって迎えに来たら、百(歳)まっで待てと追い返せ」という言葉を誇張しているとは言い切れないと始まります。「前回の国勢調査によれば、3000人の村民のうち15人が100歳以上で、171人が90代であり、この統計は驚くべきものだ」と続けます。そして、沖縄には「ぬちぐすい」という言葉があり、「食を薬とせよ」という意味で、さつまいもやゴーヤ、海藻などの海の幸は、そのままでアンチエイジング食だとし、芭蕉布の生産に高齢者が大きく貢献していることを「生きがい」と伝えます。さらに「モアイ」という助け合いの伝統が心の絆を形成するのに役立っているとしています。モアイ(模合)とは、何人かが集まり、出し合った金銭をそのうちの一人が順番に受け取っていくという伝統的な相互扶助のシステムで、飲み会の口実にもなっているのだとか。

 

次の海外旅行は自国とは全く違う場所へ行きたい

大宜味村への旅行者は長寿の里への興味から増加傾向だったとのことで、感染症流行以前から有名観光地を巡るだけの旅行ではなく、その地で暮らす人々の生活や文化に直接触れる旅を求める人が増えていました。パンデミックを経験し、旅をできない時間を経て、その傾向は更に強まっているように思います。スイスの人々と話をすると、太陽を求めてイタリア語圏のティッチーノ州に出かけていたり、スキー休暇でダボスへ行っていたり、国内旅行を積極的に楽しんでいるようです。再び外国に行けるようになったならどこへ行こうかと考える中で、スイスとは全く違う文化圏に行ってみたいと考えるひとが多いように見えます。

 

密を避けたニッチな旅の需要が

2022年1月に掲載された、米旅行雑誌コンデナスト・トラベラーの「オフシーズンに行くベストな旅先 アイスランドから沖縄まで」という記事では「日本を旅する旅行者のほとんどが、桜を求めて人気の花見スポットを探し求めている隙に、沖縄で人混み知らずの時間を過ごしてはどうか。穏やかな気温がサーフィンやパラセーリングなど水上アクティビティに最適だ」と提案されています。

人々が人気の観光地をあえて避け、趣味や興味を突き詰めた旅を求めるとき、日本には旅人達を惹きつける魅力がまだまだ眠っていそうです。

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